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軽井沢からの通信ときどき3D

移住して11年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

新型コロナウィルス情報 2020/1/1-1/31

2020-01-31 00:00:00 | 新型コロナウィルス

1/1
 ・ゴーン被告無断出国 渡航禁止の保釈中 「レバノンにいる」声明
 
1/3
 ・ゴーン被告 仏のパスポート所持 逃亡トルコ経由か
 ・NY株 年間上げ幅最大 19年、5210ドル

1/4
 ・青学V奪還 箱根駅伝
 ・米 イラン・スレイマニ司令官殺害 革命防衛隊「コッズ部隊」 イラクで空爆

1/5
 ・米 中東に3000人増派 司令官殺害 トランプ氏正当性主張
 ・米・イラン 高まる緊張 テヘランなど「報復」一色
 ・内閣府 防災担当を増員 最多104人、被災者支援強化

1/6
 ・トランプ氏イランに警告 報復なら「52か所攻撃」
 ・夜間観光 地方も盛り上げ 政府支援へ 美術館延長や飲食店認定
   政府は20年に訪日客の消費額を8兆円に増やす目標を掲げる。

1/7
 ・令和を拓く⑤最終回 輝く未来 挑戦は続く
 ・イラン核合意 有名無実 制限撤廃発表 対米強硬 一歩も引かず
 ・トランプ氏 金正恩氏は約束破るかも

1/8
 ・海底ケーブル輸出支援 中国に対抗 通信の安保対策 
 ・ゴーン被告妻に逮捕状 地検 特別背任事件偽証容疑
 ・【広告】~2021年 世界経済リスク入門 渡邉哲也著 徳間書店発行
   何が起こるのか・どこが問題か・どこまで広がるか
 ・8年目の首相 「来年」へ意欲 桃栗三年・・・「ゆず9年の花盛り」
 ・少子高齢化 若者 社会保障に閉塞感
   2050年代 1億人割れ、2065年 高齢化率38%

1/9
 ・イラン、米攻撃 「報復」弾道ミサイル「15発」イラク駐留基地に 米報道
   あだ討ち 強硬示す 米、真意見極め
 ・イランでウクライナ機撃墜 179人死亡
 ・公明・山口氏 五輪閉幕前の衆院選に否定的

1/10
 ・米、イラン制裁強化 武力行使見送り 大統領演説
 ・【広告】2020年の「羅針盤」 文藝春秋

1/11
 ・防衛相 海自に中東派遣命令 日本関係船舶 安全を確保 哨戒機2機きょう出発
 ・英 EU離脱月末実現へ 関連法案可決 移行期間11カ月
 ・墜落機イラン誤射か カナダ首相「証拠ある」 イランは否定
 ・イラン、さらなる孤立 ウクライナ機墜落 欧州・カナダ 責任追及へ
 ・訪日客2.2%増 伸び鈍化 昨年最多3188万人 「20年4000万人」暗雲
 ・医師の働き方改革 柱に 診療報酬改定骨子案 救急病院に手厚く

1/12
 ・イラン、撃墜認める ウクライナ機 「人為ミス」 賠償応じる方針
   イラン苦境浮き彫りに 国際包囲網、国内体制不信 
   ウクライナ大統領「国際調査を」
 ・イラン 反体制デモ 旅客機撃墜 ハメネイ氏退陣要求
 ・台湾総統選 蔡氏リード 民進党 中国対抗姿勢に支持
 ・浸水リスク・代替庁舎「未定」42自治体 昨秋被災の13都府県

1/13
 ・中東緊張緩和へ連携 首相、サウジ国王と会談
 ・台湾総統 蔡氏再選 過去最多得票 「中国に対抗」堅持
 
1/14
 ・領海調査の中国船を排除 海洋データ 軍事利用防ぐ 政府、強制退去も
   海洋安保、意識に開き 経済官庁と情報共有されず
 ・台湾 国民党総統選大敗で、対中路線見直しの声

