ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

徳水園

2016-05-09 17:00:00 | 円筒分水工
2016年5月3日 徳水園
 
徳水園は内円筒24メートルに及ぶ日本最大の円筒分水工で、胆沢平野土地改良区が管理をしています。
胆沢川右岸には胆沢扇状地が広がりそれぞれ400年以上の歴史を持つ寿安堰と茂井羅堰という二つの堰が灌漑水源となってきました。
ところが二つの堰が近接していたことからそれぞれの受益者の間で水を巡る争いが絶えず、二つの堰に平等に分水するために建設されたのがこの分水工です。
 
胆沢ダム(再)の完成により、ようやく水を巡る懸念は払しょくされ円筒分水である必然性はなくなりましたが、先人の苦労と水の恩恵を忘れないためにこの分水工はこれからも存在続けるということです。
 
徳水園は国道397号沿いにあり、駐車場も完備しています。
分水工を高所から俯瞰できるように設計されています。
 
内円筒24メートル
奥のトイレと比較すればこの分水工の大きさがわかるでしょう。
 
円筒中央部はまるで煮立った五右衛門ぶろです。
 
 
初めて目にする円筒分水工、それが日本最大規模なんだからびっくり仰天。
完成に至る歴史を知ると、水のありがたみを実感するばかり、そんな徳水園円筒分水工です。
 
徳水園
岩手県奥州市胆沢区若柳
北上川水系胆沢川
全周溢流式
円筒分水工
内円筒24メートル
分配数2
胆沢平野土地改良区
1958年

胆沢ダム(再)

2016-05-09 14:50:00 | 岩手県
2016年5月3日 胆沢ダム(再)
 
胆沢ダム(再)は岩手県奥州市胆沢区若柳の北上川水系胆沢川にある国交省東北地方整備局が管理する多目的ロックフィルダムです。
北上川総合開発事業(KVA)の一環として1953年(昭和28年)に北上川の主要支流である胆沢川に石渕ダムが建設されましたが、灌漑重視で建設され洪水調節容量が小さかったことから異常洪水時防災操が頻発、ダム再開発による洪水調節機能の強化が迫られました。
そして2013年(平成28年)に石渕ダムを取り込む形で新たに建設されたのが胆沢ダム(再)です。
胆沢ダム(再)は国交省直轄事業で建設された特定多目的ダムで、胆沢川および北上川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、胆沢川流域農地への新規灌漑用水の供給、奥州市への上水道用水の供給、電源開発(株)胆沢第一発電所での最大1万4200キロワットのダム式発電を目的としているほか、河川維持放流を利用して岩手県企業局胆沢第三発電所で最大1500キロワットの小水量発電を行っています。
洪水調節については北上川ダム統合管理事務所で四十四田ダム御所ダム田瀬ダム湯田ダムとともに統合管理されています。
 
胆沢ダムは堤高127メートル(東北第1位)、堤頂長723メートル、堤体積1350万立米(全国第3位)を誇る日本有数の巨大ロックフィルダムで、日本ダム協会により日本100ダムに選ばれているほか、ダム湖に沈んだ石淵ダムは2021年(令和3年)に『北上川上流総合開発ダム銀』として土木学会選奨土木遺産に選定されました。
 
国道397号を西に向かうと正面に胆沢ダムの巨大な堤体が見えてきます。
左岸に駐車場があり車を止めて見学開始です。
延々と続くロックフィルは圧巻。
 
奥にゲートを備えた独特の洪水吐
融雪放流が行われています。
 
洪水吐のスケールもケタ違い。
 
4段の副ダムを備える減勢工
右手は胆沢発電所。
 
天端から洪水吐
奥はインクライン。
 
右岸の取水棟
 
右岸から減勢工と発電所。
 
右岸から
堤体のウエーブが独特。
堤頂長723メートル、往復すれば約1.5キロ~。
 
下流から遠望。
 
右岸展望台から俯瞰。
 
とにかくスケールの大きさが際立つロックフィル。
そんなダムを俯瞰できる展望台があるのがうれしい。
今回はあいにくの曇天だったが、ぜひ晴天の日に焼石連峰とともに眺めてみたい。
 
