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軽井沢からの通信ときどき3D

移住して11年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

雲場池の水鳥(20)恋に落ちたマガオ君ー1/2

2022-09-16 00:00:00 | 野鳥
 昨年、北に帰ることなく雲場池にとどまり、夏を過ごした一羽のマガモ♂がいたことを紹介した(2021.10.1、10.15、10.29 公開の当ブログ)。このマガモの羽衣は春から夏へと次第に変化して♀に似た姿になっていったが、これはエクリプスと呼ばれている水鳥の示す形態変化である。

 秋になり、再び北から仲間が帰ってくると、その中にはやはりエクリプスが混じっていて、これらと一緒になると雲場池にとどまっていたマガモ♂の姿も、次第に他の鳥と区別がつかなくなっていった。エクリプスはやがて冬羽に変化していき、美しい構造色の頭部や♂特有の羽衣へと戻っていった。

 今年はどうだろうかと様子を見ていたところ、やはり一羽のマガモ♂が雲場池にとどまった。ただ、昨年と同一個体かどうかは判らない。

 この残ったマガモ♂、昨年は多くのカルガモの群れに加わることが多く、自分自身をマガモではなくカルガモと思っているのではないかと感じたこともあったが、今年のマガモ♂の傍らには、しばらくして特定の一羽のカルガモが寄り添う姿が目に付くようになった。

 カルガモの雌雄は区別がつきにくく、正確なことは判らないが、マガモ♂と常に行動を共にしているところから、このカルガモは♀ではないかと思える。

 昨年の記録写真を見直してみると、やはり傍には1羽のカルガモの姿が写っているこもあるが、この時はそれほど気にならなかった。

 そこで、今年はこの二羽に名前を付けて、マガオ君とカル子さんと呼ぶことにし、我が家で時々この2羽の様子について話し合うようになった。

 1998年制作のロマンティック・コメディ映画に「恋におちたシェイクスピア」(Shakespeare in Love)という作品がある。アメリカとイギリスの共同製作で、監督はジョン・マッデン、脚本はトム・ストッパード、主演はグウィネス・パルトローとジョセフ・ファインズ。第71回アカデミー作品賞ならびに第56回ゴールデングローブ賞 コメディ・ミュージカル部門作品賞を受賞している。

 内容は、名作「ロミオとジュリエット」の初演時の出来事を扱ったもので、若き日のウィリアム・シェイクスピアと彼を慕う上流階級の娘ヴァイオラとの恋愛を描いたものである。

 ウィリアム・シェイクスピアは「ロミオとジュリエット」の上演の準備を行っていた。一方、芝居好きの資産家の娘ヴァイオラは、貴族との縁戚を望む両親のため、貧乏貴族のウェセックス卿との意に染まぬ結婚を控えていた。ウェセックス卿は結婚後、夫婦でアメリカの農園に移り住む計画を立てていた。

 日本の歌舞伎と似ているが、当時の演劇では、女性は舞台に立つことができず、女装した変声期前の男性俳優が女性を演じていた。ヴァイオラは男装してトマス・ケントと名乗り、劇団に潜り込んで、抜群の演技力でロミオの役を得る。

 ヴァイオラが男装した女性であることはシェイクスピアの知るところとなるが、シェイクスピアはこれを黙認する。

 既婚者のシェイクスピアは、以前から女性の姿のヴァイオラに恋しており、2人は決して結婚できぬ間柄と知りつつ、忍んで逢う仲となる。

 芝居の準備は順調に進んでいたが、トマス・ケントが女性であることが、一座の面々や、王室の祝典局長の知るところとなってしまう。それ以来ヴァイオラは姿を消し、シェイクスピアがロミオ役を務めることになった。

 しかし本番当日、ジュリエット役の俳優が上演の直前に変声期を起こす。幕が開けられないと呆然とする一座の前に、結婚式を終えた直後のヴァイオラが駆けつける。かくして相手役のジュリエットの台詞が完璧に頭に入っているヴァイオラが、「女装した男性の俳優」としてジュリエットを演じることになった。恋する2人は迫真の演技で演じ、芝居は大成功する。

