アカデミー賞の有力候補『ノマドランド』を見ました。最初はドキュメンタリーのような映画で、淡々としすぎて眠くなってしまいましたが、ちりばめられた意味が最後につながっていき、高まっていくような感覚になります。なるほど名画です。
(あらすじ)
企業城下町で暮らす年老いた女性は、夫と死に分かれ、同時にリーマンショックによる企業倒産の影響で、長年住み慣れた家を失ってしまう。キャンピングカーに全てを詰め込んだ彼女は、キャンピングカーでの生活にこだわり、過酷な季節労働の現場を渡り歩きながら車上生活を送る。毎日を懸命に乗り越えながら、行く先々で出会うノマドたちと心の交流を重ねていく。
若いころは自分の生きる意味は未来にありました。だから夢を持ちながら前に進んでいくことができました。しかし年を取ると、自分の生きる意味は自分の人生の中にあると思うようになります。夢を追うよりも、「自分の生き方」へのこだわりを大切にします。この映画の主人公は自分の人生へのこだわりによって生きています。なぜそこまでと思うかもしれませんが、それが「正しい生き方」です。だから感動します。
つらい生活ですが、そのつらさへのこだわりこそがあるからこそその人でいられるのです。切実にせまってくる映画でした。