世界の街角

旅先の街角や博物館、美術館での印象や感じたことを紹介します。

疑問な新手の出品業者

2019-03-23 07:16:11 | 日記

最近ネット・オークションを覗いていると、疑問符の新手の出品業者が眼についた。万が一の誤りも考えられるので、断言はできないいが限りなく?である。

出品者はse*10*6li*nで、タイ カロン鉄釉 小鳥明器 15~16世紀とある。カロンの動物肖形はそれなりに見てきている経験があるが、この手は初見であることと時代感が全くない。

近年、チェンラーイ県カロン副郡のワット・ウィアンカロン参道の手前にカロン焼きを復元した工房がある。そこで焼かれた肖形の可能性が高い。

写真は近年開館したワット・ウィアンカロン付属博物館である。ここには中世と復元カロン焼きという、云わば新旧のカロン焼きが展示してある。

いずれも、カロンとしては最もポピュラーな鉢と盤である。上段の盤はタノンートンチャイ山中から出土した鉄絵双魚文盤を写したもので、出土品(本歌)は名器中の名器である。また下の鉢の鉄絵はカラスを文様化したものだが、この文様は最も一般的である。この2葉の写真の焼物は現代のもので、先に紹介した工房で焼かれたものである。

つまり現代の復元カロン焼きが、多数14-15世紀ないしは15-16世紀と称してネット・オークションに出品されることになる。中世の陶磁を復元し、そのように断って販売するには害はないが、詐称されるもとになるのは、困りものである。

 

<了>

 


我が田舎で『東南アジアのやきもの』展開催

2019-03-22 08:23:44 | 東南アジア陶磁

過去、我が田舎で東南アジアの焼物展などあった試しは無く、東は富山、岐阜、愛知最近では東京・町田、西では福岡まで、展覧会があるといえば出かけていた。この3月21日ー5月12日までの会期で出雲文化伝承館で『朝鮮陶磁と東南アジアのやきもの』展が開催されるという。

朝鮮陶磁には興味はないが、東南アジアの焼物には興味深々である。パンフレットに詳細は記されていないが、東南アジア陶磁については出展数が限られていそうだ。しかし乍ら島津法樹氏のギャラリートークは4月7日に在るようなので、その日に出掛けたいと考えている。

<了>

 


完結したCHAO不定期連載の『ラーンナー古陶磁を訪ねて』

2019-03-19 08:09:15 | 博物館・セブ

チェンマイの日本語情報誌『CHAO(ちゃ~お)』は月2回の発刊である。そこに『ラーンナー古陶磁を訪ねて・ラーンナー古陶磁の窯址を巡る』とのテーマで発刊して頂いた。5回シリーズの不定期連載であったが、先の2月25日号で完結した。

シリーズ第5回:2019年2月25日発刊=パーン窯址編

チェンラーイ県パーン郡のパーン焼と現地の2つの窯址、更にチェンマイ国立博物館前庭に移設された窯址を紹介している。

シリーズ第1回・2018年6月10日発刊

実質的な入門編としてカロン焼と窯址、サンカンペーン焼と窯址、パヤオ焼と窯址、パーン焼と窯址の概要を紹介している。

シリーズ第2回・2018年6月25日発刊=カロン窯址編

チェンラーイ県カロン副郡のカロン焼と窯址を紹介している。旧ランナー王国下でバラエティーに富む焼物が焼成された窯で、窯址も多様性に富んでいる。

シリーズ第3回・2018年8月25日発刊=サンカンペーン窯址編

シリーズ第4回・2018年12月25日発刊=パヤオ窯址編

パヤオ県ムアン郡に存在するパヤオ焼と窯址を紹介している。北タイで最も早く操業を開始したであろうと云われている。

CHAOはチェンマイでは要所で無料入手できるが、日本では郵送して頂くことが可能である。数寄者で入手希望の方は以下の手順で入手されたい。尚、価格は1部350円。

購入希望バックナンバー(各表紙右上の各枠記載番号)と代金の銀行振込口座

 楽天銀行 サンバ支店

 普通口座 4081258

 口座名 高橋敏(タカハシビン)

