とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

劇評『プライムたちの夜』

2017-11-19 10:33:07 | 演劇
 2017年11月18日午後5時30分開演。新国立劇場小劇場。
 作:ジョーダン・ハリソン
 翻訳:常田景子
 演出:宮田慶子
 出演:浅丘ルリ子 香寿たつき 佐川和正 相島一之

 丁寧に作られた素晴らしい舞台でした。

 囲碁や将棋のコンピュータ技術や、「東ロボくん」などが話題になり、AI技術が注目されています。AIが人間を超えてしまうのではないかと本気で考えられる状況になってきて、「人間とは何か」という古典的な問題があらためて迫ってきたのです。もうこの問題を先送りできない状況になっています。人間の心とは何か、「愛」とは何か、人間が人間であるということはどういうことか、さまざまな問題にわれわれは直面させられています。

 人間は一人では生きていけない動物であり、社会を作り協力して生きていくからこそ人間でありうるはずなのですが、アンドロイドはその人間に代わることができるのか、もしそれが可能ならば、人間は本来何なのかをもう一度考え直さなければなりません。

 この舞台は哲学的な問題を具体的な家族の物語として描いています。役者さんたちは丁寧に演じていて、じんわりと客席にせまってきます。間のとり方、セリフのしゃべり方、表情、すべてがすばらしく、演出家の力量が発揮された舞台でした。
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