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「儚い羊たちの祝宴」を読んだ【ネタバレ注意】

2014年02月25日 23時30分51秒 | おすすめ



「儚い羊たちの祝宴」を読んでみた。映画化が決定される前にたまたま手に取って読んだ米澤穂信氏の「インシテミル」が事の他よかったので、次の本が手に入るまでのツナギとして軽い気持ちで読み始めた。

目次を開くと5つのタイトルが連なっていた。

<身内に不幸がありまして>
手の込んだストーリーであった。裏表紙のあらすじにおいて語られる「バベルの会」という会合のことが少し出てくる。『ああ!そうかぁ、この物語は「バベルの会」の話なんだなぁ』と思いながら読み進めていくと物語は唐突に幕を閉じた。

<北の館の罪人>
ここで初めて、もしやこの書籍は「オムニバス」なのかという思いに至り内心この書籍を読み始めたことに少し後悔をする。後悔をするも、良くできた物語で楽しく読み進める。楽しいというよりも残酷な物語ではあるのだが。

<山荘秘聞>
何とも言えない密閉感あふれるお話。この辺りから本書は浮世離れした大富豪とそこに仕える召使と、そして「バベルの会」を共通のテーマとする物語なのだろうなあと漠然と思いながら読むことができる。ロシアンティーが急に飲みたくなる。

<玉野五十鈴の誉れ>
前3作とは何となく系統が違い、読み始めの頃は「いちばんつまらない」とも感じたが、いや、この章はある意味他のどの賞よりも残酷で面白い。本書あとがきにも「本書の最高傑作」とあり、あとがきのその部分を引用するならば「ラスト一行の衝撃が尋常ではなく、読後、ひきつった笑いさえこみ上げてくるほどだ」とある。まさにその通りだと思う。

<儚い羊たちの晩餐>
そして、儚い羊たちの祝宴は儚い羊たちの晩餐へと収束していくのである。いや、マジでこの展開はありえへんのやけど。。。でも本当にいろいろな意味で刺激的な小説だと思う。「インシテミル」とは全く毛色の違う作品ではあるが「インシテミル」と同様に期待を裏切らない物語であった。これを機にもう少し米澤穂信氏の作品に手を出してみたいと思った。

儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)


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