ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

滝谷池

2018-02-15 23:25:36 | 三重県
2018年2月11日 滝谷池
 
滝谷池は三重県伊賀市槙山の淀川水系河合川(上流では滝谷川)源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
現地記念碑には三重県の事業で1956年(昭和31年)に建設され、さらに県のため池等整備事業で改修が行われたと記されています。
滝谷池の管理は阿山町土地改良区が行っており、ここで取水された水は約2.2キロの導水路で玉瀧地区に送られます。
なおダム便覧では堤高23.5メートルとなっていますが、ため池データベースでは21.5メートルとなっておりここではデータベースの数字を採用します。
 
左岸天端わきに竣工記念碑や県の整備事業の案内板などが建っています。
天端にはチェーンが張られ車の進入はできません。 
 
竣工記念碑
1956年(昭和31年)の池完成時に建立されました。
戦後の石碑にしてはずいぶん年季が入っています。
 
左岸の斜樋
円形のちょっとしゃれた建屋です。
伊賀市のため池の取水設備建屋は凝ったものが多いですね。
 
天端からの眺め
集落までは約2キロ、延々と森が続きます。
 
総貯水容量は80万立米で、山中にある溜池としてはかなりの規模です。
 
天端
轍がありますが、関係者以外の車両は進入できません。
 
奇麗に刈り払われた堤体。
 
上流面はコンクリートで護岸されています。
また右岸が弓型に湾曲しています。
 
右岸の越流式洪水吐。
 
底樋や玉瀧地区へ続く水路も見てみたかったのですが、堤体を歩いて下るのは自重したため確認できませんでした。
 
1304 滝谷池(1240)
ため池コード
三重県伊賀市槙山
淀川水系河合川(滝谷川)
21.5メートル
246メートル
800千㎥/800千㎥
阿山町土地改良区
1956年

入鹿池(再)

2018-02-15 17:27:49 | 愛知県
2018年2月10日 入鹿池(再)
 
入鹿池(再)は愛知県犬山市堤下の木曾川水系五条川上流部にある灌漑・防災目的のアースフィルダムです。
徳川幕府成立以降木曽川流域の治水とともに新田開発が進められ、その水源として尾張藩初代藩主徳川義直の命により1633年(寛永10年)に築造されたのが入鹿池です。
しかし、幕末の1868年(慶応4年、明治元年)に『入鹿切れ』と呼ばれる大規模な決壊事故が発生し、犠牲者700人を超える大惨事となり、この復旧には1879年(明治12年)まで時間を要しました。
1991年(平成2年)に竣工した入鹿池再開発防災ダム事業により従来の灌漑に加えて農地防災機能が付加されダムの目的はFAとなりました。
2005年(平成17年)には愛知用水からの補給が開始され、灌漑機能は格段に向上しました。
入鹿池(再)は総貯水容量、湛水面積ともに香川県の満濃池を凌ぐ日本最大の農業用ため池で、池の管理は入鹿用水土地改良区が行い、犬山市・小牧市・大口町・扶桑町の628ヘクタールの農耕地に灌漑用水を供給しています。
また日本を代表する溜池として2010年(平成22年)に『ため池100選』に、2015年(平成27年)にはICID(国際かんがい排水委員会)により『世界かんがい施設遺産』に選定されました。
 
入鹿池南側を通る県道16号線から
堤体に『いるか池』の文字が見えます。
堤頂長は724メートルに及び、ここから見える堤体はほんの一部です。
ダム下には放流設備や愛知用水からの揚水設備などが並びますが、訪問時は工事中のため立ち入りできませんでした。
 
延々と続く堤体。
 
池を管理する入鹿用水土地改良区事務所
隣接する明治村に合わせて明治風の建物になっています。
 
右岸の横越流式洪水吐
鋼製起伏ゲートがあり貯水位を1メートル調整できます。
 
溜池としては日本最大規模を誇る入鹿池
ワカサギ釣りのメッカでシーズンの休日ということで多くの釣り船が湖面に出ています。
 
取水塔も明治風の建物。
 
上流面
堤頂長は740メートルを超えます。
 
天端は車道になっており、釣り客向けの貸船屋や食堂が並びます。
天端に店舗が並ぶアースフィルダムは全国でもここだけでしょう。
 
まるで墓石のように各種記念碑が並んでいます。
 
世界かんがい施設遺産の記念碑。
 
古い取水塔のバルブが展示されています。
 
日本を代表する灌漑用ダムとしてじっくり見学したいところですが、ちょうどワカサギ釣りシーズン真っただ中、駐車場の確保にも困りあわただしい見学となりました。

入鹿池(元)
ため池コード
愛知県犬山市
木曽川水系五條川
28.9メートル
692メートル
15200千㎥/15200千㎥
入鹿用水土地改良区
1633年
----------------
1242 入鹿池(再)(1239)
ため池コード
木曽川水系五條川
FA
25.7メートル
724メートル
18479千㎥/18479千㎥
入鹿用水土地改良区
1991年 