 その後、ヴァイオラはウェセックス卿の妻となる運命を受け入れて、アメリカに行くこととなる。ヴァイオラを失ったが、「ロミオとジュリエット」の大成功で劇作家としての名声を確立したシェイクスピアは、エリザベス女王の命令で新たな芝居の制作を始める。難破した船から一人生き残ったヴァイオラが、アメリカ大陸に上陸するシーンで映画は幕を閉じる・・・という内容である。

 この映画では、最終的にロミオをシェイクスピアが、ジュリエットをヴァイオラが演じたので、女性が「女装した男性の俳優」を演じるということになり、話はややこしいが、雲場池の女装したエクリプス・マガオ君が同じように♂かもしれないカル子さんと仲良くしている姿を見て、この映画のことを思い出したのであった。

 ただ、そのように思ったのはずっと後になってからで、マガオ君は4、5月の時点では完全に♂の外観をしているので、この時点ではシェイクスピアの話とは異なっている。

 さて、今年のマガオ君の様子を冬から順にみていこうと思う。冬の間、数十羽が群れて過ごしていた雲場池のマガモが北に帰り始めるのは3月下旬ころである。この時はまだコガモ、オカヨシガモ、ヨシガモ、ヒドリガモ、キンクロハジロ、オオバンなどの姿も同時に見ることができる。


雲場池で群れるマガモ♂(2022.2.2 撮影)


雲場池で群れるマガモ♂と♀(2022.3.17 撮影)


ヒドリガモ(左)、オオバン(右奥)とマガモ♂(2022.3.27 撮影)

 この時期のマガモ♂の頭部の構造色はとても美しいのだが、時には朝日を受けて背中の羽も構造色に輝いて見えることがある。


マガモ♂の背中の羽も構造色に輝いて見える(2022.3.1 撮影)

 また交尾行動と思える様子もこの頃に見られた。しかし、この時点ではまだ複数のマガモ♂がいたので、この♂が後のマガオ君かどうかは特定できない。


寄り添うマガモのペア(2022.4.1 撮影)


マガモの交尾と思える行動(2022.4.1 撮影)

 4月に入るとマガモの姿は急速に減っていき、やがて雲場池に残ったのは1羽の♂だけになっていった。このマガモ♂にマガオ君という名前をつけたのはこの頃であった。

雲場池に1羽残ったマガモ♂、マガオ君(2022.4.7 撮影)

雲場池に1羽残ったマガモ♂、マガオ君(2022.4.12 撮影)

 ところがある日、このマガオ君のもとに1羽のマガモ♀が現れた。あたかもマガオ君に北帰行を促しにやってきたようであった。

マガモ♂に北帰行を促すかのように現れたマガモ♀(2022.4.21 撮影)

 しかし、マガオ君はそのまま雲場池にとどまり、マガモ♀も姿を消した。そしてしばらくすると、マガオ君のそばに寄り添うカルガモの姿を見るようになった。カル子さんである。

マガオ君とカル子さん(2022.4.27 撮影)

 この後、雲場池ではマガオ君とカル子さんが一緒にいる姿を頻繫に見かけるようになった。マガオ君が北帰行を諦めたのはカル子さんが原因であったのか、それとも何らかの理由で今年、北帰行できなかったマガオ君がたまたまカル子さんと仲良くなっていったのか、その辺りは判らないが、我が家ではもっぱら前者であろうと判断し、「恋におちたマガオ君」と言うことにして、2羽のカモを継続観察することにしたのである。

 ややあって、再び雲場池に1羽のマガモ♀が姿を見せた。マガオ君を誘いにやってきたのかもしれなかったが、マガオ君はこれに応じる様子はなかった。

再び雲場池に姿を見せたマガモ♀(2022.5.8 撮影)

マガオ君とカル子さん(2022.5.9 撮影)

マガオ君とカル子さん(2022.5.14 撮影)

マガオ君とカル子さんほか(2022.5.15 撮影)

マガオ君とカル子さん(2022.5.20 撮影)

