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軽井沢からの通信ときどき3D

移住して11年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

雲場池の水鳥(18)ヒドリガモ

2022-02-25 00:00:00 | 野鳥
 今回はヒドリガモ。水鳥にそれほど関心がなかった頃でも、生息地に行くと個体数も多く、よく目についた種の一つであった。特に♂の頭部の赤褐色の色と頭部から額にかけてみられる淡色の筋は特徴的で、遠くから見ていても区別が容易である。雲場池ではそれほど多い種ではなく、たまに見かけるという程度で、2020年12月から2021年1月にかけてと、2021年の10月以降に飛来している。


ヒドリガモ♂(上方の3羽)♀(右上)とキンクロハジロ♂♀(2020.12.31 撮影)


マガモの群れに混じるヒドリガモ♂(2021.1.6 撮影)

 雲場池に常にいるという種ではないためか、人の気配には敏感で、池周辺を散歩していると、常に対岸の方に移動して距離を取ろうとするし、更に距離を縮めていくと飛び立っていくことが多い。


雲場池で見られる水鳥(2020.1-2022.1)

 いつもの「原色日本鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年保育者発行)の記述を見ると、次のようである。
 「♂の前額から頭央まで黄白色。喉は黒、その他の頭頸部は栗色。嘴峰29~38mm、翼長220~272mm、尾長98~120mm、跗蹠35~40mm。背と脇とは白と黒との虫くい状はん。胸はぶどう色、腹は白下尾筒黒。翼の雨覆白く飛行時顕著である。嘴は青灰色で先端黒。♀は上面黒かっ色で羽縁黄かっ色。下面腮、喉、胸、脇は赤かっ色で腹は白。
 広く欧亜大陸の北部で繁殖し、我国には秋期多数飛来する。昼間は主として海上、湾内、広い湖沼の中央部などで生活し、夜間水田、沼沢地などに飛来する。ピィユー、ピィユーとなき合い、飛行中も盛んになく。
 冬鳥として北海道・本州・八丈島・四国・九州・種子島などに渡来する。」とある。

 ヒドリガモの場合も、他のカモ類と同様、雌雄の羽衣の違いは明確であり、2021年10月に飛来した頃の写真には、♂の姿はない・・と見えた。しかし、これが一部エクリプスであることに気が付いたのは随分後、今年2月になって写真を改めて整理している時であった。エクリプスというのは♀の羽衣によく似た状態の♂のことである。

 先ず、そのエクリプスから見ていただく。♀だと思っていた写真をよく見ると、額の一部に淡い色の混じっているのが見える。また、体側部を拡大して見ると、♂の羽に特有の縞模様(虫くい状はん)が部分的に混じっていることがわかる。

ヒドリガモ♂エクリプス(2021.10.19 撮影)

同上の頭部拡大

同上の腹側部拡大

 数日遡り、10月15日に撮影した写真を点検してみると、やはりエクリプスと思われる個体の写真が混じっていた。頭部の色が変化しはじめていて、背から腹側にかけての羽模様にも先の例と同様の「虫くい状はん」への変化がみられる。次の写真は19日撮影の個体とは別の♂エクリプスと思われる。

ヒドリガモ♂エクリプス(2021.10.15 撮影)
 
 この時期、マガモにも何羽ものエクリプスが混じっていた。次はマガモ♂エクリプスとマガモ♀と共にいるヒドリガモ♂エクリプス。 

ヒドリガモ♂エクリプス(奥)、マガモ♀(中間)、マガモ♂エクリプス(2021.10.19 撮影)

 では続いて、ヒドリガモの姿を雌から順に見ていただく。

ヒドリガモ♀(2021.10.8 撮影)
ヒドリガモ♀(2021.10.11 撮影)
ヒドリガモ♀(2021.10.11 撮影)

 続いて換羽し生殖期の羽衣に変わった♂の姿。

ヒドリガモ♂(2022.2.14 撮影)
ヒドリガモ♂(2022.2.16 撮影)
ヒドリガモ♂(2022.2.14 撮影)
ヒドリガモ♂(2022.2.16 撮影)
ヒドリガモ♂(2022.2.14 撮影)
ヒドリガモ♂(2022.2.19 撮影)

 次は雌雄のペアの姿。生殖羽の季節になると、違いは明瞭である。

ヒドリガモ♂♀(2020.12.31 撮影)
ヒドリガモ♂♀(2022.2.19 撮影)