1/15
 ・和牛 海外流出に罰則 遺伝子の不正譲渡 農水省、法案提出へ
 ・米国務長官 北朝鮮の非核化「正恩氏に期待」
 ・韓国大統領 制裁の例外化に言及 「金剛山」観光再開鮮明に
 ・企業倒産11年ぶり増 人手不足響く
 ・激震 暮らし変えた 2010年代は、日本全体が激動の渦に巻き込まれた時代だった
 
1/16
 ・米 TV討論会 民主、「司令官殺害」を非難
 ・長野 県内倒産 05年以降最少 昨年77件2年連続減 返済条件緩和などで
 
1/17
 ・温室ガス削減 新戦略 官民30兆円 技術開発 首相表明へ
 ・米中「第1段階」署名 米、制裁関税を緩和 貿易協議 米中貿易 妥協の休戦
 ・新型肺炎 中国感染防止強化 SARS経験の香港警戒
 ・新型肺炎 国内初確認 武漢へ渡航 30代中国人男性
 ・風疹患者昨年2306人

1/18
 ・中国 成長減速6.1% 昨年29年ぶり低水準 対米摩擦打撃
 ・訪日韓国人26%減 昨年 8年ぶり前年下回る
 ・基礎的収支赤字3.6兆円 25年度試算 税収見通し引き下げ
 ・再建JAL 拡大へ岐路 破綻10年 国際線LCCカギに
 ・病院再編 リストを修正 厚労省、約20カ所を追加

1/19
 ・新型肺炎感染45人に 武漢市発表 新たに4人発症
 ・深圳と上海で3人感染疑い 香港紙報道
 ・患者数1700人超か 英インペリアル・カレッジ・チーム推計

1/20
 ・新型肺炎患者17人増 武漢市発表 計62人、重症者も8人に 

1/26
 ・森林火災 豪悲鳴 観光打撃、希少動物被害 温暖化 落雷増え土地乾燥
 ・ダボス会議閉幕 米、気候変動で各国と対立 対欧州 デジタル課税火種

1/27
 ・武漢在留邦人帰国へ 首相表明 民間機チャーター
 ・患者 世界2000人超す
 ・中国当局 「感染力強まっている」
 ・日本で4例目 中国・武漢市から旅行で愛知県訪問の40歳代男性
 ・中国 北京、上海も移動制限 バス・鉄道運休 学校は休校 朝令暮改で混乱
 ・団体旅行禁止 日本に痛手 キャンセル続々 訪日客「4000万人」黄信号
 ・米仏韓も退避検討 邦人帰国へ、武漢生活に不安
 ・新型肺炎、春節直撃 観光地で悲鳴 「売り上げ厳しい」

1/28
 ・新型肺炎 指定感染症に、政府きょう決定 強制入院可能 
 ・中国首相が武漢入り 感染2800人超、死者81人 激励、全人代控え
 ・強い感染力 官邸一転 指定感染症、トップダウンで決定
 ・経済 肺炎リスク 新型拡大、工場再開見えず・株一時500円超下げ
 ・感染防止へ在宅勤務、中国客 マスク爆買い
 ・中国 「対策遅れ」批判に焦り 中国、封じ込め「総力戦」
 ・湖北省住民ら、香港入境制限
 ・医療機関 受け入れ訓練 指定感染症に、都は50床確保
 ・感染を防ぐには 手洗い忘れずに

1/29
 ・国内「人から人」感染か 日本人男性ツアーバス運転手、武漢渡航歴なし
 ・武漢邦人きょう帰国 200人 第1便 羽田出発
 ・中国 死者106人に
 ・邦人帰国 「退避作戦」水面下の攻防 空港使用 中国の許可難航
  希望者急増、外相直談判
 ・厚労省 国内対策 徹底呼びかけ 保健所に報告、運用見直し
 ・株 2日連続下げ 小売りや旅行売り
 ・ホンダ2工場生産再開延期
 ・補正予算案 衆院通過
 ・東南アジア各国 中国人ビザ発給停止
 ・北ピリピリ 防疫脆弱 開城の韓国人にマスク着用要請
 ・邦人 「早く帰りたい」チャーター機心待ち 第1便乗れず「いつになったら」
 ・都内の病院 感染疑い「陰圧室」で治療 受け入れ態勢公開
 ・WHO発表 中国国外の患者、37人中男性7割
 ・LCC・ジェットスター・ジャパン 中国からの客に、搭乗自粛を要請
 
