2016年5月14日 大谷内ダム
2023年9月24日
大谷内(おおやち)ダムは左岸が新潟県中魚沼郡津南町秋成、右岸が同町中深見の信濃川水系釜川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
苗場山南西山麓は火山活動や隆起活動で形成された日本最大規模の河岸段丘が広がり段丘上の農地開発適地は1万6000ヘクタールに及びますが、浸食により谷は深く揚水技術のない時代段丘上の開墾は困難を極めました。
苗場山麓では戦前より数次にわたる国営土地改良事業が進められ、当初は灌漑用溜池である大谷内溜池として建設されました。
その後1975年(昭和50年)に着手された国営総合農地開発事業苗場山麓第二地区で溜池の再開発が実施され1989年(平成元年)に竣工したのが大谷内ダムで、貯水容量は従来の溜池の2.5倍規模となりました。
運用開始後は津南郷土地改良区が管理を受託し、約700ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
大谷内ダム丘陵台地上を掘り込んだ皿池状の貯水池で貯水池外周がほぼすべて堤体となっており、堤頂長は日本のダム最長の1780メートルに及びます。
苗場山麓の国営土地改良事業も2012年(平成14年)の国営農地再編整備事業苗場地区の竣工をもって完了し、30年の年月をかけ約2400ヘクタールの農地が整備されました。
大谷内ダムには2016年(平成28年)5月に初訪、夏場の渇水により水位が大幅に低下との報を受け2023年(令和5年)9月に再訪しました。
掲載する写真にはそれぞれ撮影日時を記載しています。
残念ながらその長大な堰堤の下流面を一望できるポイントはありません。
天端に向けて道路が斜行します。
(2023年9月24日)
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管理道路にはゲートがあり車両進入禁止。
土地改良区に確認したら徒歩での見学は問題ないとのこと。
(2023年9月24日)
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堤頂部の管理事務所
職員の常駐はありません。
そばには説明板や記念碑が並びます。
(2023年9月24日)
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事業説明板。
(2023年9月24日)
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初回訪問時はほぼ満水。
貯水池側はすべてコンクリートで護岸処理されています。
(2016年5月14日)
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再訪時
ほぼ同じアングルですが水位の違いがはっきり分かるでしょう。
訪問直前の雨で水位は幾分回復していますが、それでも貯水率は30%程度。
(2023年9月24日)
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奥に見えるのはグリーンピア津南。
(2023年9月24日)
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ダム直上を柏崎刈羽原発から首都圏に通じる東京電力の新新潟幹線が通ります。
50万ボルトが2回線。
(2023年9月24日)
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大谷内ダムは流域面積17.4平方キロのうち自己流域はわずか0.4平方キロ。
その大半は釜川にある大場頭首工からの導水に依ります。
これはその導水路。
(2023年9月24日)
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導水路流入口
最大毎秒1.67立米導水されます。
2023年8月には渇水によりこの導水が停止、貯水率は一時10%割れとなりました。
(2023年9月24日)
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左岸の横越流式洪水吐。
この時はほぼ満水で、水位が越流部間際まであります。
(2016年5月14日)
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アングルを変えて。
(2016年5月14日)
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再訪時
水位の低さが一目瞭然。
(2023年9月24日)
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導流部は左岸堤体沿いを流下します。
(2016年5月14日)
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洪水吐越しの堰堤と貯水池。
堀込式のダムのため、上流側も含め貯水池の周囲すべてが堤体となります。
(2023年9月24日)
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ダム湖中央にフローティングアーム式取水設備があり、最大毎秒1.57立米を取水します。
(2023年9月24日)
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国営土地改良事業の竣工により、津南町は「農を以て立町の基と為す」を町是とし、コシヒカリのほか野菜生産においても県内屈指の生産量を誇る農業王国となりました。
0795 大谷地ダム(0374)
左岸 新潟県中魚沼郡津南町秋成
右岸 同町中深見
信濃川水系釜川
A
E
23.2メートル
1780メートル
1206千㎥/1200千㎥
津南郷土地改良区
1989年
堤体内側の張ブロックなどは遮水目的ではなく、波浪や水位変動による堤体の浸食を防ぐためのモノです。
本文を訂正しておきました。