新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

対コートジボアールの敗因を冷静に分析すれば

2014-06-16 13:34:02 | コラム

「ザケローニ監督が嫌いだ」との個人的感情と偏見を排除して:

これに拘っていては感情論になってしまう。だが、私の分析の根底からこれを排除するのは容易ではないが、そこを冷静になってコートジボアール戦の敗因を分析してみよう。

①先発メンバーの選択に疑問が:
私は大舞台での大事な初戦にW杯本戦の経験が無い大迫、山口蛍、森重を使い、遠藤と今野を起用しなかったのは間違いと言って誤りではないと思う。あれほどの大試合に未経験者を使っては緊張の極に達しては、元々十分ではなかった力が一層出てこなくなる危険性がある。現に大迫は何の役にも立っておらず、山口は遠藤の代わりなのに守りに回らされて一所懸命だった。これでは駄目だ。

②途中交代に疑問が:
長谷部を遠藤に替えたのは体力的に疑問があったのか、それとも古傷が痛んで後を考えて無理させなかったのか。何れにせよ交替させるのだったならば山口だっただろう。解説の岡田武史は後半に長谷部がいなかったのを嘆いていた。遠藤を交代要員にしてしまったので、前半は精密なフリーキックが出来る人材がいないので本田に蹴らせていたのは、最善の選択では無かった。

女子代表が何度もやって見せたように宮間が蹴って澤が合わせるようなプレーを、遠藤と本田か香川の間では可能だったのではないかな。そのチャンスを放棄してまで山口を出す理由があったのか。司令塔の長谷部は残すべきではなかったか。大迫は前半で引っ込めて、頭から大久保で勝負に行くべきだった。

③全員が不出来だった:
私の目には誰一人として「良くやっていた」と言える者がいないと見えた。相手が余り寄ってこないし激しく当たってこないので、中盤では比較的自由にさせてくれていたし、自陣でも本田の先取点の際でもほとんどフリーで蹴らせたほど、マークしてこなかった。それでも、次第に振り回され、走り回らせられて消耗させられ、所謂「電池切れ」状態に追い込まれて敗因となった。

④守りのマークの不備:
あの2分間で2点取られた際には、左から攻め込まれディフェンス陣が真ん中に寄せられ、右の大外ががら空きになってしまった。あの17番に対しては前線から誰かが戻って形だけでも当たりにいって貰いたい局面だった。結果的には、2回とも自由に蹴らせて絶好の「クロス」になり、ヘディングした者には誰も付いていなかった。あの形がコートジボアールの「ぷれー」だったとしたら大したもので、流石にFIFAのランキング上位国である。感心してどうする。

あそこに蹴り込まれては川島は思い切って出て行くことも出来ず、見事なヘディングでやられてしまったのは残念至極だった。

⑤逃げる気があった:
長谷部だったかが認めていたが、私はあの1点で逃げようとしているのではないかと疑っていたときがあった。「まさか、そんなことはあるまい」と思っていたが、選手が認めていたのではどうにもならない。そんな気を起こせば負ける訳だが、体力消耗戦に持ち込んだのがコートジボアールのゲームプランだったならば恐るべしだ。そこまで考えているティームならば、「逃げる気だな」くらいは直ぐにピンとくるだろうし、隙ありと付け込んでくるだろう。

⑥自分で入れて見せようとする気迫が見えない:
香川がシュートゼロだったそうだ。岡崎にも何時もの上がりも見せて貰えなかった。大迫などは何をしていたかも知らない。以前に「ブラジルというか南米のサッカーは相手のペナルティーエリアに入ってもパスを回し続け、完全に誰かがフリーになるまで待ってから仕留めるのだ」と聞かされたことがあった。我が国の代表は無責任に回すだけで誰も「俺が入れてみせる」という目立ちたがりもいなければ、積極派もいない。これでは仕方がない。

⑦小さく纏めているのでは:
女子がW杯制覇という素晴らしい実績を残して以来、女子のサッカーの裾野が拡張され、なでしこリーグが隆盛となり高校の全国トーナメント大会も賑わっている。斯道奨励のためには誠に結構なこと。だが、自然にその次元というか水準で纏めようとする指導者が増えてきて、粒が小さくなり小手先の技巧が発達するものだ。

ザケローニさんはJリーグも熱心に見て歩いてこられた。すると、その中で優れた選手に目が行ったのだろう。我が国における高校辺りの全国大会への集中度は極めて高い。その「そのために纏められた選手が多い」とご存じなのだろうか。Jリーグを連覇した広島から余り代表に選ばれた者がいない。その理由は何かと考えてみれば、「自明の理」だ。そこで優れた成績を残した者が代表の中に入れればどうなったかを考えるべき時だ。

山口、大迫、柿谷、森重はそこで頭角を現した選手たちだ。私は世界と当たる代表経験が不足だと言いたい。彼等に将来性というか伸びしろはあるだろう。だが、今ここで使って世代交替の準備のようなことを企てるのには賛成出来ない。これは①で採り上げて然るべきだったか。

⑧緊張感に圧倒された?
お恥ずかしながら、当方は1948年の福岡で開催された第3回国体に出場し、神奈川県代表として開会式の入場行進に参加した。何ということはあるまいと高を括っていた。だが、いざ始まってみると、その何とも形容しがたい凄い雰囲気に圧倒され、15歳の少年の足がすくんで動けなくなった。

これと同じことが世界の強豪が集うW杯の試合に、未だ出たことが無いJリーグの優秀選手が出て思う存分にやれれば結構だが、事はそれほど簡単ではないと思う。大迫君に訊いてみたい。相手の選手全部が欧州リーグに所属しているそうだから、ある程度以上の場慣れがあったのでは。監督さんはそこまでご承知で、計算済みだったのだろうが。


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