最近ネット・オークションを覗いていると、疑問符の新手の出品業者が眼についた。万が一の誤りも考えられるので、断言はできないいが限りなく?である。
出品者はse*10*6li*nで、タイ カロン鉄釉 小鳥明器 15~16世紀とある。カロンの動物肖形はそれなりに見てきている経験があるが、この手は初見であることと時代感が全くない。
近年、チェンラーイ県カロン副郡のワット・ウィアンカロン参道の手前にカロン焼きを復元した工房がある。そこで焼かれた肖形の可能性が高い。
写真は近年開館したワット・ウィアンカロン付属博物館である。ここには中世と復元カロン焼きという、云わば新旧のカロン焼きが展示してある。
いずれも、カロンとしては最もポピュラーな鉢と盤である。上段の盤はタノンートンチャイ山中から出土した鉄絵双魚文盤を写したもので、出土品(本歌)は名器中の名器である。また下の鉢の鉄絵はカラスを文様化したものだが、この文様は最も一般的である。この2葉の写真の焼物は現代のもので、先に紹介した工房で焼かれたものである。
つまり現代の復元カロン焼きが、多数14-15世紀ないしは15-16世紀と称してネット・オークションに出品されることになる。中世の陶磁を復元し、そのように断って販売するには害はないが、詐称されるもとになるのは、困りものである。
<了>