五ヶ村池

2018-02-15 16:22:31 | 愛知県
2018年2月10日 五ヶ村池
 
五ヶ村池は愛知県春日井市西尾町の庄内川水系西尾川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には愛知県の事業で1974年(昭和49年)に竣工と記されていますが、竣工記念碑等はなく詳細は不明です。
ただ、五ヶ村池という名称から、もともとは受益者となる下流五ヶ村の共同で建設された溜池と考えられ、竣工年度の1974年は従来あった溜池が整備された時期と推察されます。
池の管理は春日井市河川排水課が行っています。
なおダム便覧の堤高17.7メートルに対しため池データベースでは14.7メートルに留まっています。
 
国道19号線春日井バイパスの内津パーキング西側の立体の分岐を北に折れ、ゴルフ場に沿って進むと五ヶ村池に到着します。
 
堤体下流面は車道が通りどこが堤体かわかりずらい状況。 
 
一応これが天端。
 
左岸に越流式洪水吐があります。
 
堤体上流面の斜樋。
 
貯水池側から見た斜樋。
 
総貯水容量は10万5000立米。
 
上流面はコンクリートで護岸されていますが、ゴミが散乱。。
 
ちょっとわかりづらいですが越流式洪水吐。
 
洪水吐導流部
大きく湾曲し堤体とは別方向に流下してゆきます。
 
 
底樋は確認できませんでした。

3442 五ヶ村池(1238)
ため池コード
愛知県春日井市西尾町
庄内川水系西尾川
17.7メートル(ため池データベース14.7メートル
40メートル
105千㎥/105千㎥
春日井市河川排水課
1974年

宝地池

2018-02-15 14:04:49 | 愛知県
2018年2月10日 宝地池
 
宝地(ほうぢ)池は愛知県豊川市上長山の豊川水系宝川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムで、ダム便覧には愛知県の事業で1955年(昭和30年)に建設と記されています。
その後2017年(平成29年)にかけて大規模な改修工事が行われ、堤体は一新されました。
池の管理は宝地溜池組合が行っています。
 
実は宝地池には2016年(平成28年)1月に訪問するも改修工事中で立ち入りできず、改修工事工期が終わった翌年2月に再訪するも工事の延長で再び見学叶わず、今回3度目の正直でようやく池と対面することができました。
 
左岸から上流面
昨年3月に改修工事が終わったばかり、上流面は美しい石積みになっています。 
 
左岸の斜樋。
 
天端から。
 
総貯水容量は29万立米
池のすぐ北側を新東名が走っています。
 
右岸から上流面
奥には本宮山が見えます。
 
右岸の横越流式洪水吐。
洪水吐も改修で新調されました。
 
下流面
昨年3月に改修されたばかりで張られたばかりの生が黄金色に輝いています。
 
池の下流からアプローチする道もありますが、そちらは関係者以外立ち入り禁止。
ということで立ち入り制限がなかった堤体の階段を下りました。
洪水吐導流部と取水設備からの底樋とゲート。手前に円筒分水工があります。
 
底樋樋門をズームアップ。
 
円筒分水工
草が生え引退?と思いきやバリバリの現役
需要期のみですが、灌漑用水の溢流が見れるそうです。
 
見学中に見回りに来た関係者の方に話を伺うことができました。
高齢化などによる離農が進み、受益農家はこの20年ほどで半減、池は豊川市の所有で水利組合が管理をしているそうです。
また周辺の山林は山火事が多く、火事の際はヘリによる消火用の水源にもなるそうです。

1218 宝地池(1237)
ため池コード
愛知県豊川市上長山町
豊川水系宝川
19.6メートル
239メートル
290千㎥/290千㎥
宝池溜池組合
1955年

設楽ダム

2018-02-15 04:55:23 | 愛知県
2018年2月10日 設楽ダム
 
設楽ダムは愛知県北設楽郡設楽町の豊川本流上流部に国交省中部地方整備局の直轄事業として建設中の多目的重力式コンクリートダムです。
もともとは1963年(昭和38年)に電源開発が発電用ダムとして計画したものの地質上の問題から白紙化、その後当時の通産省(現経産省)により揚水発電用ダムとして再び事業計画され、1078年(昭和53年)に建設省(現国交省)による多目的ダム事業として事業着手されました。
2010年(平成22年)に国交省による検証対象ダムとなりましたが、2014年(平成26年)に事業継続が決定、2016年(平成28年)に2026年(平成38年)の完成予定が明示され、2017年(平成29年)より建設事業が開始されています。。
現在は資材搬入道路の整備および転流工の設置工事が始まったばかりです。
完成の暁には総貯水容量9800万立米の巨大な貯水池が出現し、豊川本流上流流部の洪水調節、不特定利水、東三河地域向けの上水道用水及び農業用水の供給を目的とする予定です。
 
完成予定図(国交省 設楽ダム工事事務所より)
 
設楽町中心部から県道33号線を西に向かい豊川本流に着くとダム関係の案内板や立ち並んでいます。
ダム予定地の案内板。
 
実際のダム建設予定地。
 
現在は資材搬入道路の整備と転流工の建設が始まったばかりです。
 
各種案内板。
 
 

1240 設楽ダム(1236)
愛知県北設楽郡設楽町清崎
豊川水系豊川
FNAW
129メートル
380メートル
98000千㎥/92000千㎥
国交省中部地方整備局
2026年予定