- 松永史談会 -

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三吉冠山経営の大成館に学んだ三井勝治郎の生家と墓地確認

2017年04月23日 | 断想および雑談
最近、三吉冠山大成館の門下生で日清戦争で戦死した三井勝治郎の消息確認に出かけた。以前に見たゼンリンの住宅地図を思い出し、聞き込み開始。
三井総本家とか書かれた墓石を発見し、そこで大方の情報を入手し、そこから明治初年に分家した三井敬治郎家にたどり着いた。所要時間は60分。遠い昔の話なので三井敬治郎家の子孫の方も大きな安ど感というかまさかといった私のもたらす情報に不思議な感興を覚えたようだ。それが表情から読み取れた。この先祖さんの詳しい消息が分かり、今後は今以上に大切に祀っていくということだった。
今回は幸運にもうまくいったが高須尋常小学校初代校長三島静(『赤坂町史』中に瀬戸町出身と記載)と、明治16年生まれ東京帝大医科卒(永井潜の教え子で法医学専門?)の三島粛三という人物(沼隈郡高須村出身)については依然手掛かりなし(というか本気では探していない





参考

大元山から見た上浜の三井家の家々



橙〇が生家、黄色→付近が墓地の所在地(朝10時に出発、11時10分に高須小学校に到着・・・・探索開始で11時36分に墓地発見、通学路を利用すれば三井勝治郎生家からその墓地まで10分程度で行ける場所に当たる)。小学校を起点に周辺の杉原・延広などの墓地の分布傾向から果樹園あるいは普通畑脇に造成されていた三井家墓地を無事探し当てた。付近にはかつて火葬場があったらしい。この地区のお墓は寺院境内あるいは境外に造成された共同墓地形式と畑の脇に点在する形で布置するという形式の墓制が混在状態にあることがよく理解できた。
野外調査ではヒトの持つ動物的な勘も大動員だ


三井敬治郎家墓地全景・・・この地方では作田高太郎一族並に抜群に立派な墓石だ。むろん三井総本家という家の墓地を大きく超えている。この辺は自慢の息子・勝治郎の親父(三井敬治郎)のprideが詰まっているのだろうか。教導団は当時東京にあった陸軍の下士官養成学校で、成績優秀者は陸軍士官学校への門戸が開かれていた。
当時のことだから勝治郎の遺骨は故郷沼隈郡高須村においては公葬を経て、三井家の山畑脇に当たるここに埋葬されたのだろう。


今はこんな感じ。黄色〇は墓地の所在地




戒名は「寶蓮院釈智徳善士」、秀才だったのだろう「智徳善」士とある。
墓誌  明治28年 友人石井勇太郎(明治2~昭和19、広島師範卆、晩年は本郷村第十代村長、三吉冠山(熊八郎)経営の漢学塾:大成館三吉塾での先輩後輩関係)撰文。当時の代講は本郷立神の岡田侃次郎(慶応2~大正5、東京控訴院検事)、大成館三吉塾の塾友には松永村・井手健爾、金江の大林一彦(映画監督大林の御祖父さん)、今津の竹野豊八(河本亀之助が慕った小川恒松の息子)、今津村長波の村上辻太郎、東村の小川戒三らがいた(『福山市本郷町誌』第九篇人物伝による)。河本亀之助とは同世代の人たちである。




松崎大尉の指揮下で7月25日に渡韓し、29日に戦死したわけだから気の毒な話だ。ちなみに緒戦の山場は9月15日の平壌戦だったが、勇敢さを「先登奮進」という言葉(美談→「戦病死者の葬送と招魂 - 名古屋大学」)で讃えている。「忠勇義烈」・・・三井勝治郎の人柄の一端にも触れた言葉のようにも感じられるが、戦死者に対する常套句そのものだった。やはり主戦場に至る前の勝治郎の早すぎる戦死はいささか哀しい。




敬治郎の次男:慈一(1887-1969、87歳で没)が家を継ぐが、慈一の次男・悟は昭和20年4月29日29歳でフィリピンにて戦死。その妻は昭和23年に33歳で死亡、悟の2人の遺児卓夫は8歳(18歳で死亡)、豊は6歳(54歳で死亡、独身)。三井敬治郎家では敬治郎の長男勝治郎、家を継いだ孫の悟の二人もが戦争で命を奪われていた。親友の石井勇太郎(福山市本郷町、南屋石井家二代目、尋常小学校校長⇒町長、昭和19年に76歳で没)のお墓。


三井敬治郎家墓地のすぐ手前に小さな自然石を置いただけの墓地。水子供養にしては数が多く、両墓制はないので埋め墓でもなかろうし、三井家一族のものだとおもうので機会があれば調べてみよう。


これが三井家一族の普通サイズの墓石。三井・総本家もしかり。


三吉冠山経営の大成館の出身者の消息がわかったことは今回の調査での細やかだが大きな成果だった。

三井総本家の主人の描いた墓地までの経路図、これが車を使って墓参をするときのルートだったのだろう。現在は小学校裏から入るという三井勝治郎さんの子孫の方の話にあったルートが一番の近道。

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