とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

新国立劇場で『レオポルトシュタット』を見ました。

2022-10-18 10:01:44 | 演劇
 新国立劇場中劇場でトムストッパードの新作『レオポルトシュタット』を見ました。演出は小川絵梨子。一筋縄ではいかない大作です。

 オーストリアのウィーンのレオポルトシュタットに住むユダヤ人家族の歴史を描きます。戦前の華やかな時代、戦中の差別を受けている時代、そして戦後、時代の変遷の中で家族がどう歩んできたか。時代のスパンも長く、登場人物も自然と多くなります。それを2時間あまりで描くのですから整理しきれないかもしれません。

 私は事前に『悲劇喜劇』に掲載された戯曲を読んでいったので、ある程度は予習できていました。それでも誰が誰だかわからなくなっていまう場面もありました。予備知識がなく見た人はどうだったのでしょうか。気になるところです。

 舞台の大きな特徴は広い舞台だということです。新国立劇場中劇場の10列までをつぶして、部隊を広げていました、しかもその舞台が回り舞台になっており、転換が見事です。その転換シーンだけでも感動します。

 役者は頑張って演じていましたが、何人かの男優が弱いように感じました。歴史の重みが感じられないのです。

 差別、人間の尊厳、民族の自立、平和の意義。さまざまな意味がラストシーンに襲い掛かってきます。ただし、本当の感動を得るためにはもう一度見ないといけない。

 とりあえず、1月にナショナルシアターライブがあるので、ぜひ見たいと思います。
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『舞いあがれ!』への期待と『ちむどんどん』に対するネットいじめ

2022-10-16 08:11:26 | TV
 NHKの「朝ドラ」『舞いあがれ!』が始まった。順調な滑り出しだ。特に高畑淳子さんがすごい。近年の高畑さんの演技は「本物よりも本物っぽい」。年老いたまっすぐで融通のきかない母親そのものである。人生を演技にかけている凄みがある。『舞いあがれ!』はまだ始まったばかりだ。今後に期待したい。

 一方では前作『ちむどんどん』への誹謗中傷はいまでにネットに出てくる。演者や関係者がどれだけ傷ついているか。いい加減にしてほしい。

 確かに、『ちむどんどん』は雑なところが目立つ作品だった。批判を受けるのはしょうがない。しかしネットに反応は度を越していた。最後は集団での揚げ足取りになり、陰湿ないじめとなっていた。「ネットいじめ」そのものである。

 今回の『舞いあがれ!』でも、「ありえない」と思うところはいくつか見られる。疎遠になっている母親のところに娘を預けることだってありえないし。娘の希望で突然帰りの手段を飛行機に帰るなんてこともありえない。しかしその程度のことを目くじら立てる人はいまい。『ちむどんどん』ではその程度のこともみんなで足引っ張りしていたのだ。

 『ちむどんどん』への誹謗中傷は、日本社会の負の面を見事に表していた。弱い者の立場に立つこと。それを忘れてはいけない。
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ドラマ『ファーストペンギン』への期待

2022-10-15 14:34:01 | TV
 いくつかの秋のドラマが始まりました。ドラマ好きとしてはいいドラマに出会えることを期待しています。

 前回『PICU』への期待を書きましたが、もう一つ『ファーストペンギン』にも期待しています。

 このドラマも漁港という、あまりドラマの舞台になっていない場所を舞台となっています。しかもそこで、古い慣習を打ち破り新たなビジネスを始める女性を描いています。これまであまりなかったドラマです。

 どこの世界でも古い慣習が残り、そこを打破することは難しい。既得権は守られるべきものとしてそこにあり、社会は固定化しがちです。しかしそれが様々な弊害を生み出しているのはあきらかです。

 奈緒さん演じる女性は、そんな既得権にチャレンジしていきます。正しいとは思いながらそれが現実にはできない。しかしそうして戦っていかないかぎり今の時代は生きていけないのです。しかもその努力によって社会は活性化し、結局は社会全体の利益になります。勇気を出して戦い、誠実に訴えかければ、みんなはしっかりと聞いてくれるはずなのです。

 コメディタッチで明るいドラマです。今後の展開に期待します。
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ドラマ『PICU』への期待

2022-10-14 10:27:39 | TV
 いくつかの秋のドラマが始まりました。ドラマ好きとしてはいいドラマに出会えることを期待しています。

 その中で気になるのが『PICU』です。北海道が舞台となっているのがいい。

 最近のドラマは東京か横浜しか舞台になっていませんでした。しかしこのドラマは北海道が舞台となっています。地方には地方の人しかわからない多くの問題があります。それを取り上げてくれるのはとてもいい。

 内容としては病気を丁寧に描き、医者も強さも弱さももっている普通の人間として描こうとしています。これがいい。別に医療ドラマで奇をてらう必要はありません。スーパードクターが出てきてどんな病気でも治療してしまうというドラマも決して悪くはありません。そういうドラマはそういうドラマで楽しめます。しかし、どうしても底が薄くなり、マンネリ感が出てしまいます。病気で苦しんでいる人を丁寧に描き、それにどう対応していくのかをやはり丁寧に描く。それが共感を呼びます。

 今後の展開が気になるドラマです。
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映画『ヘルドッグス』を見ました。

2022-10-10 10:44:35 | どう思いますか
 山形県の作家、深町秋生さんの小説を映画化した、『ヘルドッグス』を見ました。虚実の虚実が反転し続ける興奮のハードボイルドアクション映画です。

監督 原田眞人
原作 深町秋生
キャスト 岡田准一 坂口健太郎 松岡茉優 MIYAVI 北村一輝 大竹しのぶ

(あらすじ)
 かつて刑事だった兼高は、自分の落ち度のために、自分が好きになった女性を含む4人の人間が殺された事件の犯人に復讐するために刑事をやめる。その獰猛さから警察組織に目をつけられた兼高は、関東最大のヤクザ「東鞘会」への潜入という危険なミッションを強要される。兼高は組織に入り、次第に出世していく。そして任務を遂行する。

 かつての日本の任侠映画の伝統と、アメリカのアクション映画のいい面が合わさり、上質なエンターテイメントになっています。

 ただし、最初の設定に無理があるような気がします。兼高が好きになった女性はまだ高校生であり、しかもまだ付き合ってもいない状態でした。復讐する動機が弱い。復讐するにしても合法的なやり方でやるのが普通です。兼高の変化の理由が明確に伝わりません。そのあたりは原作ではどうなっていたのかわかりませんが、もっときちんと描くべきものだったと思います。

 とは言え後半の展開は見事です。女性の殺し屋の正体がばれたあたりから、いきなりスピードが増し、そこからは一気に突き進んでいきます。後半の1時間はトイレに行くのを忘れるほど、引き込まれました。日本映画もこんなに上質なアクション映画が作れるようになったんだと、関係者の努力に拍手を送ります。


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