追記
胆沢ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0277 胆沢ダム(再)(0372)
岩手県奥州市胆沢区若柳
北上川水系胆沢川
FNAWP
127メートル
723メートル
143000千㎥/132000千㎥
国交省東北地方整備局
2013年
◎治水協定が締結されたダム

豊沢ダム

2016-05-09 13:30:00 | 岩手県
2016年5月3日 豊沢ダム
 
豊沢ダムは岩手県花巻市豊沢の北上川水系豊沢川にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
1941年(昭和16年)に岩手県営事業として着工されましたが、戦中戦後の混乱で事業は中断。
1949年(昭和24年)に国営豊沢川農業水利事業に移管され1961年(昭和36年)に豊沢ダムが竣工しました。
完成後は岩手県農林水産部が管理を受託し、豊沢川土地改良区の約3700ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
総貯水容量2335万6000立米と農業用ダムでは全国屈指の規模を誇っています。
 
県道19号を北上、花巻温泉郷を抜けると豊沢ダム右岸に到着します。
赤いラジアルゲートを3門備えていますが、こちらからは見えません。
 
取水設備
融雪期ということで高い水位になっています。
 
赤く塗られたゲート巻き上げ機。
 
バルブ放流が行われています。
 
減勢工から下流
険しい渓谷になっていてダムを下流から見る場所はなさそう。
 
天端は県道12号が通っており西和賀へ抜ける車がそこそこ通過します。
 
左岸からもゲートが見えそうで見えない。
 
上流から
 
追記
豊沢ダムは洪水調節容量のない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0245 豊沢ダム(0371)
岩手県花巻市豊沢
北上川水系豊沢川
59.1メートル
150メートル
23356千㎥/23257千㎥
岩手県農林水産部
1961年
◎治水協定が締結されたダム

時戸沢溜池

2016-05-09 13:00:00 | 岩手県
2016年5月3日 時戸沢溜池
 
時戸沢溜池は北上市和賀町横川目の北上川水系時戸沢川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1988年(平成元年)に時戸沢土地改良区の事業で竣工と記されており、国や県の補助を受けた団体営事業で改修、もしくは建設されたものと推察されます。
現在は土地改良区の統合で一帯の溜池ともども岩手中部土地改良区が管理を行っています。
 
ため池への入り口がわからず最寄りの高屋集落で道を聞いて無事到着することができました。
ダムへの道は時戸沢川に沿ったダートの林道のため、高屋集落に車をデポして往復約2キロを歩いての訪問です。
 
溜池としては朝訪問にした橇引沢や千貫石、岩崎農場などに比べるとずいぶん小規模、草も伸び始めています。
 
上流面はコンクリート補強されていますが、こちらも草が伸びています。
 
総貯水容量5万4000立米の小さな溜池です。
 
洪水吐は越流しています。
 
洪水吐は近年改修されたようでコンクリートがまだ新しい。
 
左岸に斜樋がありますが、草が深く行くのはやめます。
 
0228 時戸沢溜池(0370
ため池コード 320610048
岩手県北上市和賀町横川目
北上川水系時戸沢川
16メートル
105メートル
54千㎥/54千㎥
岩手中部土地改良区
1988年

湯田ダム

2016-05-09 12:45:00 | 岩手県
2016年5月3日 湯田ダム
 
湯田ダムは岩手県和賀郡西和賀町杉名畑の北上川水系和賀川にある国交省東北地方整備局が管理する多目的重力式アーチダムです。
北上特定地域総合開発計画(KVA)によって1964年(昭和39年)に建設された特定多目的ダムで、和賀川および北上川の洪水調節、和賀川流域4市町約2700ヘクタールの農地への灌漑用水の供給、岩手県企業局仙人発電所(最大3万7600キロワット)及び東北自然エネルギー(株)和賀川発電所(最大1万7500キロワット)でのダム水路式発電を目的としています。
洪水調節については北上川ダム統合管理事務所で四十四田ダム御所ダム田瀬ダム胆沢ダム(再)とともに統合管理されています。
ダムは日本100ダムに選ばれているほか、錦秋湖と命名されたダム湖はその名の通り紅葉の名所として知られ、湖畔にはハイウエイオアシスを併設した秋田道錦秋湖SAなどが設置されこちらもダム湖百選に選ばれています。
また2021年(令和3年)には『北上川上流総合開発ダム群』として土木学会選奨土木遺産に選定されました。
 
