新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

12月23日 その4 杞憂に終われば良いのだが

2023-12-23 15:33:19 | コラム
どうも生来心配性なもので:

最近のマスコミ各社の大谷翔平の有史以来の大型契約と、昔だったら修身の教科書にも載せただろうと思う、皆のお手本にしたいような立派な身の処し方と、山本由伸のMLBの投手としての最高の契約額の過剰な持て囃し方を見せられては「あれでは、やり過ぎではないのか」と、ついつい気になってしまうのだ。そこで「何故、気になるのか」を述べていこうと思う。

第一は「あの異文化の環境に身を投じた場合に、どれだけ早く慣れていけるか」という問題がある。これは英語が解らないというようなことではなく、「あの世界では飽くまでも個人が主体であり、何をするのにも本人が自分の責任で危険を冒してまでも、雇用主と契約した内容通りにやり遂げねばならならないのだ。それは、生存競争ではなくて、寧ろ自分との戦いだと世界だ」と、どれだけ早く悟れるかが鍵になってくる点なのだ。

第二は「この辺りの難しさ、即ち、『皆で一丸となって』という我が国独特の美風とは異なる、全ての問題を個人の責任で処理せねばならないという異文化の世界を、自分で経験した事がない方には、容易に解って貰えないだろう」と思うのだ。即ち、外部から過大な期待を押しつけるなという事だ。

大谷はAngelsではその目に見えない場合もある障壁を乗り越えたようだった。だが、ナショナル・リーグの強豪のDodgersでは、もしかすると話が違うかも知れないのだ。と言うのは、東海岸のMead社と西海岸のWeyerhaeuserでは、大分文化が異なっていたのだから。

次に個別の選手について語っていこう。

大谷翔平:
彼はAngelsという彼を杖とも柱とも頼る弱いティームにいたので、彼にだけ打たせなければと、申告も含めて敬遠が多かった。だが、相手は大勢に影響がないと判断したのだろう場面では「1点くらい」とでも思うのか、走者無しだと勝負してくれていたので、ホームランを打てたように見えてならなかった。だから、彼が悠々とダイアモンドを一周しても、本塁に帰ってくるのも大谷だけだったという場面が多かった気がするのだ。

悲観論者としては、Dodgersでは敬遠がなくなるだろうし、相手の投手たちも本気で勝負してくるだろうから、Angelsの時のように打てるのかと少しだけ疑問に思っている。そう危惧する理由は、大谷は巧いバッターではなく、鍛え上げた力と物凄いスゥイングの速さで悪球も打つし、反対方向にも思い切り飛ばすのだから、スカウティング通りに、巧くコースや変化球で攻められたらどうなるのかという懸念がなきにしもあらずと見る。

ではあっても、MLBの投手たちに大谷の弱点を突くだけのコントロールがある投手がどれ程いるかという気もするのだ。彼らは「自分たちが持っている最高の球種で『打てるものなら打ってみろ』とばかりに勝負を仕掛ける型ばかり」なのである。物凄い投球も来るが「大谷に向かってそんな所に投げては、打たれるのは当たり前」のコントロールの失敗も多い。大谷はこれまで対戦が少なかったナショナル・リーグの投手たちとやり合うので、どれだけ早く慣れてみせるかを期待したい。

山本由伸:
「彼をマスコミの持ち上げすぎるのは宜しくない」とは既に指摘した。私が山本で気になる点がある。それは、以前から聞いていた事で、全くウエイトトレーニングをしないという現代のトレーニングの手法を取り入れていない点なのだ。彼はその代わりに色々な形の体操はやっていると報じられている。それでも、あれだけの完成度が高いMLBがさいこうのひょうかをした投手になって見せたという事だが、本当にウエイトトレーニング無しで良いのだろうか。

ではあっても、あの身長で体を開いて上体を突っ張った形での投球フォームで良いのだろうかと恐れている。MLBの中4日や時差を乗り越えての移動や、通訳がいても言葉は何とかなっても、異文化の世界に慣れて、契約通りの成績を残せるのかと、少し心配になるのだ。敢えて言っておくが、ダルビッシュはアメリカに渡って直ぐに「ここでは野球ではなく、何か異種の格闘技をやっているのかと思った」と喝破したほど、baseballと野球とは異なる異文化なのだ。

より具体的に言えば、私には山本の投球フォームには、リリースポイントと球筋が打者に見えすぎる気がしてならないのだ。だから、時々あんなバッター(敢えて名前を挙げればポランコだが)にもと思わせる、雑なバッテイングをする打者にも打たれるから、勝ち数の割に負けが多いのだと見ている。

スカウティングに優れているMLBに行ったら、弱点を研究し尽くされて打たれるのではないかと、一寸だけ恐れているのだ。言うなれば、彼は体格とトレーニング方法の壁お乗り超えて、異種の競技での勝負に勝たねばならないのである。山本由伸が異文化の世界でも立派な成績を残して、私の心配を打ち消してくれるのを期待しよう。



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