ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

奥裾花ダム(元)

2017-08-04 06:00:00 | 長野県
2015年11月 7日 奥裾花ダム(元)
2017年 7月30日
 
奥裾花ダム(元)は左岸が長野市鬼無里、右岸が同市鬼無里日影の一級河川信濃川水系裾花川上流部にある長野県建設部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
1969年(昭和44年)の裾花ダム(元)の完成により裾花川中下流部の治水能力は大きく向上しますが、上流部については依然脆弱な状態が続いていました。
さらに増加する長野市の上水需要や鬼無里村への上水供給から新たな上水用水源の確保が求められました。
そこで長野県は裾花ダム(元)竣工直後の1969年(昭和44年)に裾花川上流部での新たな多目的ダム建設に着手、1979年(昭和64年)に竣工したのが奥裾花ダム(元)です。
奥裾花ダム(元)は建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、裾花川の洪水調節(最大毎秒220立米の洪水カット)、長野市及び鬼無里への上水道用水の供給、長野県企業局奥裾花第1第2発電所合わせて最大2680キロワットのダム式水力発電を目的としています。

両ダムの完成により裾花川の治水能力は格段に向上し、長野県各所で甚大な水害が発生した1995年(平成7年)7月豪雨2019年(令和2年)台風19号の際にも裾花川流域での洪水被害は軽微にとどまっています。
一方で、両ダムでは計画を上回る堆砂が進行しており、貯水池内への土砂流入抑止策や治水計画の見直し等により2020年(令和2年)に『裾花川流域ダム再生事業』が採択され、両ダムの再開発事業が着手されました。
2062年(令和44年)竣工をめどに、裾花ダム(元)では土砂バイパスの新設と貯水池掘削、奥裾花ダム(元)ではダムの嵩上げによる貯水容量の増大、バイパス水路の新設、貯水池掘削が実施される予定です。

奥裾花ダム(元)には2015年(平成27年)11月に初訪、2017年7月にもりみず旬間のダム見学会に合わせて再訪しました。
日付のない写真はすべて再訪時のものです。

ダム手前の樹間から。普段はここから眺めるのみ。
(2015年11月7日) 
 
2017年7月30日の見学会ではダム下の発電所まで入ることができました。
非常用洪水吐としてクレストラジアルゲートを2門、常用洪水吐としてオリフィス高圧ラジアルゲートを1門装備。
向って右手に第1第2発電所があり、放流水が流下しています。
 
ゲートをズームアップ
オリフィスゲート上に見学者が見えます。
 
下流面。
堤体から発電用水圧鉄管が突き出ています。
 
上流面
中央に取水設備、対岸にはインクラインと艇庫。
(2015年11月7日) 
 
初回訪問時は第二発電所はまだ建設中。
(2015年11月7日) 
 
再訪時。
 
オリフィスゲート直上から
奥から増設された第2発電所、手前に第1発電所、一番手前の小さな建屋は利水放流設備。
 
ラジアルゲート下流側。
 
ラジアルゲート上流側。
 
天端。
 
右岸から上流面
対岸は管理事務所、奥はダム湖に架かる奥裾花大橋。
 
2017年7月30日の見学会では監査廊やゲート操作室などを見せていただけました。
なおダム見学会の詳細は奥裾花ダム見学会に記してあります。 

(追記)
奥裾花ダム(元)には洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

1028 奥裾花ダム(元)(0045)
左岸 長野県長野市鬼無里
右岸     同市鬼無里日影
信濃川水系裾花川
FWP
59メートル
170メートル
5400千㎥/3300千㎥
長野県建設部
1979年
◎治水協定が締結されたダム
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3714 奥裾花ダム(再)
左岸 長野県長野市鬼無里
右岸     同市鬼無里日影
長野県長野市鬼無里
信濃川水系裾花川
FWP
59メートル
170メートル
5400千㎥/3300千㎥
長野県建設部
2020年~


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