マガオ君とカル子さん(2022.5.25 撮影)

マガオ君とカル子さんたち(2022.6.1 撮影)

 カル子さんたちと過ごすマガオ君の外見には5月中は変化は認められなかった。まず頭部に変化が現れたのは6月になってからであった。 
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山野でみた鳥(12)サンショウクイ

2022-07-08 00:00:00 | 野鳥
 今回はサンショウクイ。雲場池を散歩していると、思いがけない野鳥に出会うことがある。この種もそうした一つに数えられる。
 
 池周辺には、ハクセキレイ、セグロセキレイ、キセキレイなどおなじみのセキレイの姿をよく見かける。この鳥を樹上に見た時にも、その長い尾の姿がハクセキレイによく似ているので、そう思ってカメラを向けたが、ファインダー越しに見た姿がどこか違っているとの印象を持った。

 帰宅後、妻に写真を見せたところ、やはりハクセキレイではなさそうだということになり、図鑑であれこれ調べた結果落ち着いたのが、サンショウクイであった.

 いつもの「原色日本鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年保育社発行)でサンショウクイの項を見ると、
 「体細長く上面灰青色。嘴峰12~13mm、翼長92~100mm、尾長88~98mm、跗蹠13~15mm、♂は頭の前半は白く、後半と頸とは藍黒色。以下の背面は青灰色。下面は灰白色。嘴は扁平で翼には白はんがある。♀は頭上も背と同じ青灰色で黒色部を欠く。
 我国には春季渡来し主として低山帯で繁殖する。ヒリヒリッ、ヒリヒリッ なきながら波状に飛ぶ。冬季は南琉球・台湾・馬来諸島・印度支那半島に渡去、越冬。」とある。
 
 少し変わったこのサンショウクイという名前の由来については、サンショウウオのことかなどと思ったりしたが、植物の山椒のことであった。上記のような鳴き声から、サンショウの辛い実を食べてヒリヒリすると鳴いているとの類推により名前が付けられたというから面白い話である。

 別の図鑑には、「枝先にとまって昆虫やクモなどを捕食する・・・」とあるので、実際にサンショウの実を食べるわけではないようである。

サンショウクイ(2022.5.1 撮影)

 翌日もまた高い枝先にとまっているところを見かけた。そして、それきりであってその後見ることがない。 


サンショウクイ(2022.5.2 撮影)

 2日間サンショウクイに出会うことができたのであったが、何か少し引っかかるところがあり、昨年の同じような時期に撮影した写真を見直してみたところ数枚の写真を見つけた。
 
 遠くにいるところを撮影したものであり、当時まだ野鳥を写すための超望遠レンズを入手していなかったので小さく映っている写真だが、拡大してみると、サンショウクイだと判る。

 
サンショウクイ(2021.4.26 撮影)

サンショウクイ(2021.4.26 撮影)


サンショウクイ(2021.4.28 撮影) 

 昨年この鳥を撮影して帰宅した時、小さく姿が映っていたこの写真を見て、妻と何の鳥だろうかと話し合い、サンショウクイだろうかと話し合ったことがあるのを思い出した。しかし、そのまま忘れてしまっていた。

 水鳥の写真、特にオシドリの鮮明な写真を撮りたいと思い入手した超望遠レンズであるが、その後は小型の野鳥の撮影にも威力を発揮してくれ、最近は雲場池周辺で見ることができる野鳥を多く撮影するようになっている。

 しかし、あくまでも早朝散歩のときに偶然見かける種を撮影しているのであって、野鳥の撮影を目的にしているのではない。妻がツイッターでフォローしているある女性アマチュア写真家などは、目指す野鳥の撮影のために、各地に出かけ、一日中森の中に籠もることもある様だが、私にはとてもそんなことはできそうにない。

 チョウの撮影となると、さまざまな情報を頼りに発生場所を探し、その季節になると現地に出かけているが、野鳥の場合にはまだそこまで熱心に取り組んでいないので、このサンショウクイ同様、偶然出会った種を撮影している段階にとどまっている。
 
