ホームレス・黒猫のタンコ ⑫

子猫が来た最初のころはタンコが一番先に食べていたが、しばらく経つと食べ始めるが、少し食べると引き下がるように離れて子猫たちが食べるのを見守っているようになった。私が食べると子どもたちの食べる量が少なくなるからとでも思っているのか、子猫が食べ終わると少し残った餌を食べている。子猫たちの食欲は日に日に旺盛になる。子猫たちが食べ残すこともなくなった。喧嘩相手ではあるが、これには少し可哀想になり手羽元を皿に置いた、子猫たちは帰っているのでゆっくり食べられると思ったが、タンコは食べないで咥えると子猫たちの元に帰っていった。久しぶりに手羽元なので子猫たちにも食べさせたいと思っているのか、子猫たちとの様子は見えないが、一緒に食べるのではなく、子猫たちだけに食べさせていると想像がつく。最近は子猫たちも食事を済ませても直ぐに帰らない。食事を見守っていたタンコの傍に近寄っていく。するとタンコは子猫に毛づくろいを始める。うっとりとタンコに身を委ねる子猫を毛づくろいするタンコも母親らしい表情を浮かべる。この毛づくろいが猫の親子関係を深めているのだろう。タンコを少し見直したのだが、しかし何故、私に対しては睨み、吠えるのか判らない。



最近、人間社会では子どもへの虐待がニュースで多く取り上げられている。授かった我が子を虐待する母親がいるのには驚いた。こう云う人間を畜生にも劣るというのだろう。