軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

伊丹市昆虫館

2017-04-07 00:00:05 | 日記
 友人のSさんのホームページを見ていて、兵庫県にある伊丹市昆虫館で日本チョウ類保全協会の展示会が開催されていると知り、この昆虫館にはチョウ温室があり通年で蝶を見ることができることも判り一層興味が沸いた。

 このところ定期的に大阪に来ているので、こちらでの用の合間をぬい、早速この伊丹市昆虫館に行き上記展示会を見ると共にこの昆虫館の目玉ともいえるチョウ温室にも行ってみることにした。

 伊丹市昆虫館は、JRまたは阪急伊丹駅からバスで10分程度、昆陽池(こやいけ)公園の池のほとりに建てられている。最寄のバス停(松ヶ丘)のすぐ前方に公園の入り口があり、ここから池の対岸にある昆虫館が見通せた。案内板で昆虫館への道順を確認し、早速歩き始めた。


公園案内板、図の下隅に昆虫館がある(2017.2.13 撮影)

 これは後で気がついたことだが、公園の大きい方の池の中央部にはなぜか日本列島の形をした島が造られていた。


公園入り口から池越しに昆虫館が見える(2017.2.13 撮影)

 池の周りを1/3周ほど歩き、昆虫館に向かう。遊歩道の両脇にある木々には名前を記した札が取り付けられていたので、それらを読み、写真を撮りながら歩いたのだが、樹種の多いことにはちょっと驚いた。


池の周囲をめぐる遊歩道(2017.2.13 撮影)

 イスノキ、シンジュ、シラカシ、アオギリ、ケヤキ、センダン、アキニレ、タブノキ、クスノキ、ムクノキ、アベマキ、ウバメガシ、カナメモチ、クヌギ、エノキ、ザクロ、ネズミモチ、カクレミノ、ヒメユズリハ、ウツギ、トウカエデ、ヤマブキと驚くばかりだ。


遊歩道の脇に見かけた面白い名の木「イスノキ」(2017.2.13 撮影)

 この日は野鳥の姿はそれほど多くはなかったが、案内板によると池に来る水鳥も含めると優に20種は越えるようだ。


昆陽池公園周辺に棲息する野鳥の説明板1/2(2017.2.13 撮影)


昆陽池公園周辺に棲息する野鳥の説明板2/2(2017.2.13 撮影)

 伊丹駅から比較的近く、周囲に住宅街の広がる地域としては自然がとてもよく残っているところだと感じる。

 木々をながめながら歩いているとすぐに目指す昆虫館に到着する。建物右側にはチョウ温室らしい透明なドーム状の天井が見える。昆虫館の入り口周辺はバタフライ・ガーデンとされていて、今の季節は休眠状態だったが暖かくなると、花が咲きこの辺りに棲息する蝶が集まってくるよう配慮されているようだ。


伊丹市昆虫館の入り口付近(2017.2.13 撮影)


昆虫館前にあるバタフライ・ガーデンの表示とチョウのモニュメント(2017.2.13 撮影)

 受付で入館料を払い、先ずはチョウ温室に向かった。この温室には、別室で飼育された沖縄地方産と地元伊丹市に棲息する蝶が1年中放されていて、この日も900頭ほどの蝶が真冬にもかかわらず温室内で乱舞していた。


チョウ温室に放されている種類と数を示す掲示(2017.2.13 撮影)

 オオゴマダラ、リュウキュウアサギマダラ、ツマベニチョウなど沖縄地方の種類が中心であったが、これに混じってナミアゲハ、ジャコウアゲハも目の前を通り過ぎていく。

 野外での蝶の撮影では、まず蝶をみつけることから始まるのだが、ここでは目の前にいくらでも蝶が舞っていて撮影は容易である。ただ、はじめのうちは外で冷え切っていたカメラのレンズが曇ってしまい、室内の温度に馴染むまで目の前の蝶を眺めるだけになってしまった。


チョウ温室内の様子(2107.2.13 撮影)

 普段見ることのない、私には珍しい沖縄地方の蝶の撮影をしばし楽しんだ。自然の中で苦労をして蝶を見つけて撮影するという醍醐味はないが、これはこれで楽しいものである。以下に撮影した蝶をご紹介する。


オオゴマダラ、日本の最大級の蝶で翅の幅は13cm位。昆虫館での幼虫の食草は「ホウライカガミ」
(2017.2.13 撮影)

 このオオゴマダラは温室内に一番多くいた種類であり、食草の「ホウライカガミ」という、つる性植物の鉢植えも通路脇に置かれていて、産卵の様子を見ることができた。丸い蜜台にたくさんの蝶が集合している様子はなんとなく笑えてしまう。また、別室にはこのオオゴマダラの金色の構造色に輝く蛹の展示も行われていた。


食草の「ホウライカガミ」の葉裏に産卵するオオゴマダラの♀(2017.2.13 撮影)


蜜台に群がるオオゴマダラとリュウキュウアサギマダラ(2017.2.13 撮影)


リュウキュウアサギマダラ、昆虫館での幼虫の食草は「ツルモウリンカ」(2017.2.13 撮影)


ツマムラサキマダラ、幼虫の食草はクワ科の「ガジュマル」、キョウチクトウ科の「ホウライカガミ」など
(2017.2.13 撮影)


スジグロカバマダラ、昆虫館での幼虫の食草は「リュウキュウガシワ」、「ガガイモ」(2017.2.13 撮影)


カバタテハ、幼虫の食草はトウダイグサ科の「トウゴマ」など(2017.2.13 撮影)


ツマベニチョウ、日本のシロチョウ中最大でハイビスカスを好む。幼虫の食草はフウチョウソウ科の
「ギョボク」(2017.2.13 撮影)


コノハチョウ、幼虫の食草はキツネノマゴ科植物の「オキナワスズムシソウ」など(2017.2.13 撮影)

 コノハチョウは名前通り、翅裏がコノハのような地味な色合いだが、翅表はとても美しい蝶であり、開翅を待ったが、ついに翅表は見せてくれなかった。このコノハチョウは沖縄県では天然記念物に指定されているが、ここで飼育されているのは鹿児島県産とされる。翅裏に識別番号が記されているが、これは伊丹市昆虫館で長年にわたり累代飼育を続けているうちに、個体数が減少してきたため追跡調査用に採られている措置という。

 温室で十分撮影を楽しんだ後、もう一つの目的の、伊丹市昆虫館と日本チョウ類保全協会の共催によるプチ展示が行われている2階展示室に向かった。


伊丹市昆虫館と日本チョウ類保全協会共催のプチ展示会場入り口(2017.2.13 撮影)

 ここには会員の方々が撮影した貴重な写真の数々と標本類、それにチョウの保全を呼びかける教育的な内容の展示が行われていた。友人のSさんが撮影した「カラフトタカネキマダラセセリ」の素晴らしい写真も見せていただいた。


伊丹市昆虫館と日本チョウ類保全協会共催のプチ展(2017.2.13 撮影)


Sさん撮影の「カラフトタカネキマダラセセリ」も展示されていた(2017.2.13 撮影)

 軽井沢ではこの時期は蝶撮影の休眠期であり、今回のチョウ温室訪問は愛用のカメラともども久しぶりの活動の場になった。











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