国道107号を西に向かい、当楽トンネルを抜けると左手に湯田ダムが姿を見せます。
ダムサイトの駐車場に車を止めてスノーシェッドに沿って国道を戻ると湯田ダムを正面から見ることができます。
これまで見たことがない複雑な造形が巨大なすり鉢の中におさまっています。
 
全体だけではなく個々のパーツも個性的。
 
丸みを帯びたクレストゲートからの導流部とジャンプ台式減勢工
直線的でいかついコンジット。
 
ジャンプ台減勢工をズームアップ。
 
上流から
下流から眺める姿とは全くの別人です。
 
左岸天端から
 
減勢工と副ダム。
 
ジャンプ台をゲート越しに。
 
取水設備とインクライン。
 
右岸から。
 
コンジットゲートズームアップ。
 
追記
湯田ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0247 湯田ダム(0369)
岩手県和賀郡西和賀町杉名畑
北上川水系和賀川
FAP
GA
89.5メートル
265メートル
114160千㎥/93710千㎥
国交省東北地方整備局
1964年
◎治水協定が締結されたダム

石羽根ダム

2016-05-09 12:30:00 | 岩手県
2016年5月3日 石羽根ダム
 
石羽根ダムは左岸が岩手県来北上市和賀町横川目、右岸が同町岩沢の北上川水系和賀川にある東北自然エネルギー(株)が管理する発電目的の重力式コンクリート・フィル複合ダムでです。
1954年(昭和29年)に非鉄金属メーカーだった当時の日本電興(のちの日本重化学工業)の自家用発電施設として建設され、石羽根発電所で最大1万700キロワットのダム式水力発電が開始されました。
石羽根ダムは左岸が重力式コンクリート、右岸がアースフィルダムとなっており竣工ベースでは日本最最古のフィルコンバインドダムです。
2003年(平成15年)の日本重化学工業倒産により同社の発電事業は東北電力傘下の東北地熱エネルギーに譲渡され、その後の会社再編により現在は東北自然エネルギー(株)が運用を行っています。
なお当ダムには岩手中部土地改良区の灌漑用水取水工が併設されていますが、同用水は湯田ダムの不特定利水容量から補給されるため、当ダムの目的は発電のみとなっています。
 
国道107号を湯田ダムに向かって西に走り石羽根バス停の手前を南に折れるとダム左岸に到着します。
ただ、ダムの敷地は立入禁止でこの写真が精一杯。
手前の小さなゲートは湯田ダムを水源とする岩手中部土地改良区の灌漑用水の取水工です。
 
国道を西に走るとダムが見える場所があります。
洪水吐は4門のスライドゲート、右側の被覆された2門のゲートは石羽根発電所の取水口です。
 
重力式コンクリートとアースダムの接合部。
 
右岸からアプローチします。
ダムと発電所の敷地は立入禁止でしたが、少し下流の民家の裏手からダムを見ることができます。
一番右手(左岸)は岩手中部土地改良区向けの灌漑用ゲート
4門のスライドゲートを挟んで左手(右岸)は石羽根発電所です。
 
このゲートから灌漑用水路へと流れます。
 
ズームアップ
 
右岸から
奥が重コン、手前がアース。
 
追記
石羽根ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たな洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0237 石羽根ダム(0368)
左岸 岩手県北上市和賀町横川目
右岸        同町岩沢
北上川水系和賀川
GF
20.5メートル
283メートル
4050千㎥/1580千㎥
東北自然エネルギー(株)
1953年
◎治水協定が締結されたダム

岩崎農場溜池

2016-05-09 12:15:00 | 岩手県
2016年5月3日 岩崎農場溜池
 
岩崎農場溜池は岩手県北上市和賀町煤孫の北上川水系夏油川左支流熊沢にある灌漑目的のアースフィルダムです。
夏油川流域は六原扇状地という透水性の高い台地になっており、川床が低い夏油川の水を灌漑用に使うことができませんでした。
そこで夏油川北側の岩崎地区で新田開発する際に受益者により水利組合である岩崎新田用水組合が結成されその事業で1938年(昭和13年)に建設されたのが岩崎農場溜池です。
現在は土地改良区の統合により一帯の溜池ともども岩手中部土地改良区が管理を行っています。
 
