ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

大岐ダム

2016-05-30 10:10:00 | 福島県
2016年5月28日 大岐ダム
 
大岐ダムは福島県大沼郡金山町山入の阿賀野川水系只見川右支流大岐川にある重力式コンクリート堰堤です。
1938年(昭和13年)に当時の新潟水力株により伊南川発電所の調整池として建設され、日本発送電の接収ののち戦後東北電力(株)が管理を継承しました。
1972年(昭和47年)の改修により調整池が導水路と切り離された際に金山町に譲渡されました。
金山町にしてみれば上水や灌漑用水源として活用する目論見があったのかもしれませんが、結局は活用されないまま時間が過ぎ現在に至っています。
ダム便覧には目的がP(発電)と記されていますが、現実には『かつてダムだった構造物が存在している』状態です。
堤体は老朽化が著しく各所から漏水しており、万一破堤でもすれば下流に大惨事が起きる懸念が高くなっており、今後抜本的な対策が取られるものと考えられます。
 
会津横田で国道252号から県道352号に入り5キロほど走ると右手に東北電力の導水鉄管と大岐ダムが見えてきます。
 
ダム直下には2011年の福島豪雨の復旧工事で出た土砂を盛土してあります。
役場によるとダムに万一の際に備えたものだそうです。
 
 
かつて管理事務所であったであろう建物はすでに廃墟化しています。
 
堤体の各所から漏水しています。
なんせ堤体から木が生えているのだから・・・
 
当然のことながら天端は立ち入り禁止です。
 
手すりはゴジラに襲われたかのようにぐにゃぐにゃ
対岸に洪水吐があるようですが・・・
 
コンクリートも劣化してボロボロ
 
直下には東北電力の伊南川発電所への導水鉄管が通っています。
もともとはこの導水路の調整池として建設されたダムでした。
 
現実にはすでに役割を終えたダムですが、2011年の福島豪雨の復旧が精一杯の金山町にとっては、このダムの手当てまで手が回らないというのが実情のようです。
東北電力から移譲されたときは活用についていろいろ算段があったんでしょうが、今となっては思わぬお荷物のようです。
堤体直下に盛土を行うなど一応の対処は進めていますが、万一決壊ともなれば直下の東北電力の導水管はもとより下流にも大きな被害が出かねません。
抜本的な対応が急がれます。
 
0476 大岐ダム(0410)
福島県大沼郡金山町山入
阿賀野川水系大岐川
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18.5メートル
72.3メートル
214千㎥/168千㎥
金山町
1939年


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