ヒドリガモペア(2022.2.12 撮影)

 ヒドリガモの大きさは、雲場池に来る水鳥の中では中間くらいで、マガモやカルガモよりやや小さく、ヨシガモと同程度。キンクロハジロよりもやや大きい。他種と一緒に撮影した写真で見較べることができる。

マガモ(右2羽)、キンクロハジロ(中央3羽)とヒドリガモ♂3羽(2020.12.31 撮影)
マガモ♂(右)、ヨシガモ♂(左)とヒドリガモ♂(2022.1.16 撮影)
コガモ(手前)とヒドリガモ♂エクリプス(2021.10.15 撮影)

 どの水鳥も同様であるが、羽を開くとその翼の長さや逞しさには驚く。長距離の渡りを考えれば当然のことなのだが、羽を折りたたんで、水面を滑るように泳いでいる姿からすると意外に感じる。

潜水した後水面で羽ばたくヒドリガモ♂(2022.2.16 撮影)


飛び立つヒドリガモ♂(2022.2.15 撮影)
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雲場池の水鳥(17)ヨシガモ

2022-02-04 00:00:00 | 野鳥
 今回はヨシガモ。この種はこれまでのところ、雲場池では希少種の部類に入る。昨年12月に最初にヨシガモ♀らしい姿を見かけた時には、種名がはっきりせず、そのままになっていたが、今年1月になってすぐに、2日間続けて♂の姿を見かけ、近くには♀の姿もあったことから、改めて以前12月に撮影した写真を見直し、図鑑の写真と見比べて、これもヨシガモ♀であったと判定した。

 雲場池に1月に最初に飛来したヨシガモの♂は一羽だけであった。他のカモを撮影している時に、どこからか飛んできて正面遠方に着水したところをレンズ越しに見ていて、頭部に構造色を認めたので、これまで見たことのない種と分かった。マガモ♂ともコガモ♂とも違っていた。

 帰宅後図鑑で調べて、頭部の構造色と喉が白く、黒い頸輪があるところからヨシガモと判定した。図鑑によれば、「ナポレオン帽をかぶったカモ」との記載があるが、今回最初に目撃した個体ではそうした後頭部に伸びる冠羽はまだ明瞭ではなく、さらに、脇から下腹にかけて、まだ一部に換羽前の褐色の羽が残っていたので、エクリプスから生殖羽への移行の最終期にあるものと思われた。

 また、この♂のヨシガモと一緒に写っていた♀は、最初はマガモ♀だろうと思っていたが、羽模様と嘴の色をよくみるとヨシガモの♀であると判定された。
 
 いずれにしても、過去2年間は気づかなかった種であり、♂の羽衣に特色があり、なかなか美しく、1月中は撮影に夢中になってしまった。 

 1月中旬には♂がもう一羽加わり2羽に、さらに今♂は4羽に増えている。エクリプスの名残の褐色の羽はもう見られなくなり、生殖羽に完全に変化し、オシドリとマガモの中間程度の派手さと美しさである。


雲場池で見られる水鳥(2020.1-2022.1)

 いつもの「原色日本鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年保育者発行)の記述を見ると、次のようである。
 「♂の頭上は紫栗色で後頭の羽毛長く冠羽となる。三列風切細長く延びて湾曲し、みの毛状となる。嘴峰37~49mm、翼長216~255mm、尾長65~84mm、跗蹠33~43mm。顔は金緑色と光沢ある黒紫色とよりなり、額と眼の下とに小白はんが一個ずつある。喉、頸は白く幅の広い緑黒色の頸輪がある。背、脇は白と黒との虫くい状はんにて胸のはん紋は粗で半月形はんである。翼鏡は藍黒色。嘴と胸とは黒。♀は上面黒かっ色と黄かっ色とのまだら。下面胸はかっ色で黒かっ色の半月形はんがあるが腹は淡色。
 シベリアの北部及び東部・カムチャッカ・満州・樺太・千島・北海道などで繁殖し冬期は中国南部・印度支那・印度にまで渡る。我国では冬期各地に普通であり、その数は多い。昼間は海上、広い湖沼の中央部などに群集して生活し、夜間水田、沼沢地などに飛来して採食する。
 北海道で少数繁殖。冬期北海道南部・本州・伊豆七島・四国・九州などに渡来。」

