とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

シネマ歌舞伎『め組の喧嘩』

2017-11-27 08:20:28 | 映画
 山形フォーラムでシネマ歌舞伎を見た。とてもいい映画だった。

 これは、平成24年5月に隅田川河川敷の仮設小屋、平成中村座で上演されたものである。出演は

 中村 勘三郎 中村 扇雀 中村 橋之助 中村 錦之助 中村 勘九郎 片岡 亀蔵
 市村 萬次郎 坂東 彦三郎 中村 梅玉他

 火消と相撲取りとの喧嘩のお話である。ホームページよりあらすじを引用する。

 町火消の「め組」鳶頭の辰五郎(中村勘三郎)は、品川の盛り場で、喧嘩っ早い鳶たちと相撲力士たちの小競り合いを収める。が、武家のお抱えの力士たちより鳶は格下だと言い放たれ、怒りを胸の内に押し殺す。面子を汚された辰五郎は、兄貴分から諭されるも、密かに仕返しを決意。愛する妻と幼い子供に別れを告げ、命知らずの鳶たちを率いて、力士たちとの真剣勝負に乗り込んでいく...!

 「火事と喧嘩は江戸の華」という言葉があるが、江戸の男にとっては喧嘩も命がけであり、だからこそ胸躍らすものがあったのであろうと思われる。今の時代では決して肯定されないものではある。しかしそこには大切なものがあった。現代はすべてが組織の論理に押しつぶされてしまい、個人のプライドなんて持ってはいけないような空気が蔓延している。もっとプライドを持って戦うべき時は戦うべきなのだ。そんな気持ちを代弁してくれるようなスカッとした芝居である。

 最後の場面は、舞台の後方の壁があき、そこから実物の東京スカイツリーが大きく見え、そしてそれと同時に、地元の神輿があらわれる。火消と相撲取りの手打ちの祝祭として華々しく幕を閉じる。気持ちのいい終わり方だ。

 勘三郎がしてやったりと言った顔で、その場にいる。勘三郎のうれしそうな笑顔が自然に涙を誘う。最後はドキュメンタリードラマとしての顔を見せる映画だ。
コメント
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