 先日、所用で小諸方面に車で出かけた時、道路わきの電線に1羽の鳥の姿を認め、スピードを落としながら走り抜けた。妻とあれは何の鳥だろうかという話になった。互いにあれこれ候補を挙げたが、きっとサンショウクイだということで、落ち着いた。







  
 



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山野でみた鳥(11)ミソサザイ

2022-03-25 00:00:00 | 野鳥
 今回はミソサザイ。以前キクイタダキ、エナガとともに、「小さな3きょうだい」として一度紹介したことがあるが(2020.04.10 公開 )、それから2年ほど過ぎて、この間にミソサザイに出会う機会も増え、写真もたまってきたので、改めて紹介しようと思う。

 ほとんど雲場池周辺での観察になるが、冬から春にかけてよく見かける。冬の間は地鳴きのティ、ティという声で気がつくことが多いが、春が近くなると複雑で長くよく通る声でさえずるようになり、鳴き声のする方を見ていると、雲場池の周辺や別荘地の池周辺の石組みの間を、いそがしく動き回りながら、時々石の上や周囲の枝などにとまって、さえずる姿を見ることができる。

 名前の由来が、ミソ色のササイな鳥という(俗)説もあるくらいで、地味な色で、しかも小さく目立たないので、一般に目にする機会はそれほど多くないと思われるが、体の大きさの割にはとても大きな声でさえずるので、この声の主がミソサザイだと知ると、見つけるのはやや難しいが、存在そのものはすぐに確認できる。

 いつもの「原色日本鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年保育社発行)によると、
 「ごく小型でかっ色。尾は短かい。嘴峰10~13mm、翼長45~54mm、尾長27~38mm、跗蹠16~19mm。上面は茶褐色で背以下尾に至るまで黒色の小さな横しまがある。眉はんは黄かっ色で不明瞭。下面は上面よりやや淡く下胸部以下には上面と同様の横しまが密在する。
 夏期亜高山帯の森林中に多いが、低山帯で繁殖するものもある。登山道や谷川に沿って生息するものが多い。短い尾を立てて岩角や切株の上に止まりチョㇿㇿㇿッと高らかに美声でなく。冬期には山すそ地方に漂行し小川沿いのやぶや人家の生垣などにも飛来し、チョッ、チョッとなきながらやぶを潜行する。
 分布は、北海道・本州・伊豆七島(大島)・四国に生息繁殖する。」とある。

 この本には亜種として、伊豆七島のモスケミソサザイ、九州から壱岐・対馬に生息するツシマミソサザイ、種子島・屋久島のオガワミソサザイが紹介されているが、別の図鑑(野鳥観察図鑑 成美堂出版発行)には、南大東島の亜種ダイトウミソサザイは環境庁の調査で絶滅したことが記されている。 

 さて、そのミソサザイ。最近撮影した動画から見ていただく。前述のとおりなかなかの美声である。
 
 
ミソサザイの囀り(2022.3.15 撮影) 

 この時は、1回だけのさえずりで終わっているが、何度も繰り返し鳴き続けることもある。雲場池の散歩を始めた頃は、この鳴き声の主が判らないでいたが、ある時すぐ目の前でミソサザイが大きく口を開いてさえずるところに出会ってからは、特徴ある鳴き声を覚えてしまった。

 それからというもの、鳴き声を頼りに辺りを探して、声の主を撮影できるようになった。以下こうして撮影した写真を見ていただく。

 はじめに大きく口を開けてさえずる様子から。

橋の欄干の支柱の上でさえずる雲場池のミソサザイ、この時は片足立ちになっていた(2022.3.10 撮影)

切株の上でさえずる雲場池のミソサザイ(2022.3.8 撮影)

さえずる雲場池のミソサザイ(2022.3.8 撮影)

 次は、北軽井沢の魚返しの滝周辺で撮影したもの。周囲に響き渡る大きな声で鳴いていた。

さえずる北軽井沢のミソサザイ(2021.6.23 撮影)

さえずる北軽井沢のミソサザイ(2021.6.23 撮影)