 まず、最近撮影した♂の個体から見ていただく。ナポレオン帽もだいぶ伸びてきており、鎌状の風切り羽も伸びて全体としてはすっかり生殖羽に変化している。


雲場池のヨシガモ♂(後方はオカヨシガモ♂ 2022.1.23 撮影)

雲場池のヨシガモ♂(2022.1.14 撮影)

 そのナポレオン帽とよばれる冠羽は頭を下げると存在がよくわかる。


ナポレオン帽と呼ばれる冠羽が見られるヨシガモ♂(2022.1.14 撮影)

 ヨシガモ♂の頭部の構造色は角度により通常は緑色の部分まで赤く変化し、全体の様子が一変して見えることがある。

雲場池のヨシガモ♂(2022.1.16 撮影)

雲場池のヨシガモ♂(2022.1.16 撮影)

雲場池のヨシガモ♂(2022.1.14 撮影)

 マガモ♂と一緒のところ。大きさは同等である。


雲場池のヨシガモ♂(手前)とマガモ♂(2022.1.16 撮影)

 オオバンよりはだいぶ大きいといえる。

雲場池のヨシガモ♂(奥)とオオバン(2022.1.14 撮影)

 オカヨシガモ♂と何やら相談をしているようである。

雲場池のヨシガモ♂(左)とオカヨシガモ♂(2022.1.14 撮影)

 この日ヨシガモ♂は2羽見られた。


雲場池のヨシガモ♂2羽(2022.1.14 撮影)

 1月中旬には♂は4羽に増え、今もその姿が見られている。


ヨシガモ♂が4羽1列になって移動(2022.1.31 撮影)

 続いて♀を見ていただくが、まず♀の羽模様がよく似た次の4種を見ておこうと思う。嘴の色がオレンジ色をしているのは、マガモとオカヨシガモであり区別される。ヒドリガモの嘴は灰色で先端部だけが黒い。こうして、ヨシガモの♀は他種と区別される。
 しかし、嘴が黒く、ヨシガモの♀と思われるものに、羽の文様の微妙に異なるものがいるので、混乱したのであった。


♀の羽色が似通っている4種の比較

 今回撮影したヨシガモの♀と思われるものは次のようである。図鑑によると、♂のエクリプスと♀とは酷似しているとあるので、あるいは以下のいずれかがエクリプスという可能性があるのだが、今のところまだ判別は付かないでいる。

雲場池のヨシガモ♀(2021.12.15 撮影)

雲場池のヨシガモ♀(2021.12.15 撮影)

雲場池のヨシガモ♀(2021.12.15 撮影)


雲場池のヨシガモ♀(2021.12.15 撮影)

雲場池のヨシガモ♀(2021.12.15 撮影)

マガモ♂とヨシガモ♀(2021.12.15 撮影)

 これらの2羽のヨシガモ♀を同じ画面で撮影したところがある。

雲場池のヨシガモ♀2羽(2021.12.15 撮影)


マガモ♀(右)とヨシガモ♀(2021.12.15 撮影)

 次は、1月初旬に最初に見かけた♂の個体であるが、腹部など一部に換羽前の状態を残していて、エクリプスの終わりごろと思われる。ヨシガモ♂の特徴とされる、鎌状に伸びた3列風切はまだ見られない。

雲場池のヨシガモ♂エクリプス(2022.1.3 撮影)

雲場池のヨシガモ♂エクリプス(右)(2022.1.3 撮影)

雲場池のヨシガモ♂エクリプス(左)とヨシガモ♀(2022.1.4 撮影)

 最後は、生殖羽に換羽した後の♂と♀とのペアの様子と、飛翔時の♂の姿。

雲場池のヨシガモ♂(右)とヨシガモ♀(2022.1.14 撮影)

 次は暗緑色とされる翼鏡が見える飛翔時のヨシガモ♂。







飛翔するヨシガモ♂(2022.1.20 撮影)

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雲場池の水鳥(16)オカヨシガモ

2022-01-21 00:00:00 | 野鳥
 今回はオカヨシガモ。雲場池では、今冬期マガモ、キンクロハジロ、カルガモ、オオバンに次いで多くみられる種である。

 最初に気が付いたのは、散歩を始めてから2年ほど経った2021年12月で、それまで他場所も含めて見たことがなかったし、この雲場池でも全く気付かなかった種なので、同定には手間取った。図鑑には「♂も地味な色をしているカモ」との記述も見られる通りで、これといった特徴がなく、はじめのうち何かの種の♀だろうかと思い検索をしていた。

