新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

正月のスポーツ #2

2021-01-04 09:36:32 | コラム
大原則の「強い方が勝つ」を見せつけられた:

東日本大学駅伝選手権:
この競技は「箱根駅伝」という通称で広く知られていて、その人気は読売新聞と中継放映を担当する日テレの強力な支援で高まる一方だ。しかも、1月2~3日という余り面白そうなテレビ番組がない時期なので、余計に視聴率が高まっているのではないかと見ている。これまでに繰り返し述べてきたことなので、詳説は避けるが当方は「箱根駅伝止めてしまえ」論者なのだ。それだけでは説明不足かと思うので簡単に言えば「東日本の有力な大学が20 kmまでは走れる走者を競って育成するので,何時まで経っても優れたマラソン走者が育たないから」である。

79回だったかの昨日までの競争は「強い方が勝つのだ」という誰も逆らうことが不可能な運動競技の大原則を「意地が悪い」と言いたいほど実現して見せていたのだった。この私でさえ最後の最後でひっくり返された創価大学は可愛そうだったとは認める。だが、後難を恐れずに言えば「あそこで逆転されたところまでが創価大学の実力であり、その駒澤大学との差が気の毒なほどに現れてしまっただけのこと」なのだ。あの3分19秒の差を跳ね返した駒沢の実力を賞賛しても良いのだろう。近頃あれほど無残に「実力の差」を示した勝負はなかったと思う。駒沢は「天晴れ」である。

褒めてばかりいては私の本領発揮とはならない。そこで、気に入らなかった点を挙げてみよう。先ずはアナウンサーたちが喚く「母校の襷」だ。国語の誤用である。広辞苑には母校とは「自分が学んで卒業した学校、出身校」と出ている。私はそういうものだと思っていた。中継放映も一般的な解釈でも、各校の走者たちは在校生でありながら出身校の襷を掛けて走っているのだ。不思議なことに東京六大学の校歌の歌詞では早稲田、法政、明治の各校で「母校」が入っている。これではひょっとすると「広辞苑」が誤っているのかと思いたくもなる。

「お前は男だ」と呼びかけて、駒澤大学の大八木監督(62歳)が伴奏者の中から第10区の走者・石川君だったかを激励した。私の感覚では余りに時代感覚の欠如した激励の仕方だと思って聞いた。私はそもそも精神主義が嫌いなので、「あれまー」としか感じ取れなかった。日テレは勿論監督と走者を賞賛したが、私には違和感だけだった。尤も、捻って考えれば「ウエイトトレーニングを始めとして近代的且つ合理的な鍛え方の時代にあっては、それに対抗する意味で精神主義を強調したかったのかも知れない」とは考えた。大八木氏は矢張り「猛練習」主義者なのかな。

余談ではあるが、優勝した駒澤大学は曹洞宗の大学であり、創価大学は創価学会の大学であり、第3位の東洋大学も仏教との縁があった。ここまでは仏教系の大学で、第4位に上がってきた青山学院大学はプロテスタント系でキリスト教系と宗教関連の大学が続き、第5位の東海大学で初めて宗教色が消えていたのだった。信ずる者が強いのかと一瞬思わせられた。

ライスボウル:
言うまでもあるかも知れないが(アメリカン)フットボールの日本選手権の試合である。今回はオービックシーガルズ対関西学院大学ファイターズの試合となった。勝敗の帰趨はやる前から見えていたことで、我が愚息たちも「結果は解っている」と当然のように断言していた。念の為に申し述べておくと、日本大学フェニックスの現監督・橋詰功氏は立命館大学のコーチだった頃に松下電工(現パナソニック)を退けて優勝していた。今日、それほど社会人対大学生の間の実力の差が開いてしまっているのだ。しかも、オービックのQBも2本のTDを記録したTEはアメリカの大学出身者だった。これだけでも「差」があるのだ。

ラグビー界では何年前からだったか、社会人の優勝者対大学選手権者との「日本一」の決定戦を辞めてしまっている。その理由は体格と身体能力の差もあるが、日本全国の有力な大学の出身者で固めた社会人テイームに、単独の大学のテイームが敵う訳がないとの判断だったようだ。昨日の試合もオービックでは主力選手を関西の最強豪校である関西学院大学ファイターズと立命館大学パンサーズのOBを集めているだけではなく、アメリカの大学での経験者まで加入していては、関西学院大学ファイターズというか、大学に勝って当たり前なのだ。

とは言うものの、並大抵ではない鍛えられ方をしてきた関学が何処までその本領を発揮して、磨き抜かれた技術としぶとさを見せてくれるかには大いなる興味も関心もあった。試合の内容と結果はマスコミ報道に任せるが、「流石は関学」と思わせてくれた点は「Xリーグの勇者富士通がオービックからTDを1本しか奪えなかったのに対して、関学は3本も獲ったし、2QまではTDの数では2対2だった」のだ。

今後ともライスボウルを社会人対大学で継続するのならば、例えば大学側を甲子園ボウルに出場の2校の合同テイームにでもしないと「やる前から結果が見えている」状態から脱却できないのではないだろうか。特に、オービックや富士通のようにアメリカの大学のQBを加入させていては、彼らの身体能力(肩の強さと走力等)に加えてアメリカの本場の技術を備えていては、発展途上の大学生に勝てというのは無理があると思う。とは言うが、関西学院大学ファイターズの健闘を称えたいと思う。



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