軽井沢からの通信ときどき3D

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Karuizawa Foto Fest 2024(1)

2023-09-22 00:00:00 | 軽井沢
 今年に続き、来年も第2回目の軽井沢フォトフェスト(KFF2024)が開催される。開催自体は、すでに第1回目の期間中に決定されていたのであるが、実行委員会が始動していることがアナウンスされた。

 写真愛好家に、素晴らしい発表の場を提供したKFF2023であったが、先日、KFF2023の入選者宛てに、交流会が旧軽井沢ホテル音羽の森で開催されるとの連絡が届いた。交流会当日は、入選者97名のうち約30名が参加した。

 この時、開会の挨拶の後、KFF2024の計画概要が示された。次のようである。

 会期:2024年4月27日~5月26日
 会場:矢ケ崎公園、追分公園
 募集期間:2023年11月1日~2024年1月31日
 撮影期間:2023年1月1日~2024年1月31日
 撮影場所:軽井沢町とその他のエリア(御代田町、小諸市、東御市、嬬恋村、長野原町、
      佐久市、安中市)
 主催:軽井沢観光協会
 後援:軽井沢町、軽井沢町教育委員会、軽井沢町商工会、浅間山麓広域観光推進協議会
 メインスポンサー:富士フィルム株式会社

 多くは前回同様であるが、作品の展示会場は前回KFF2023 開催時の4会場から2会場に変更になった。また、撮影対象場所は、前回は軽井沢町内に限られていたが、今回は周辺エリアを含み次の地図で示すように大きく拡大された。


  KFF2024 撮影対象エリア

 KFF2024の実行委員会メンバーの紹介もあり、次のようである。前年比では組織面での若干の変更とメンバーの異動があった。

 実行委員長:鈴木健夫
 クリエイティブディレクター:野辺地ジョージ
 事務局長:遠山勉
 委員:小林里恵、久住直子、深町基、観光協会事務局(工藤局長、新宅、掛川)
 アート・アドバイザリー・カウンシル(AAC):山口一彦(KFFアンバサダー)、星野尚彦、
  成田貴享、速水惟広、塩澤一洋、石井陽子、大橋英児

 続いてKFF2024に向けて、ボランティア実行委員の募集がアナウンスされた。こうしたイベントを開催、運営していくためには実に様々な活動が必要になる。実行委員に求められる多くの作業内容が示され、希望する作業を選んで応募してほしいとの案内である。

 尚、実行委員に選ばれても作品の応募は制限されない。入選作品の審査は昨年同様匿名で行われるのである。

 この後、スポンサー企業である富士フィルムの担当者から、近日発売予定の中判カメラGFX100Ⅱの仕様・性能の解説と、実物の紹介が行われた。

 詳細は割愛するが、このGFX100Ⅱに採用されているイメージセンサーは、サイズが 43.8mm x 32.9mm と最近のデジタル一眼カメラで多く採用されるようになった35mmフィルムと同じフルサイズのセンサー( 35.9mm x 24mm) に比べても、面積で1.67倍大きく、画素数は1億を超えているというものである。

 このような、大サイズで5000万画素超のセンサーを搭載したカメラは、すでに2017年に富士フィルムから発売されており、2019年には画素数が1億画素超のセンサーを搭載したカメラも同じく富士フィルムから発売されているが、今回のモデルでは、センサーの読み出し速度の向上と、高速連写性能向上などが図られたという。

 私が今愛用しているカメラのセンサーは、サイズが17.3mm x 13.0mm で、画素数は1628万画素なので、GFX100Ⅱと比べると、面積、画素数共に6倍以上の開きがある。まだまだカメラのハード性能の向上は続いていることが実感される。もっとも、GFX100Ⅱの店頭予想価格は130万円ほどとされているので、我々アマチュアが簡単に買えるものではない。

 最新の高性能カメラの紹介に、ため息をついていると、司会者からプロの写真家、サム・エイベルのトークビデオを流しますとのアナウンスがあった。
 
 このトークビデオはKFF2023のイベント「KFFゲストスピーカー・シリーズ」の一つとして、今年4月12日~14日の会期中に、軽井沢ユニオンチャーチで行われた次の4人の講演を録画したものの一つであるという。


KFF2023の案内書記載のEVENT情報から

 軽井沢町民にも回覧された、このパンフレットによると、サム・エイベルのトークショウは4月14日、19:00~21:00に行われている。

 私は、このトークイベントに参加できなかったので、この日のビデオをとても興味深く視聴した。今回は2時間に及ぶ彼のトークの前半分の紹介であった。サム・エイベルについては、寡聞にして名前もその業績についても知らなかったが、KFF公式HPでは彼のことを次のように紹介している。

 「サム・エイベル(1945年オハイオ州シルバニア生まれ)は日常を撮影する写真家の中でも『マスター』と他の写真家から絶賛される偉大な存在です。
 彼はナショナルジオグラフィックに写真が頻繁に掲載されることで知られているアメリカの写真家です。また、KFFの総監督、写真家 野辺地ジョージの師匠でもあります。

 エイベルが写真を好きになったのは、写真クラブを主宰する地理教師であった父親の影響からです。著書『The Photographic Life』の中で、父親と出かけた先で撮った写真が、その後フォトコンテストで小さな賞を受賞したことに触れています。この写真が、その後の彼の人生の方向性に大きな影響を与えたと述べています。高校のイヤーブックと新聞ではカメラマンと共同編集者を務めました。

 レキシントンのケンタッキー大学で英語学を専攻、ジャーナリズムを副専攻し、ケンタッキアン年鑑の編集長を務めた後に卒業しました。その後、教師、芸術家、作家としても活躍しています。