 さらに、オカヨシガモの♀はマガモの♀によく似た羽色と嘴の色をしているので、♂の存在を確認した後もしばらくはその存在に気づかなかった。

 マガモと一緒にいるところを写真に撮り見比べることで、大きさの違いもあって、ようやくその違いを確認することができた。
 

雲場池で見られる水鳥(2020.1-2022.1)

 いつもの「原色日本鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年保育者発行)の記述を見ると、次のようである。
 「中型のカモにて♂は頭上、後頭暗赤かっ色、翼の雨覆の栗茶色が顕著である。嘴峰38~47mm、翼長238~282mm、尾長76~93mm、跗蹠35~40mm。背、胸、脇は黒かっ色で黄白色の虫くい状はんがある。腰は黒。顔、頸、喉は黄白色の地色に黒かっ色の小はん散布。次列風切羽外弁白。♀は上面黒かっ色、胸は黄かっ色で黒はんあり、腹は白く少量のはん点がある。
 広く欧亜大陸・北米・北アフリカにわたり分布する。我国には冬期渡来するが、その数は少ない。北海道では少数繁殖するものがある。近畿地方では冬期所々の池で年々少数を見ることができる。
 分布 北海道・本州・四国・九州。」

 雲場池では、数はそれほど多くはないが、マガモに混じって盛んに餌をついばむ様子が見られる。次のようである。

マガモ(後方の3羽)に混じり餌を探すオカヨシガモ♂(左)、同♀(その後ろ)(2022.1.6 撮影)


マガモ♂(右)とオカヨシガモ♂(2021.12.31 撮影)

オカヨシガモの群れ、♂2羽と♀4羽(2021.12.31 撮影)

 ♂が水面で羽ばたくところを撮影できたが、白い翼鏡と翼下面の色が確認できる。

水面で羽ばたくオカヨシガモ♂(2022.1.14 撮影)

オカヨシガモ♂(中央)と♀2羽(2022.1.6 撮影)

コガモのペアの前を通過するオカヨシガモ♂(2022.1.6 撮影)


小雪の降る中のオカヨシガモ♂(2021.12.31 撮影)

雪の降る中のオカヨシガモ♂(2022.1.4 撮影)

オカヨシガモ♀(2022.1.6 撮影)


小雪の降る中のオカヨシガモ♂(2021.12.31 撮影)


オカヨシガモ♂(2022.1.3 撮影)

水中の餌を採るオカヨシガモ♂(2021.12.31 撮影)

水中の餌を採るオカヨシガモ♀(中央、2021.12.31 撮影)


オカヨシガモ♂(2021.12.31 撮影)

オカヨシガモ♀(2022.1.6 撮影)

オカヨシガモ♂(2022.1.6 撮影)


オカヨシガモのペア(♂左、2022.1.6 撮影)


オカヨシガモのペア(♀左、2022.1.6 撮影)


オカヨシガモのペア(♂左、2021.12.31 撮影)
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山野でみた鳥(9)ガビチョウ

2021-12-31 00:00:00 | 野鳥
 鎌倉に住んでいた頃なので、もう7-8年ほど前になるが、近くの山林で賑やかに長い間鳴き続ける鳥がいて、あれは「ガビチョウ」だと妻が教えてくれた。昼の間家にいる妻の話では、とにかくうるさく鳴き続けるのだという。時には他の鳥の鳴きまねもするらしい。

 このガビチョウという名を、私はその時まで聞いたことがなかったが、外来種ということで納得した。手元の野鳥図鑑を見てみるが、3冊あるうちで、ガビチョウを紹介しているのは、2000年発行の「日本の鳥 550 山野の鳥」(文一総合出版発行)1冊だけであり、2005年発行の「野鳥観察図鑑」(成美堂出版発行)には出ていない。また、これは当然だが、いつも参考にしている「原色日本鳥類図鑑」(1973年 保育社発行)にも取り上げられていない。

 「日本の鳥 550 山野の鳥」には写真入りで紹介されていて、眼の周囲が太めの白色で縁取りされていて、後方に伸びており特徴的である。漢字で書くと「画眉鳥」というのも納得である。

 元は台湾・中国南部・インドシナに分布していたが、1980年代から東京・神奈川・山梨・福岡などで野生化・繁殖が報告されるようになったというこのガビチョウ、鳥類では「コウライキジ」、「シロガシラ」、「ソウシチョウ」、「ドバト」と共に5種が特定外来生物に指定されていて、ウィキペディアには次のようになかなか厳しいことが書かれている。