溜池に向かう道はダートのため、最寄りの市道の路肩に車を止めて往復2キロ弱を歩いて溜池に向かいました。
下流面はきれいに刈り込まれています。
 
天端には轍があり軽トラなら走れそう。
 
溜池
天気が良ければ焼石連峰が見えるようです。
 
上流面の草も奇麗に刈られています。
 
左岸の斜樋。
 
左岸の洪水吐
最近改修されたようです。
 
 
0229 岩崎農場溜池(0367)
ため池コード 320610054
岩手県北上市和賀町煤孫
北上川水系熊沢
24.2メートル(ため池データベース 23.7メートル)
81.6メートル(ため池データベース 77メートル)
820千㎥(ため池データベース 1031.3千㎥)/820千㎥
岩手中部土地改良区
1938年

千貫石ダム(再)

2016-05-09 12:00:00 | 岩手県
2016年5月3日 千貫石ダム(再)
 
千貫石ダム(再)は岩手県和賀郡金ヶ崎町西野の北上川水系宿内川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
金ヶ崎町の県道37号線沿いには二つの大きな溜池が並んでおり、北側にあるのが千貫石ダムです。
千貫石溜池の歴史は古く起源は伊達藩時代にさかのぼります。着工当初は毎年のように大破してしまったため『おいし』という女性を銭千貫で買い牛とともに人柱にしたという伝説が残り、これが千貫石の由来になったと言われています。
1934年(昭和9年)に千貫石溜池として整備され戦後は千貫石土地改良区の管理となります。
2005年(平成17年)から2009年(平成21年)にかけては大規模な改修が行われ千貫石ダムとして再開発されました。
その間の2008年(平成20年)に周辺土地改良区が統合され、隣接する橇引沢溜池ともども新しく誕生した岩手中部土地改良区の管理となり現在に至っています。
由緒ある溜池であり、また貯水池周辺は千貫石森林公園として整備され東北自然歩道の一部となっているなどの点を評価され、農水省によりため池百選に選ばれています。
 
橇引沢溜池から北に向かうとそのまま千貫石ダムの右岸に到着します。
 
南の橇引沢溜池から通じる道路が天端を通っています。
 
下流面。
 
洪水吐。
 
洪水吐越流部、薄く越流しています。
モノトーンの中で赤い手すりが目立ちます。
 
湾曲した洪水吐。
 
洪水吐の曲線が美しくどうしても目が行ってしまいます。
 
左岸上流に斜樋があります。
 
下流からもダムを見ることができます。
副ダムの手前で取水設備からの水路が減勢工に合流します。
 
橇引沢溜池と千貫石ダム、ともに古い歴史を持ち隣接していながら受益者が異なる二つの溜池。
歴史に現れないそれぞれの受益者同士の確執があったんだと思いますが、今はともに岩手中部土地改良区の管理となっています。
 
0232 千貫石ダム(再)(0366)
ため池コード 338110044
岩手県胆沢郡金ヶ崎町西根
北上川水系宿内川
31.3メートル(ため池データベース 31.5メートル)
247.5メートル(ため池データベース 191メートル)
5168千㎥(ため池データベース 5159千㎥)/5168千㎥
岩手中部土地改良区
1934年

橇引沢溜池

2016-05-09 11:45:00 | 岩手県
2016年5月3日 橇引沢溜池
 
橇引沢(そりひきさわ)溜池は岩手県和賀郡金ヶ崎町西根の北上川水系黒沢川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
 
