ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

中島ダム

2018-02-20 16:07:02 | 静岡県
2018年2月17日 中島ダム
 
中島ダムは静岡県駿東郡小山町柳島の酒匂川水系中島川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
現地記念碑によれば、1918年(大正7年)に静岡県の事業によって建設されましたが、1972年(昭和47年)7月の集中豪雨により堰堤が決壊し犠牲者が出る惨事となりました。
その後県の災害復旧事業により1975年(昭和50年)に復旧され現在に至っています。
ダムの管理は中島水利組合が行っています。
 
国道246号線中島インターから『金時公園』の標識に従って北上し、新東名の建設工事現場を過ぎると中島ダムに到着します。
中島地区は金太郎こと坂田金時生誕の地とされ、ダム一帯は金時公園として整備されています。
 
ダム下から
堤体は近年さらに改修が行われたようで基部はコンクリートで補強されています。 
 
堤体左岸(写真右手)の洪水吐導流部。
 
ダム左岸に各種記念碑や水神が置かれ、石碑移設記念碑には中島ダム(中島貯水池)の由来が記されています。
 
上流面はコンクリートで護岸。
 
斜樋と土砂吐ゲート。
土砂吐ゲートはかなり大掛かりで、ちょっと他では見かけないタイプ。
 
左岸の洪水吐
日蔭になり見づらい写真に・・・。
 
天端は車道。
 
ダム一帯は金太郎にちなんで金時公園として整備されています。
石には『八重桐之池』の銘。
 
非灌漑期ということで水が抜かれほぼ空っぽ。
 
土砂吐ゲート。
 
底樋は確認しませんでした。
山中にひっそりと佇むアースダムという雰囲気のはずですが、ダムの下流1キロほどで新東名高速の建設工事が行われあわただしい雰囲気となっていました。
 
3371 中島ダム(1247)
ため池コード 223440002
静岡県駿東郡小山町柳島
酒匂川水系中島川
17.4メートル
60メートル
38千㎥/36千㎥
中島水利組合
1918年

三保ダム

2018-02-20 10:00:00 | 神奈川県
2016年1月16日 三保ダム
2018年2月17日
 
三保ダムは神奈川県足柄上郡山北町神尾田の二級河川酒匂川水系河内川にある神奈川県企業庁が管理する多目的ロックフィルダムです。
高度成長を受けて神奈川県内への人口、事業所の集中は一段と加速し、従来の相模川水系だけでは増加の一途をたどる都市用水需要を賄うことが困難となってきました。
そこで神奈川県は県西部最大河川である酒匂川に着目、建設省の補助を受けた補助多目的ダム建設事業に着手し、1978年(昭和53年)に三保ダムが竣工しました。
三保ダムは酒匂川水系の洪水調節、神奈川県全域への上水道用水の供給、東京発電田ノ入発電所での最大7400キロワットのダム式水力発電を目的としています。
 
三保ダム貯水池の丹沢湖は西神奈川を代表するレクリエーションエリアとなっており、四季を通じて多くの観光客やハイカーが訪れています。
またダム自体もダム下に公園が整備されているほか、堤体を登る道路も歩行者に開放されておりダム湖百選にも選ばれています。
 
県道76号から丹沢湖手前でダム広場への道に入ると正面に三保ダムが姿を現します。
三保ダム最大の特徴はまるで重力式コンクリートダムと見まがうばかりの巨大な洪水吐です。
この写真だけを見れば重力式コンクリートダム以外の何物でもありません。
 
ダム直下の吊り橋から
洪水吐はラジアルゲート4門、右岸に越流高の異なるローラーゲートが1門、一番右岸(向かって左手)寄りに横越流式洪水吐からの放流口があります。
 
 
ダム下公園にはミニチュアのダムや吊橋が作られています。
 
左岸から見た堤体下流面
リップラップには芝生が張られ見た目はアースフィルダム。
 
天端および下流面の道路は歩行者のみ開放されています。
 
天端は緩やかにカーブし上下に畝っています。
 
ここを見るとロックフィルだとわかります。
 
上流面
堤体が緩やかに湾曲。
 
ダム湖の丹沢湖は総貯水容量6490万立米
神奈川を代表するレクリエーションエリアです。
 
減勢工
減勢工の隣には茶畑。
 
ゲート最右岸には非常用洪水吐である横越流式洪水吐があります。
 
ダム下公園に置かれた東京電力田ノ入ダムのゲート巻き上げ機と嵐発電所のライナー。
 
東京発電田ノ入発電所の放流口。
ここは分水工になっていて、右手は嵐発電所の取水口、左手は河川維持放流や常用浮流として河内川に戻されます。
 
芝生が張られアースダムと見紛うような女性的な堤体と、それだけ見れば恰も重力式コンクリートダムのようなスパルタンな洪水吐の対比が非常に美しい三保ダム。
神奈川と言えば宮ヶ瀬ダムの人気が高いですが、個人的には三保ダムの方が好みです。
 
追記
三保ダムには1000万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに522万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0702 三保ダム(0191)
神奈川県足柄上郡山北町神尾田
酒匂川水系河内川
FWP
95メートル
587.7メートル
64900千㎥/54500千㎥
神奈川県企業庁
1978年
◎治水協定が締結されたダム

飯泉取水堰

2018-02-20 02:44:05 | 神奈川県
2018年2月17日 飯泉取水堰
 
飯泉取水堰は神奈川県小田原市の2級河川酒匂川河口から上流に2.3キロ地点にある神奈川県広域水道企業団が管理する上水道目的の可動堰です。
神奈川県の『酒匂川総合開発事業』に上水道事業者として事業参加した神奈川県広域水道企業団の取水堰として1973年(昭和48年)に竣工、翌年から運用が開始されました。
1978年(昭和53年)の三保ダム完成により日量最大156万4300立米の取水が可能となり、県内3カ所の浄水場を経て神奈川県営水道・横浜市営水道・川崎市営水道・横須賀市営水道に上水道用水を供給しています。
1985年(昭和60年)には近代水道の代表的施設として近代水道百選に選ばれました。
 
酒匂川にかかる国道255号線飯泉橋から下流に飯泉取水堰が見えます。
ちょうど日の出時間の訪問となり逆光に取水堰が浮かびます。
手前が上流です。
 
同じく上流から
対岸左手が取水口になります。
 
右岸下流から
管理橋は現在補修工事中
赤いゲートが朝日に映えて鮮やか。
 
洪水吐ゲート8門、土砂吐ゲート1門、計9門のゲートが並びます。
 
今度は左岸下流から
手前のコンクリートの導流堤の間に魚道がありますが、フェンスが邪魔で見えません。
背後には箱根の山越しに富士山も望めます。
 
左岸にある取水設備は立ち入り禁止ですが、定期的に見学会を催しているようです。
機会があればぜひ見学してみたいものです。
 
3078 飯泉取水堰(1246)
左岸 神奈川県小田原市中新田
右岸 神奈川県小田原市扇町四丁目
酒匂川水系酒匂川
MB
5.4メートル
342.5メートル
---千㎥/---千㎥
神奈川県広域水道企業団
1973年