1/30
 ・武漢から帰国12人入院 2人肺炎、新型か検査
 ・第1便206人到着 第2便出発へ
 ・武漢で邦人重篤 菅氏「陽性疑い高い」
 ・中国感染 SARS超え 6000人に拡大 糖尿病など持病重症化の危険性
 ・周辺国 国境規制を強化 ロシア、モンゴルなど
 ・ウイルス培養 豪研究所成功 診断や治療、前進期待
 ・企業活動 打撃 ユニクロ休業、トヨタ再開延期
 ・WHOトップ 中国からの退避に批判的、「過剰反応」と述べる 中国影響力に配慮か
 ・政府与党 新型肺炎対応 注文続々
   与党:検査キット開発急げ、野党:感染症指定遅すぎる
 ・補正予算案 きょう成立
 ・基礎からわかる新型肺炎 
   発端は:武漢の市場から拡大
   感染力は:「麻疹より弱い」データも
   感染者への対応は:入院勧告、就業を制限
   予防法は:こまめな手洗いを
 ・武漢団体客 奈良公園に 感染した運転手のバス 山梨にも3回訪問
 ・バス会社 対策強化 運転手マスク着用・消毒徹底
 ・文科省通知 中国から帰国後 児童ら2週間「厳重な観察」
 ・帰国者を厳戒搬送 病院「陰圧室」で経過観察 検疫官「円滑に進められた」
 ・帰国の二人「武漢に残った人の力に」 

1/31
 ・新型肺炎 帰国第一便 3人感染2人は無症状 国内で初確認
 ・第2便210人到着 26人が入院
 ・三重の50代男性新たに感染確認 国内12人目
 ・中国 感染者7800人超す
 ・中国チーム発表 「人から人へ感染、12月中旬から」
 ・検疫「すり抜け」恐れ 「症状あり」発見が前提
 ・中国便5%取りやめ 成田空港
 ・株、3か月ぶり安値 感染拡大懸念2万3000円割れ
 ・補正予算成立 4兆4700億円 災害復旧や経済リスク対応
 ・武漢 人影消えた 新型肺炎・封鎖1週間 感染恐怖 疲労濃く 渦中に大宴会 情報
  隠し、疑念噴出
 ・国会論戦 異なるスタンス 立民、「桜」「IR汚職」政権批判、国民「肺炎対策」「憲法論議」
  も
 ・武漢帰国便 「国費負担で」 公明・山口氏、官房長官は難色
 ・自民・伊吹氏 「緊急事態対応」議論を深めるべきと提起
 ・中国 武漢住民締め出し ホテルに隔離、懸賞金も
 ・タイ 中国人と接触 観光業者検査    
 ・感染リスク「低く」 専門家「慌てず予防を」
 ・無症状 見えぬ脅威 帰国者 ホテル足止め
 ・第2陣は警察大学校
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青色顔料の発見と電子を見るはなし

2020-01-31 00:00:00 | 
 新しい青色顔料が200年ぶりに発見されたというBiglobeのニュース(2019.7.17)に目がとまった。私自身、かつて酸化物の青色への変化を利用した表示素子の開発をしていたことがあるからであるが、もうひとつ最近は青色顔料の原料でもある鉱物、ラピスラズリに興味を持っていることも理由であった。

 2019年7月17日付のこのニュースには「ハッとするような鮮やかな青、『YlnMnブルー』。2009年にアメリカで発見された無機青色顔料の一種」という言葉と共に、Wikipediaから引用したという次の写真が添えられている。


新発見の青色顔料「YlnMnブルー」の画像(Wikipediaより)