 さえずる場所は、岩の上、樹上、杭や切り株の上などであるが、雲場池ではお気に入りの場所があるようで、同じ場所に止まるのを見かける。

杭の上に止まる雲場池のミソサザイ(2022.3.10 撮影)

杭の上から飛び立つ雲場池のミソサザイ(2022.3.10 撮影)

雲場池の樹上のミソサザイ(2022.3.15 撮影)

雲場池の樹上のミソサザイ(2022.3.15 撮影)

 別荘地内の池周辺の石組みで、いそがしく動き回るが、昆虫やクモなどの餌を探しているのだとされる。

別荘地内の池周辺の石組みで、昆虫やクモなどの餌を探すミソサザイ(2022.2.9 撮影)


別荘地内の池周辺の石組みで、餌を探すミソサザイ(2022.2.9 撮影)

別荘地内の池周辺の石組みで、餌

地上で背伸びをして辺りを窺うミソサザイ(2020.4.29 撮影)

 ミソサザイの繁殖期は5-8月で、森の中のがけ地や大木の根元などにコケ類 や 獣毛 等を使って壷型の巣を作るとされる。オスは自分の縄張りの中に2個以上の巣を作るが、作るのは巣の外側のみで、実際の繁殖に使用されるものは、作られた巣の内の1個のみであり、巣の内側はオスとつがいになったメスが完成させるという。

 まだ、こうしたミソサザイの巣を雲場池周辺で見た事はないが、次の写真はその巣の材料を集めている所だと思われる。

 ミソサザイの巣には特徴があり、通常の壷巣は出入口が1つのみであるが、ミソサザイの場合は、入口と出口の双方がそれぞれ反対側に設計されているのだという。抱卵・育雛中の親鳥が外敵から襲われると、中にいる親鳥は入り口とは反対側の出口から脱出することができるといわれているが、ぜひこうした構造の巣を見てみたいものである。

巣作り用の材料を咥えるミソサザイ(2020.4.25 撮影)

 小鳥の飛翔する様子を撮影するのは難しいが、ミソサザイの場合も同様で、飛翔している姿を捉えることができたのは今のところ次の1枚だけである。

飛ぶミソサザイ(2022.3.8 撮影)

 日本では話題になることの少ないミソサザイであるが、ヨーロッパの陶磁器類やガラス器の絵柄として結構用いられており、妻がミソサザイ好きという事情もあって、我が家には前回紹介したカップ&ソーサーの他にもミソサザイを描いたマグカップやゴブレットなどがいくつかあって次のようである。

ミソサザイの描かれているマグカップ 1/3

ミソサザイの描かれているマグカップ 2/3
ミソサザイの描かれているマグカップ 3/3

ミソサザイの描かれているミルク・ピッチャー


ミソサザイが彫刻(エングレーヴィング)されたウォーターゴブレット


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山野でみた鳥(10)コハクチョウ

2022-03-11 00:00:00 | 野鳥
  コハクチョウの北帰行が始まったというニュースが新聞で報じられた。紹介されていたのは、安曇野市の犀川一帯で越冬しているコハクチョウがシベリア方面に飛び立っているというもので、越冬地の上空を旋回する写真が添えられている。
 この犀川のコハクチョウはよく知られているもので、私も2度この場所に出かけて、コハクチョウやその他の水鳥を観察したことがある。
 そのうちの1回は、母がまだ健在だった時のことで、年末に年越しそばを食べにどこかに行こうということになり、そのついでに白鳥を見に行ったのであった。
 私にとって2度目のこの時は、以前にはなかったことであるが、現地で野鳥用の餌を販売しており、これを2個買い求めてひとつを母に渡しておいたところ、しばらくして見ると母は野鳥にすっかり囲まれていたことを思い出す。
 その時の写真を探し出して見ると、集まってきたのはオナガガモとヒドリガモであった。

安曇野犀川の白鳥の群れ 1/3(2012.3.3 撮影)
安曇野犀川の白鳥の群れ 2/3(2012.3.3 撮影)
安曇野犀川の白鳥の群れ 3/3(2012.3.3 撮影)