 エイベルは2009年にトレド大学から名誉文学博士号を授与されています。

 サム・エイベルの著書『The Life of a Photograph』は、2000年に『Seeing Gardens』から始まった3冊のうちの1冊です。2002年には『The Photographic Life』に続いています。

 彼のトークショウは、アメリカの写真界では最も感動するトークのひとつと絶賛され、野辺地氏を含む多くの現役写真家は彼のトークを経験して人生が変わりました。第一回軽井沢フォトフェストのゲストスピーカーシリーズのアンカーは、サム・エイベルです。彼との特別な時間は決して忘れることはないでしょう。」

 ビデオの中で静かに語るサム・エイベルの写真との出会いや、写真撮影に対する考えを聞きながら、スクリーンに映し出される彼の作品を見るのはなかなか感動的で、野辺地氏が彼との出会いに触発されて、トレーダーの職を投げうって写真家の道に入る決意をしたのもうなずけるものであった。

 サム・エイベルは、彼が近く出版する予定の写真集の、表紙を飾る写真について話した。それは電車内の席に座って、窓の外を体をねじるようにして眺めている若い日本人女性のものであった。

 この写真に、彼の写真に対する考えがすべて含まれていると彼は語った。この段階では、それが何を意味するのかは判らなかったが、次々と紹介されていく彼の作品を見ていると、必ずと言っていいほど直線が画面の構成要素として含まれていることに気づく。

 上の電車内の写真の場合は窓枠であったり、座席のシートの下辺であったりするが、他の写真では建物に開けられたアーチ形の出入り口の縦のラインであったり、また別の写真では地平線であったりする。こうした画面に現れる直線はフレームと平行になっていて、安定感と安心感を見る者に与える。

 もう一つの彼の写真撮影に対する取り組みは、繰り返し同じテーマを追うということであった。それは、電車内であったり、場所は海外と日本と遠く離れているが、似たような建物の出入り口であったりしている。

 そして、このようにして選ばれた背景の中に、生命を感じさせるものが入り込んでくるのを待つ。彼の写真撮影のキーワードと言えるものは、基本となる要素と構図を決めて、そしてその中に決定的瞬間を構成する、もう一つの要素が入ってくるのを「待つ」ということであった。

 ナショナル ジオグラフィックのWebサイトを見ると、「プロの撮り方」として以下の10人の写真家の写真スタイルを紹介している。

 No.0 ジョエル・サートレイ(野生生物)
 No.1 ジョディ・コップ(人・文化)
 No.2 デビッド・アラン・ハーベイ(人・イベント)
 No.3 ウィリアム・アルバート・アラード(アメリカ西部の人物)
 No.4 デビッド・デュビレ(水中写真)
 N0.5 マイケル・ニコルズ(環境・自然)
 No.6 マイケル・ヤマシタ(人物・文化)
 No.7 クリス・ジョンズ(自然・野生)
 N0.8 サム・エイベル(人)
 N0.9 ジェームズ・L・スタンフィールド(人)

 カッコ内のテーマは、サイトで紹介された写真と、文章から私が勝手に抽出したもので、もちろんそれぞれの写真家の被写体がこれに限定されるものではない。ナショナル ジオグラフィック誌という媒体の性格上、偏りはあるが、10人10色の写真撮影スタイルが紹介されていて興味深い。

 これらの写真家の中でも、サム・エイベルは独特のスタイルを持っていることがわかる。 

 興味を持たれたら、直接このナショナル ジオグラフィックのWebサイトを訪ねていただくことにして、ここではその中のサム・エイベルについての記述と、彼本人からのアドバイスが紹介されているので一部を引用する。次のようである。

 「サム・エイベルは、高度な機材を必要とする撮影にはまるで関心がない。ストロボ装置も持ち歩かないし、被写体の影の部分に光をまわすレフ板すら使わない。・・・
 どんな撮影にも必ず機材が必要なことはエイベルもわかっているし、最新機材をそろえる写真家を批判しているわけでもない。ただ、エイベル自身は効率と経済性を重視し、持ち歩く荷物には28mmと90mmのレンズ各1本と2台のカメラ、フィルム1種類しか入れていない。・・・」

 「サム・エイベルは写真ワークショップの講師をよく務めるが、撮影機材や技術の解説にはほとんど重きをおかない。・・・
■一貫性のある取り組みをすることや、生涯の撮影テーマを定めることをエイベルは勧めている。
■一生のテーマを追求するのはプロの写真家とは限らず、熱意があればアマチュアでもいい。撮る対象は風景、人間、場所、抽象的主題など何でもいい。・・・最も大切なのは、自分が心から撮りたいと思うものを、自分のやりかたで撮っていくことだ。この二つのことに関しては、だれもあなたの代わりになれないのだから。」

 第二回目の軽井沢フォトフェストが始動し、今年ももうすぐまた作品の応募の時期が来る。

 第1回軽井沢フォトフェストKFF2023の公式カタログに掲載されている250点の作品を改めて見ると、多くの審査員の方々が触れているように、軽井沢の自然を撮影した作品が圧倒的に多い。

 被写体別にやや強引に整理してみると次のようである。

KFF2023 入選作品の被写体別の比率

 審査員の方々のコメントや、こうした結果をふまえて、第二回ではどのような作品が応募され、そして選ばれ展示されていくのか、今から楽しみである。

 私も日々撮影している多くの記録のための写真の中から、多少なりとも鑑賞にたえるような候補作品を選び出す作業を少しづつ始めたところである。


 
 
  

 
 

 

 

  





 
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