 「ガビチョウ(画眉鳥、学名 Garrulax canorus)はスズメ目チメドリ科に分類される鳥。同属のカオグロガビチョウ、カオジロガビチョウと共に外来生物法で特定外来生物に指定されており、『日本の侵略的外来種ワースト100』選定種にもなっている。
 日本では、ペットとして輸入された個体がかご脱けにより定着した。日本国内では留鳥として生息し、南東北、関東、中部、九州北部で見られる。本種が多く観察されるポイントとして、東京都内では高尾山が有名である。・・・」

 「体長約 22-25cmで、嘴と尾が長い。体色は全体的に茶褐色~黄褐色で、腹の中央は灰色、喉と上胸に細いすじが入る。尾羽はやや黒い。眼の周り及びその後方に眉状に伸びた特徴的な白い紋様を持つ。嘴の色は黄色。
 かなり大きな音色で美しく囀る。ウグイスやキビタキ、オオルリ、サンコウチョウといった他種の囀りをまねることがある。・・・」

 「名の由来:和名は中国名の漢語表記を日本語読みにしたもの。中国語: 画眉は、「塗った眉」の意味で、眼の周りにある眉状の模様から。・・・」

 「日本に定着した経緯:ソウシチョウ同様、香港および華僑が進出した東南アジア各地で愛玩鳥として広く一般的に飼われていた本種は価格が非常に安価であり、ゆえに1970年代の飼い鳥ブームに乗って大量に輸入された。しかし体色が地味なことや、本種は和鳥と同じく手間のかかるすり餌によらねばならず面倒、といった理由もあって人気がなくなり、大量の在庫を抱えたペット販売業者が始末に困って遺棄(放鳥)に及んだ個体が少なからずあると見られる。」

 「生態系に与える影響:現在までとくに確認されていない。だが生息地である里山の生態系においてツグミやシロハラ、アカハラといった地上採食性のヒタキ科鳥類のニッチに相当する本種は、それらを駆逐する可能性がある。・・・」

 軽井沢では、朝の雲場池の散歩時にそれらしい鳴き声をたまに聞くことがあり、存在は感じていたが、姿を見たことはなく、あまり気にならなかった。そのガビチョウと先日突然出会うことになった。

 寒さが厳しくなってきた11月下旬、雲場池に面した別荘の庭先にカケスの姿が見えたので、超望遠レンズでその姿を追っている時に、地上で餌を探すしぐさをしている別の鳥がいることに気がついた。アカハラかと思ったが、顔が見えた瞬間に、その眼の特徴からガビチョウだと分かった。

 しばらく餌を探していたが1分もしないうちに飛び去り、姿を消してしまった。帰宅して写真を確認すると次のように、特徴ある姿が写っていた。

雲場池脇の別荘地の庭で餌を探す鳥(2021.11.30 撮影)

顔が見えて眼の縁取りからガビチョウと判明(2021.11.30 撮影)

別荘地の庭で餌の木の実を見つけて咥えるガビチョウ(2021.11.30 撮影)

人の気配に警戒する様子をみせるガビチョウ(2021.11.30 撮影)

再び餌を咥えてこの後飛び去って行った(2021.11.30 撮影)

 このガビチョウは特に姿が美しいということもないので、余りに鳴き声が大きく、うるさいと感じる日本人には合わず、人気がなくなっていったという話はわかるような気がする。

 一方、ウィキペディアにも出ていたが、先の図鑑にはこの「ガビチョウ」と並んで「ソウシチョウ」も外来種として紹介されていた。このソウシチョウも一度だけチラと雲場池で見かけたことがあるなかなか美しい鳥で、また出会えるといいなと思っていたが、今回このガビチョウのことを読んでいて、ソウシチョウもまた、飼育されていたものが1980年代から野生化しているのだと知り複雑な気持ちになった。

 個々の鳥には責任はないが、野鳥の多い軽井沢ではあっても、ガビチョウはアカハラなどを駆逐する可能性が指摘されるなど、生態系に次第に影響が出てくるであろうことを思うと、やはり安易に外来種を野に放すことは慎まなければならないと改めて思う。

 ガビチョウを撮影した日の朝は気温が下がり、暖かい湧き水が源流となっている雲場池にはケアラシが見られた。また、自宅庭に咲き始めていたバラも凍りついていた。元は台湾・中国南部・インドシナなど温暖な地域に分布していたとされるこのガビチョウ、寒い軽井沢でなかなかたくましさを感じさせてくれるのだが。