金ヶ崎町の県道37号に沿って南北に二つの大きな溜池が並んでおり、南側が橇引沢溜池、北側が千貫石溜池となります。
ダム便覧には1935年(昭和10年)に「中村高志」の事業で竣工と記されています。
戦前は篤志家の地主が私財を拠出して灌漑用貯水池を建設することも少なくなく中村某がこれに当たるのか?それとも耕地整理組合の代表者の名前として記されているのか?詳細は不明です。
隣接する二つの溜池ですが、当然それぞれ受益者が異なり、戦後の土地改良事業でも橇引沢溜池は和賀川土地改良区が、千貫石溜池は千貫石土地改良区が管理をしてきました。
2008年(平成20年)に周辺土地改良区の合併が行われ、現在はともに新しく誕生した岩手中部土地改良区の管理に置かれています。
 
胆沢から県道37号を北上し、橇引沢橋を西に曲がると右手に橇引沢溜池が見えてきます。
右岸から
上流面はコンクリートブロックで補強されています。
 
天端は車道で、この道は北の千貫石溜池につながっています。
 
洪水吐導流部と取水口からの水路がダムの直下で合流しています。
 
左岸に洪水吐があります。
 
洪水吐。
 
 
右岸の斜樋。
 
0230 橇引沢溜池(0365)
ため池コード 338110040
岩手県胆沢郡金ヶ崎町西根字駒岡
北上川水系黒沢川
23.5メートル
142メートル
1686千㎥/1686千㎥
岩手中部土地改良区
1935年

衣川1号ダム(増沢ダム)

2016-05-09 11:30:00 | 岩手県
2016年5月3日 衣川1号ダム(増沢ダム)
 
衣川1号ダムは岩手県奥州市衣川区増沢の北上川水系北俣川にある農地防災・灌漑目的のアースフィルダムです。
岩手県奥州市衣川区は胆沢川によって形成された扇状地の南縁にあたり、栗駒山の火山堆積物で形成された透水性が高い地質で、豪雨になると河川流量が急増し流域農耕地に多大な被害をもたらしてきました。
そこで農林省(現農水省)の補助を受けた岩手県の防災ダム事業により衣川水系の主要河川に5基の農地防災ダムが建設されました。
5基のダム群を総称して『衣川防災5ダム』と呼んでおり、1963年(昭和38年)に完成したのが衣川4号ダムでダムの地名を採って増沢ダムともよばれています。
管理は奥州市が受託しています
 
左岸下流から
 
 
天端は立入禁止。
 
洪水吐
当初はゲートがありましたが、改修で撤去されたようです。
 
 
総貯水容量297万立米は衣川防災5ダム最大ですが、大半は農地防災容量のため貯水量はわずかです。
 
 
常用洪水吐を兼ねる取水設備。
 
追記
衣川1号ダムには農地防災容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0246 衣川1号ダム(増沢ダム)(0364)
岩手県奥州市衣川区増沢
北上川水系北股川
FA
35.5メートル
212メートル
2970千㎥/2620千㎥
奥州市
1963年
◎治水協定が締結されたダム

衣川4号ダム(苗代沢ダム)

2016-05-09 11:00:00 | 岩手県
2016年5月3日 衣川4号ダム(苗代沢ダム)
 
衣川4号ダムは岩手県奥州市衣川区国見の北上川水系三沢川にある農地防災目的のロックフィルダムです。
岩手県奥州市衣川区は胆沢川によって形成された扇状地の南縁にあたり、栗駒山の火山堆積物で形成された透水性が高い地質で、豪雨になると河川流量が急増し流域農耕地に多大な被害をもたらしてきました。
そこで農林省(現農水省)の補助を受けた岩手県の防災ダム事業により衣川水系の主要河川に5基の農地防災ダムが建設されました。
5基のダム群を総称して『衣川防災5ダム』と呼んでおり、1995年(平成10年)に5ダム最後のダムとして完成したのが衣川4号ダムでダム下流の地名を採って苗代沢ダムともよばれています。
管理は奥州市が受託しています。
 
下流から
洪水吐と取水口からの導水路が堤体下で合流しています。
 
堤体下流面。
 
上流面。
 
管理事務所
取水設備も兼ねています。
 
防災専用ダムのため水位は低くなっています。
 
天端は立入禁止。
 
洪水吐導流部と減勢工。
 
洪水吐。
 
他の衣川防災ダムと同様堤体は立ち入り禁止ですが、下流から見れるなど見学スポットは多くなっています。
 
追記
衣川4号ダムには農地防災容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0281 衣川4号ダム(苗代沢ダム)(0363)
岩手県奥州市衣川区国見
北上川水系三沢川
33メートル
135メートル
570千㎥/440千㎥
奥州市
1995年
◎治水協定が締結されたダム