代金振込後、

①氏名(ふりがな)、住所、電話番号、バックナンバー記載

②振込の領収書コピー

①と②を合わせて、下記宛て郵送かFAX、またはE-Mailにて申し込みして下さい。

宛先:Bridge International Foundation

住所:296/136 Moo2 Laguna Home T.Nongjom A.Sansai

        Chiangmai 50210

FAX:0-5312-7175

Mail:mail@chaocnx.com

今後、番外編として他の北タイの窯址を幾つか紹介する予定です。

 

<了>

 


県立風土記の丘資料館・一支国展(4)

2019-03-18 07:45:34 | 古代と中世

<続き>

以下、古墳時代の展示物から2点紹介する。いずれも朝鮮半島や中国との交易を示す品々である。

〇北斉製二彩陶器

双六古墳から出土した連珠文を施した二彩陶器は、中国では河北省や山西省などにある6世紀代の墳墓内から、朝鮮半島では慶州の新羅王朝内の宮殿・雁鴨池遺跡から発見されている。搬入経路は特定できないとしているが、中国との直接交易ではなく、新羅経由かと思われる。6世紀後半の焼造と記している。

日本では8世紀の奈良時代に唐三彩を真似て奈良三彩が作陶されたが、差の先触れを示す二彩陶器である。壱岐国にそれなりの勢力を誇る首長がいた証であろう。

(出典:一大国再発見・壱岐市刊)

〇新羅陶器

壱岐市刊行の『一大国再発見』には緑釉とあるが、鉄分を含む灰釉である。これは壱岐の対馬塚古墳と笹塚古墳の石室かっら発見された。この陶器は新羅の王都・慶州とその周辺でしか発見されていないという。壱岐と新羅の交易を示している。

(出典:一大国再発見・壱岐市刊)

ビックリしたのは、写真の三角形状の鋸歯文である。この鋸歯文は中世の東南アジアの陶磁器文様に、顏を出す文様である。古代から中世にかけ汎アジア的文様であったと思われる。

<了>

 


県立風土記の丘資料館・一支国展(3)

2019-03-15 07:42:16 | 古代と中世

<続き>

〇車出遺跡出土の丹塗り土器

丹塗り土器以外に青銅鏡や貸泉も出土している。また青色のガラス小玉以外に橙色のガラス大玉や側面に切り込まれた切目丸玉も出土している。

(出典:一支国再発見 壱岐市発刊)

注目すべきは後世、柑子口瓶と呼ぶ形状の土器瓶が数多く出土していることである。この形状は朝鮮半島を経由して大陸から伝わったものと思われる。

更に注目すべきは、写真に写っていない瓢箪型土器が展示されていたことである。瓢箪は古来縁起物と云われている。瓢箪に関して大陸から何らかの伝承が伝わっていたのか? それとも形だけを真似たのか? そうであれば、お手本が伝来したのか? 興味は尽きない。

瓢箪と古代ー中世東南アジアとは縁深い。瓢箪から人類が誕生したとの神話や伝承が存在する。先ず中国の瓢箪伝承である。瓢箪は蔓が伸びて果実が鈴なり、風水では末広がりの瓢箪は、気を貯める道具として使われ、財運をもたらすとされる。女媧と伏羲、洪水の時瓢箪の中にのがれ生き残った。つまり女媧と伏羲から人類は始まった。北ラオスのランサーン王国に残る伝承も、瓢箪からラオ族が誕生したとし、佤族の神話では瓢箪を鳥がつつくと、人間の祖先が出現したとある。そのほか多くの少数民族の神話に、瓢箪は登場する。

飛躍した噺であるが、そのような土壌が倭の一支国でも存在した証であろうか?

<続く>