2度目に行った安曇野犀川の白鳥と水鳥の群れ 1/3 (2014.12.31 撮影)
2度目に行った安曇野犀川の白鳥と水鳥の群れ 2/3(2014.12.31 撮影)
2度目に行った安曇野犀川の白鳥と水鳥の群れ 3/3 (2014.12.31 撮影)


オナガガモなどに餌を与える母 (2014.12.31 撮影)
 
オナガガモとヒドリガモに囲まれた母(2014.12.31 撮影)
 
 今回、上記新聞のニュースを見て、久しぶりに白鳥を見に行き、写真撮影もしたいと思い、近隣地域で白鳥の来ている場所はないだろうかと妻に相談したところ、ツイッターで調べ、佐久平方面にもコハクチョウの来ている川があるという情報を探し出してくれた。

 詳細な場所は判らなかったが、佐久方面にはおおよその土地勘もあるので、取敢えず出かけてみようということで、車を走らせたところ、目的地に近くなったところで運よく妻が車窓から白鳥の姿を確認した。

 河の堤防に駐車スペースを見つけ、近づいてみると、緩やかな流れと中洲のある場所に、20羽ほどのコハクチョウとそれよりやや多い数のカルガモの群れがいた。

 日本に渡って来る白鳥にはオオハクチョウ、コハクチョウがいるとされるが、新聞記事にコハクチョウと明確に記されていた通り、安曇野で撮影した写真を見ても、今回佐久平で撮影した写真を見ても、いずれもコハクチョウであった。
 オオハクチョウの方は体が大きいので体温維持に必要なエネルギーが相対的に少なくてすみ、日本ではコハクチョウほどは南下せずに冬を越すことができるとされ、主に北海道、青森県、宮城県、新潟県に飛来し、長野県に来ることは稀なようである。

 面白いことに、いつも参考にしている「原色日本鳥類図鑑」(1973年 保育社発行)にはコハクチョウという分類項は見当たらず、ハクチョウとオオハクチョウが紹介されている。一方、他の図鑑、「日本の鳥550 水辺の鳥」(2000年 文一総合出版発行)と「野鳥観察図鑑」(2005年 成美堂出版発行) では、コハクチョウとオオハクチョウの2種が出ているので、この間に白鳥の分類法が変更されたようである。

 コハクチョウとオオハクチョウの見分け方は、その体型・大きさと嘴の色によるとされるが、体型と大きさの方は片方を単独で見ていただけでは素人には区別が難しく、撮影した写真でも同様で判別ができないので、もっぱら嘴基部の黄色部の形状と大きさによることになる。

 「原色日本鳥類図鑑」で2種の違いをみると次のようである。
 
 
オオハクチョウとコハクチョウの比較 

 以下は、今回佐久市内で撮影したコハクチョウである。先ずは幼鳥から見ていただく。体色が灰色がかっていて、嘴の一部がピンク色をしているので区別は容易である。尚、雌雄の外観の差は無いようで、幼鳥・成鳥ともに区別はつかない。

佐久平のコハクチョウの幼鳥 1/2 (2022.3.3 撮影)
佐久平のコハクチョウの幼鳥 2/2 (2022.3.3 撮影)

 続いて成鳥の様子。

佐久平のコハクチョウ 1/12 (2022.3.3 撮影)
佐久平のコハクチョウ 2/12 (2022.3.3 撮影)
佐久平のコハクチョウ 3/12 (2022.3.3 撮影)
佐久平のコハクチョウ 4/12 (2022.3.3 撮影)
佐久平のコハクチョウ 5/12 (2022.3.3 撮影)
佐久平のコハクチョウ 6/12 (2022.3.3 撮影)
佐久平のコハクチョウ 7/12 (2022.3.3 撮影)
佐久平のコハクチョウ 8/12 (2022.3.3 撮影)
佐久平のコハクチョウ 9/12 (2022.3.3 撮影)
佐久平のコハクチョウ 10/12 (2022.3.3 撮影)
佐久平のコハクチョウ 11/12 (2022.3.3 撮影)
佐久平のコハクチョウ 12/12 (2022.3.3 撮影)

