歌のある高校生活
9月13日朝日歌壇コラムの千葉聡の寸評は楽しい。彼は高校の国語の先生、歌人でもある。毎朝一首、短歌を黒板に書いている。恋の歌が大人気らしい。
❤ はい、あたし生まれ変わったら君になりたいくらいに君が好きです 岡崎裕美子
岡崎裕美子のことは9月2日の私のブログに書いた。でもこの歌は知らなかった。大胆な性愛を詠む30代の歌人として知られている、私とおなじ「未来」の会員だが世代が違う。でも、歌に論に活躍する彼女に刺激されている。千葉聡先生は短歌は友達と話すように詠えばいいのだ、という見本として岡崎裕美子のこの口語短歌を朝の黒板に、、。もし万葉集の歌だったら、生徒たちは無視するだろう。いや短歌がキライになりかねない。
❤ 紫陽花のふくらみほどに訪れるあなたを産んだひとへの妬み 大森静佳
、大森静佳は20代だが角川賞を受賞、「塔」短歌会に所属する才女。「紫陽花のふくらみ」はなにやら謎がある。さらに下句は「あなたを産んだ人への妬み」 どんな妬みか知りたくなる。高校生ともなれば、特に女は妬みに悩まされるだろう。紫陽花のような女の魅力。口語を基調としながらも、大森のように静かなトーンで。千葉先生は文語へも生徒を誘導する。
❤ 身ひとつをまこと袋と感じつつ月よ今夜はどこで寝ようか 佐藤弓生
昨日朝、この歌を見てまあと呟く。前夜 佐藤弓生さんを囲みながら飲んだ。弓生さんは私の隣席で共にワインが大好き。歌集「モーブ色のあめふる」を読む会3時間の後の夕食会。
彼女が、角川賞を受賞したのはて15年前。ベテランの歌人だが新かなで新人っぽい作品が多い。短歌のなかに詩を、詩のなかに短歌を。「月よ今夜はどこで寝ようか」
人間ではなく、自然に話しかける。短歌の世界が果てしなくひろがる。
文語と口語、どちらも存分に味わえる現在。詠む内容に、心の色に合わせて言葉を選ぶ。
専門歌人の間では「短歌は文語で詠むべきだ」という主張が根強いが、歌の言葉はもっと自由であっていい。千葉聡の寸評・「歌のある高校生活を」の最後の段落、、私も同感です。
9月14日 松井多絵子
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