衣川5号ダム(滝ノ沢ダム)

2016-05-09 10:45:00 | 岩手県
2016年5月3日 衣川5号ダム(滝ノ沢ダム)
 
衣川5号ダムは岩手県奥州市衣川区後滝の沢の北上川水系滝沢川にある農地防災・灌漑目的のアースフィルダムです。
岩手県奥州市衣川区は胆沢川によって形成された扇状地の南縁にあたり、栗駒山の火山堆積物で形成された透水性が高い地質で、豪雨になると河川流量が急増し流域農耕地に多大な被害をもたらしてきました。
そこで農林省(現農水省)の補助を受けた岩手県の防災ダム事業により衣川水系の主要河川に5基の農地防災ダムが建設されました。
5基のダム群を総称して『衣川防災5ダム』と呼んでおり、このうち1954年(昭和29年)に5ダムの最初のダムとして滝沢川に建設されたのが衣川5号ダムで立地場所から滝ノ沢ダムともよばれています。
管理は奥州市が受託しています。
 
このダムも本体へは立ち入りできず左岸の道路から眺めるのみです。
 
管理事務所?
 
ほぼダム軸上から。
 
上流面はコンクリート補強されています。
灌漑容量もありますが、大半が農地防災容量のためダム湖の水位は低くなっています。
 
右岸の洪水吐をズームアップ。
 
追記
衣川5号ダムには農地防災容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0239 衣川5号ダム(滝ノ沢ダム)(0362)
岩手県奥州市衣川区後滝の沢
北上川水系滝沢川
FA
20.5メートル
73.5メートル
283千㎥/252千㎥
奥州市
1954年
◎治水協定が締結されたダム

衣川2号ダム(川内ダム)

2016-05-09 10:30:00 | 岩手県
2016年5月3日 衣川2号ダム(川内ダム)
 
衣川2号ダムは岩手県奥州市衣川区上河内の北上川水系南俣川にある農地防災目的のフィルコンバインドダムです。
岩手県奥州市衣川区は胆沢川によって形成された扇状地の南縁にあたり、栗駒山の火山堆積物で形成された透水性が高い地質で、豪雨になると河川流量が急増し流域農耕地に多大な被害をもたらしてきました。
そこで農林省(現農水省)の補助を受けた岩手県の防災ダム事業により衣川水系の主要河川に5基の農地防災ダムが建設されました。
5基のダム群を総称して『衣川防災5ダム』と呼んでおり、このうち1971年(昭和46年)に南俣川に建設されたのが衣川2号ダムで立地場所から川内ダムともよばれています。
管理は奥州市が受託しています。
 
右岸は重力式コンクリートでクレストには2門の赤いラジアルゲート。
 
越流面にはコケが生えています。
 
左岸のロックフィルと重力式コンクリートのつなぎ目
 
コンバインドダムのつなぎ目。
そばで見ると草が生えていますがロックフィルだとわかります。
 
左岸のロックフィル、車道が斜行しています。
天端は立ち入りできません。
 
上流から
有効貯水容量はすべて農地防災容量となるため、貯水池はほぼ空っぽ。
 
衣川3号ダム同様堤体は立ち入り禁止ですが、重力式コンクリート・フィル複合という珍しい型式。
コンクリートとロックフィルのつなぎ目を間近で見れたのは大きな収穫です。
 
追記
衣川2号ダムには農地防災容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0251 衣川2号ダム(川内ダム)(0361)
岩手県奥州市衣川区上河内
北上川水系南股川
GF
34メートル
251メートル
2360千㎥/1890千㎥
奥州市
1971年
◎治水協定が締結されたダム

衣川3号ダム(北沢ダム)

2016-05-09 10:15:00 | 岩手県
2016年5月3日 衣川3号ダム(北沢ダム)
 
