ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

満濃池(再)

2018-04-01 12:51:43 | 香川県
2018年3月21日 満濃池(再)
 
満濃池(再)は香川県仲多度郡まんのう町の金倉川上流部にある灌漑目的のアースダムフィルダムです。
歴史は古く8世紀初期の飛鳥時代大宝年間まで遡り、その後の決壊では弘法大師(空海)がわずか3カ月で改修を完了させたという逸話も残っています。
平安期にも決壊、復旧を繰り返すも1184年(元歴元年)の決壊以降長く放置され、徳川幕府成立後、高松藩主生駒高俊の命により1631年(寛永3年)に約450年ぶりに復旧され、大河のない讃岐平野を潤す貴重な巨大貯水池は感謝の念を持って満濃太郎と称されました。
明治維新以降、数度の嵩上げ改修工事が行われ、1959年(昭和34年)の第3次嵩上げ工事の竣工により現在の規模となりました。
満濃池(再)は農業用溜池としては総貯水容量1540万立米、湛水面積139ヘクタールと愛知県の入鹿池に次ぐ規模を誇り、香川県内のダムとしては数あるコンクリートダムを凌ぎ貯水容量は最大です。
1870年(明治3年)の改修で設置された樋門は登録有形文化財に指定されているほか、2005年(平成17年)にダム湖百選、2010年(平成22年)に『ため池100選』、2016年(平成28年)にはICID(国際かんがい排水委員会)による世界かんがい施設遺産、2019年(平成31年)に国の名勝に選ばれています。
さらにアースフィルダムとしては数少ない日本100ダムにも選ばれています。
池の管理は満濃池土地改良区が行い3239ヘクタールにおよぶ広大な農地に灌漑用水を供給しています。
 
満濃池右岸は『国営讃岐まんのう公園』として整備されているほか、左岸は満濃池森林公園、堤体直下は親水公園である『ほたる見公園』となっており、中讃地域有数のレクリエーションエリアとなっています。
今回は下流のほたる見公園の駐車場に車を止めて歩いて池へと向かいました。
堤体下の『ほたる見公園』
遊歩道が整備され親水公園となっています。
 
池直下にある取水堰
鋼製フラップゲートで水量を調節し三つの灌漑用水路に分水されます。
 
余水吐はトンネル式導流部となっており、トンネル出口からは自然の岩盤を流下します。
前日までの雨で水位が上昇し、越流した水が自然の滝のように流下しています。
 
底樋樋門と石積み溢流堤
明治期の貴重なコンクリート作りの底樋樋管は国の登録有形文化財及び、Cランクの近代土木遺産に指定されています。
こちらも水位上昇を受けて普段よりも多量の放流をしており、余水路から溢れた水はミニ長篠堰堤のような状況。
 
遊歩道が整備されたほたる見公園。
 
アースフィルの堤体はアーチ状に湾曲しています。
 
右岸の余水吐
越流した水は上から3枚目の写真のトンネル出口へと流下します。
 
総貯水容量1540万立米はアースフィルの農業用溜池としては入鹿池に次いで全国第2位の規模です。
 
左岸の取水塔
取水された水は4枚目の写真の樋門へと送られます。
 
上流面は谷積みの石で護岸されています。
堤体がアーチ状に湾曲しているのがよく分かります。
 
世界かんがい施設遺産の記念碑。
 
日本を代表する灌漑用溜池ですが、巨大な貯水池を支える堰堤は堤高32メートル、堤頂長155.8メートル、堤体堰21万8000立米と意外に小ぶり。
貯水効率はアースフィルダムとしては驚異の70倍強となっており、広大な谷間に対してその隘狭な出口に堰堤を築き効率的な貯水を果たした先人の見る目の確かさには脱帽するばかりです。
 
満濃池
香川県仲多度郡まんのう町神野
金倉川水系金倉川
22メートル
----メートル
5000千㎥/5000千㎥
821年
----------------
3337 満濃池(再)(1260)
ため池コード
香川県仲多度郡まんのう町神野
金倉川水系金倉川
32メートル
155.8
15400千㎥/15400千㎥
満濃池土地改良区
1959年


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