ケアラシが見られた朝の雲場池(2021.11.30 撮影)

咲き始めたバラも凍りついた(2021.11.30 撮影)



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雲場池の水鳥(15)ホシハジロ

2021-12-17 00:00:00 | 野鳥
 今回はホシハジロ。雲場池の朝の散歩を始めて2年程が過ぎたが、この間雲場池にやってくる水鳥を観察していると、およそ次のようである。この図は、今年の春作成したものだが、今年の夏は、1羽だけマガモが北に帰ることなくとどまっていたので、その部分が異なっているので追記している。


雲場池で見られる水鳥(2020.1-2021.12)

 個体数の多い種や、目立った種についてはすでに当ブログで紹介したが、稀に見ることのできる種についても、写真が撮れたものについて紹介しておこうと思う。

 ホシハジロは2月から4月にかけて見ることができるが、その頻度は多くない。マガモ、キンクロハジロ、オオバンなどはその季節になると毎日のように見かけるが、ホシハジロは年に数回というところである。 

 遠くからも背中の白さが目立つ種で、キンクロハジロと混じっていても♂はよく目立つ。一方♀はキンクロハジロの♀と似ていて、はじめのうちはその存在に気付かなかったが、♂と一緒にいる写真を見ていてそれと判った。今回♀のホシハジロの写真は1枚だけである。

 写真でみると、♂の目の虹彩が赤いところが特徴であるが、♀の虹彩は黒褐色で目立たない。 

 いつもの「原色日本鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年保育者発行)の記述を見ると、次のようである。
 「♂の頭頸部濃栗色。嘴峰43~49mm、翼長201~220mm、尾長50~55mm、跗蹠35~38mm。背には白地に微小な黒色虫くい状はんが密に散在。胸は黒色、腹は汚白色。♀は頭頸部、上背、上胸は赤かっ色で頭上わずかに黒色、喉淡色。以下の上面は♂に似るが暗色。腹は汚白色で下腹部淡墨色。嘴は黒色にて先端近くに灰青色帯がある。
 欧州およびアジアの中部にて繁殖し、我国には冬期渡来する。海上よりも好んで淡水の湖沼に生息し夜間は水田などにも飛来する。
 北海道・本州・四国・九州などに渡来する」

 雲場池で最初に見かけたのは昨年の2月28日であったが、その後3月11日と4月3日に撮影記録がある。今年に入ってからも似たようなもので、2月8日に姿を現し、3月21日まで計6日間の撮影記録がある。今のところ♀の姿を見たのは今年2月16日、1羽だけということになる。

雲場池に姿を見せたホシハジロ♂(左の3羽、右端はキンクロハジロ 2020.2.28 撮影)

雲場池に姿を見せたホシハジロ♂(2020.2.28 撮影)


雲場池に姿を見せたホシハジロ♂(2020.2.28 撮影)


雲場池に姿を見せたホシハジロ♂(2020.2.28 撮影)

雲場池のホシハジロ♂(2021.2.13 撮影)


雲場池のホシハジロ♂(2021.2.8 撮影)

雲場池のホシハジロ♂(2021.2.8 撮影)

雲場池のホシハジロ♂(2021.3.21 撮影)

雲場池のホシハジロ♂(2021.2.8 撮影)


雲場池のホシハジロ♂(2021.2.8 撮影)

雲場池のホシハジロ♂(2021.2.11 撮影)

 他の水鳥と比べると大きさが判るが、キンクロハジロよりは同等か僅かに大きく、マガモ、カルガモと比べると小さい。

キンクロハジロ(左♀と手前♂)とホシハジロ♂(2020.4.3 撮影)

キンクロハジロ(右♂)とホシハジロ♂(2021.3.21 撮影)

カルガモ(奥)とホシハジロ♂(2020.3.11 撮影)

コガモ(奥)、キンクロハジロ(手前2羽)とホシハジロ♂(2020.4.3 撮影)

マガモ♂とホシハジロ♂(2021.2.12 撮影)

 ♀と一緒に泳いでいる姿が撮影できたのは2021年2月16日だけであった。

ホシハジロの♀(左)♂(右の2羽)(2021.2.16 撮影)

 次回、ホシハジロが雲場池に姿を見せるのももうすぐと思われるが、何羽くらい来るのか、♀の姿は見られるのか、楽しみである。




















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