 撮影を終えてそろそろ帰ろうかと思っていたところ、中の一羽が羽ばたいて大きく立派な翼を開いて見せてくれた。この地のコハクチョウにも北帰行の時が近づいているようである。

羽ばたくコハクチョウ 1/4 (2022.3.3 撮影)
羽ばたくコハクチョウ 2/4 (2022.3.3 撮影)

羽ばたくコハクチョウ 3/4 (2022.3.3 撮影)
 
羽ばたくコハクチョウ 4/4 (2022.3.3 撮影)
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雲場池の水鳥(19)ホオジロガモ

2022-03-04 00:00:01 | 野鳥
 今回はホオジロガモ。この種も雲場池では珍しい種のようで、過去2年ほどの朝の散歩の間にこの種に出会ったのはたった1日だけであった。
 尤も、昼間の様子は判らないので、決めつけるわけにはいかないが、他種がこの雲場池にやってくる様子を見ていると、やはりこのホオジロガモとオシドリ、アオサギはここでは数の少ない種と言えると思う。

 雲場池でこれまでに撮影ができた種は以下のとおりであるが、アオサギは不鮮明な写真が数枚という状況で、紹介できないでいるので、これを除くとこのホオジロガモで一通り紹介したことになる。


雲場池で見られる水鳥(2020.1-2022.3)

 このホオジロガモ、現地で撮影したものの、すぐには種名が判らず、図鑑で調べてホオジロガモの♀と判定したのは撮影後しばらくしてからであった。手元に3冊ある図鑑のうち、1冊にはこのホオジロガモの♀の写真が載っていなかったことも一因である。

 「日本の鳥550・水辺の鳥」(2000年 文一総合出版発行)の写真と見比べると、「第1回冬羽」とされるものに、羽色と眼の色が一番近いことが判る。

 いつもの「原色日本鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年保育者発行)の記述を見ると、次のようである。
 「♂は頭部と頸部の前半紫黒色で顔に大形の丸い一白紋がある。嘴峰28~36mm、翼長197~227mm、尾長77~90mm、跗蹠34~38mm。背、腰、尾、肩羽、小雨覆、初列風切は黒色でその他は上下面とも白色で配色美しい。♀は頭部と頸部の前半とはかっ色で顔には白紋を欠く。上面は灰かっ色、下面は白。
 欧州及びおよびアジアの中部以北で繁殖し、冬期はアフリカ北部・印度北部・中国南部などに渡来す。我国には冬期まれならず渡来するが本州中部以南では数はスズガモやキンクロハジロほど多くない。河口部、入江などの比較的浅い所に小群で生活し、巧みに潜水する。北海道では厳冬期大きな川の結氷しない所には数十羽が群生することもまれでない。
 分布 冬鳥として北海道・本州・八丈島・四国・九州・対馬に渡来する。」

 ♂を伴っていれば、名前通りその特徴ある頬の白斑から、もう少し容易に同定ができたと思う。撮影したのは2020年12月であるが、それ以降まだ一度も見る機会がない。
 
 大きさは、一緒に移っているキンクロハジロと比べると、ほぼ同程度で、小さめのカモということになる。


雲場池のホオジロガモ♀ 1/7(2020.12.10 撮影)


雲場池のホオジロガモ♀ 2/7(2020.12.10 撮影)


雲場池のホオジロガモ♀ 3/7(2020.12.10 撮影)


雲場池のホオジロガモ♀ 4/7(2020.12.10 撮影)


雲場池のホオジロガモ♀ 5/7(2020.12.10 撮影)


雲場池のホオジロガモ♀ 6/7(2020.12.10 撮影)

雲場池のホオジロガモ♀ 7/7(2020.12.10 撮影)


雲場池のホオジロガモ♀(奥)とキンクロハジロ(2020.12.10 撮影)

 もともと、水鳥の個体数も種数もそれほど多くない雲場池ではあるが、今後ホオジロガモの♂に出会えることを期待したい。
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