衣川3号ダムは岩手県奥州市衣川区桧山沢山の北上川水系北沢川にある農地防災目的のロックフィルダムです。
岩手県奥州市衣川区は胆沢川によって形成された扇状地の南縁にあたり、栗駒山の火山堆積物で形成された透水性が高い地質で、豪雨になると河川流量が急増し流域農耕地に多大な被害をもたらしてきました。
そこで農林省(現農水省)の補助を受けた岩手県の防災ダム事業により衣川水系の主要河川に5基の農地防災ダムが建設されました。
5基のダム群を総称して『衣川防災5ダム』と呼んでおり、このうち1987年(昭和62年)に南俣川に建設されたのが衣川3号ダムで河川名から北沢ダムともよばれています。
衣川防災5ダムは奥州市が管理を受託しています。
 
岩手県奥州市衣川区は胆沢川によって形成されたした扇状地の南縁にあたり、栗駒山の火山堆積物によって形成されたもろい地盤が続いています。
このため谷は深く、いったん洪水が起こると小さな河川でも流域に大きな被害をもたらしてきました。
そこで岩手県は衣川流域の農耕地及び農業施設を洪水から守るために衣川水系の主要河川に5基の防災ダムを建設しました。
5基のダム群を総称して『衣川防災5ダム』と呼んでいます。
衣川3号ダムは5基のダムの一つで北沢ダムとも呼ばれています。
 
ダム本体は立入禁止で洪水吐等主要施設を見ることはできません。
 
左岸上流から
防災ダムのため水位は低くなっています。
 
取水設備
ここでは河川維持用の取水が行われています。
 
左岸下流から
山にはガスがかかっています。
 
ダム便覧では堤高41メートルになっていますが堤体下部に盛り土が施されているせいかそんな高くは見えません。
 
追記
衣川3号ダムには農地防災容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0255 衣川3号ダム(北沢ダム)(0360)
岩手県奥州市衣川区桧山沢山
北上川水系北沢川
41メートル
180メートル
1790千㎥/1600千㎥
奥州市
1987年
◎治水協定が締結されたダム

入畑ダム

2016-05-09 10:00:00 | 岩手県
2016年5月2日 入畑ダム
 
入畑ダムは岩手県北上市和賀町岩崎新田の北上川水系夏油川にある岩手県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、夏油川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、北上地区への上工水用水の供給、岩手県企業局入畑発電所での最大2100キロワットのダム式水力発電を目的として1990年(平成2年)に竣工しました。
 
ゲートは珍しい配置でクレスト自由越流頂が8門、堤体両端に上部常用洪水吐となるローラーゲートを2門装備。
さらに下部常用洪水吐としてオリフィスゲート2門を備えています。
今回は両端のローラーゲートから放流が行われていました。
 
ゲートから放流された水は、導流壁に沿ったカスケードを下り減勢工で対岸からの水と合流します。
 
中央からの放流も見ごたえがありますが、入畑ダムの両端から糸を引くような放流は独特の美しさです。
 
右岸のゲート。
天端は車両通行可能ですが、対岸でドン詰まり。
 
クレスト両端にローラーゲート、中央に取水設備、対岸に管理事務所とインクラインがあります。
 
減勢工
狭い渓谷のため副ダムの堤高はかなり高くなっています。
下流に岩手県企業局の入畑発電所があり、その先には日帰り温泉施設があります。
 
左岸に回ってみます。
 
バブル放流も行われています。
 
右岸高台に鬼翔平(おにがけだいら)という展望台がありダムを俯瞰できます。
 
展望台からはダム湖と焼石連峰も一望できます。
あいにく霞んでいますが、すっきり晴れていたならば素晴らしい景色が広がったでしょう。
ダム湖の奥には秘湯夏油温泉もあります。
 
下流からはこれが精いっぱい
オリフィスに下部常用洪水吐のラジアルゲートが2門見えます。
 
追記
入畑ダムには洪水調節容量が設定されていますが、豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0259 入畑ダム(0359)
岩手県北上市和賀町岩崎新田
北上川水系夏油川
FNWIP
80メートル
233メートル
15400千㎥/13900千㎥
岩手県県土整備部
1990年
◎治水協定が締結されたダム