 写真を見ると確かにこの記事の言葉通り、「YlnMnブルー」(インミンブルー)はとても鮮やかな青色に見える。記事は次のように続いている。

 「偶然に生まれた『YlnMnブルー』、古くは古代エジプトや中国の漢王朝、マヤ王国など、紀元前より高貴な青色顔料は人気が高いが、色落ちしやすかったり、毒性があったり、製造に手間とコストがかかりすぎたりと、あらゆる面で完璧な青色を創り出すのは長年の課題であった。・・・
 顔料業界にとって世紀の大発見ともいわれており、年内には販売も開始される予定ということで世界中から注目を集めているという。
 実はこの顔料は全くの偶然から生まれている。酸化マンガン類の電気的特性を研究していた米・オレゴン州立大学の大学院生が、黒い酸化マンガンと他の化合物を混ぜ合わせ摂氏1200度という超高熱の炉で焼いたものの一部が、美しい青い粉に変化していたことを発見したのである。
 研究チームを率いているマス・サブラマニアン教授らはこの変化に驚きと興奮を持って直ちに調査を開始し、この物質が「三方両錐構造」というユニークな結晶構造をしており、内部のマンガンイオンが緑と赤の光を吸収して、吸収されない青のみが鮮明に現れていることを突き止めた。
そして耐久性に優れて安定性も高く、水や油にも強いことが判明したのである。
 教授らは原料であるYttrium(イットリウム)、Indium(インジウム)、Manganese(マンガン)の元素記号を取って「YInMnブルー」と命名した。・・・
 オレゴン州立大学からライセンスを受けて「YlnMnブルー」の販売を予定しているShepherd Color Companyは、環境に優しくかつ生産しやすいこの顔料がさまざまな場面で活用されることに期待を寄せる。すでに製品化も進んでおりサンプル販売の認可は下りているため、年内にも市販できるめどが立っているという。
 『YlnMnブルー』に続き緑や紫、オレンジなどの各色の研究にも着手したというサブラマニアン教授のチーム。また別の鮮やかな“新色”が発見されるのか、吉報を待ちたい。(文=Maria Rosa.S)」

 原著論文は、Journal of Chemical Society 2009,131,47 に掲載されているが、これによると、インミンブルーは、YMnO3とYInO3の固溶体であり、YIn1-xMnxO3と表現されていて、結晶の中でIn:インジウム原子とMn:マンガン原子は同じ位置に入り、その割合xは0から1の間で連続的に可変である。

 論文によると、Mnの割合xを変化させたときの結晶の色は次のようであり、X=1の時、色は黒になる。


「YlnMn(インミン)ブルー」の色とMnの割合xとの関係(Journal of Chemical Society 2009,131,47 )

 200年ぶりと言われる理由について調べてみると、1802年にフランス人化学者のルイ・ジャック・テナール(Louis Jacques Thenard)がコバルトブルーを発見して以来のことだからということである。また、この青色について、発見者の教授は「われわれが見つけた色素は、ウルトラマリンに似ているがずっと長持ちするので、美術修復に役立つ」といっているとされる。

 コバルトブルーやウルトラマリンという言葉が出てきたが、これはご存知の通り青色顔料の名前であり、油絵具などでも同様の名前が用いられている。これら種々の絵の具の青色を比較してみると、次のようである(各色のR,G,B値を用いて色を表示しているが、あくまでも相対的なものとしてご覧いただきたい)。


各種青色顔料の色の比較

 ここで、新発見のインミンブルーの色を表示させる際には、ウィキペディアに示されている「代表的なR,G,Bの数値」を用いたが、マス・サブラマニアン教授の言うようにウルトラマリンに近い色になっていることが分かる。尚、ウルトラマリンは天然のラピスラズリを精製して得られるが、その結果鉱物のラピスラズリとはやや色が異なるとされているので、同時に示しておいた。

 ところで、このラピスラズリが最初に顔料として利用されたのは6–7世紀におけるアフガニスタンの寺院の洞窟画であり、これが鉱物顔料の始まりとされる。天然のラピスラズリ鉱物から良質の青色顔料を得る方法は13世紀の初頭に開発されており、この顔料が最も広く使われたのは14世紀から15世紀にかけてで、朱色や金色の補色として映えるため、装飾写本やイタリアの陶板画に用いられたという。
 ヨーロッパの芸術家たちはこの貴重な顔料をめったに使用できず、聖マリアやキリストのローブを塗るための取って置きの品であった。天然ウルトラマリンを使った画家のうち、フェルメール(1632.10-1675.12)はとても有名で、フェルメール・ブルーという呼称があるくらいである。中でも1665年の作とされる「真珠の耳飾りの少女」はよく知られている。次の写真は土産物として売られていた複製画を撮影したものである。


フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」(2019.12.30 撮影)

 上で、インミンブルーがYMnO3とYInO3の2種の酸化物の固溶体(混合物ではなく均一にまじりあっている結晶のこと)であることを紹介したが、鉱物のラピスラズリもまた固溶体であり、4種類の鉱物からなることが知られている。その4種類とは主成分のラズライト(青金石、Na8-10Al6Si6O24S2)、ソーダライト(方曹達石、Na8Al6Si6O24Cl2)、アウイン(藍方石、(Na,Ca)6-8Al6Si6O24(SO4)1-2)、ノゼアン(黝方石、Na8Al6Si6O24SO4)であるが、複雑ながらも類似の結晶構造を持つことがわかる。このためラピスラズリは12面体の結晶でしばしば産出するという。

 このうち、ラズライト、ソーダライト、アウインの3種はそれ自体が青色の鉱物であるが、ノゼアンは無色透明な鉱物である。これらが混じり合うことでラピスラズリの青色が生まれている。尚、天然の鉱物にはこのほかに白い方解石や金色の黄鉄鉱が混じることがある。

 ラピスラズリは人類に認知され、利用された鉱物として最古のものとしても知られている。エジプト、シュメール、バビロニアなどの古代から、宝石として珍重されてきた。有名なツタンカーメンの黄金のマスクにもラピスラズリが用いられている。日本ではトルコ石と共に12月のほかに9月の誕生石とされる。

 鉱物としてのラピスラズリに興味があって、その原石をくりぬいて作られたドイツ製のキャビアボウルを手に入れ、ガラス製品ではないのだが私のガラス・ショップに置いている。ボウルの直径は約15cm、高さは約11cmで次のようなものである。


ラピスラズリ製のキャビアボウル
 
 さて、最後は表題に掲げた「電子を見る」話である。といってももちろん電子を直接見ることができるわけではなく、電子の動きを間接的に色の変化として目で見えるようにできるというもので、私が経験した中でも、なかなか興味深い実験なのでここで紹介させていただく。ただし、準備には専門的な装置も必要なので、どなたにでも追認していただけるものではないことをお断りしておく。

 用意する材料は、ガラス板にWO3:酸化タングステン膜を薄く(0.5ミクロン程度)形成したもの、金属針(インジウム)、電解液(希硫酸溶液)などで、実際にはシャーレなどの容器に、電解液を注ぎ、ここにWO3膜のついたガラス板を沈めて実験を行うが、次図(上)のように配置する。この状態は1種の電池のようなもので、WO3膜と金属針の間には電位差が発生している。この状態で、金属の針の先端をWO3膜に接触させると(図の「中」)、WO3膜はその接点から着色して、周囲に向かって広がっていく(図の「下と右」)。この着色が起きる理由は、金属針から電子が膜に注入されているからで、膜の中を電子がゆっくりと拡散している様子を見ていることになるのである。電子にはもちろん色は付いていないが、電子のあるところ色ありという感じで着色していく。電子の注入と同時に電解液からは水素イオン(プロトン)が素早くWO3膜に図に示すように移動する。


WO3薄膜に金属針から電子が注入されるのを見る実験

 WO3薄膜は元来透明であるが、電子と水素イオンとを同時に取り込むことで、タングステン・ブロンズという青い物質に変化する。膜の中で電子が比較的自由に動くことができるため、光の中の赤から近赤外線部分を吸収するためである。この現象は、インミンブルーで見た結晶中のInをMnで徐々に置き換えていくと、色が濃くなっていく現象に似ている。

 きちんとした結晶構造を持つインミンブルーなどの物質では、高温で熱処理をしないとMnを結晶中に取り込むことはできないが、WO3の膜の場合膜が非晶質で空隙の多い構造であるため、電池作用で、室温下でも膜の中に電子と共に水素イオンをとり込むことができるためにこうしたことが起きるのである。

 新しい青色顔料発見のニュースを知り、その着色のメカニズムを見ていて、40年ほど前に行った実験のことを懐かしく思い出したのであった。




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