二進法的表現が多い:
アメリカの会社の事業部にたった一人の日本人として入って22年半も過ごせば、あらためて「英語とはこういうものだったか」と思い知らされた表現に出会ったものだった。こういう表現は聞かされた途端には、何のことか直ぐには理解できないこともあった。恐らく、我が国の単語重視の英語教育や英会話教室などでは採り上げていないだろうと、勝手に解釈していた。そういう表現の例をいくつか採り上げてみようと思う。
裏か表か:
昨日、ゴルフ用語で「向かい風」と「追い風」を採り上げて“head wind”と“tail wind”と言うようだと述べたが、このheadとtailを複数にして使うのが「裏か表か」を問う「コイントス」である。勿論と言うべきか何と言うべきか、私は「コイントス」は和製英語であると思っていた。何時だったか、シアトル空港の今はデルタになってしまったノースウエストのチェックインカウンターで座席の事前割当(pre-assigned seatと言っていた)の件で係員と大もめになったことがあった。近頃大流行のカタカナ語にすれば「トラブルになった」となるだろう。
これは明らかに彼等の誤りだったのだが、謝罪の文化がないアメリカのことなので、私の正当な主張を認めずに時間の浪費になる論争になった。すると、お仕舞いにには主任が出てきて「コイントスで決めようじゃないか」と言い出した。この際の英語は“by a flip of a coin”だった。「上等じゃないか。受けてやろう」と言うと流石に折れて私の主張は認めたが、最後まで“We are sorry.”とは言わなかった。これぞアメリカである。なお、確認しておけば、一般的には“coin flipping”と言うようだ。そこで“Heads or tails”となるのだ。
仕事か遊びか:
1972年8月から1993年11月までアメリカには社用の出張で50回以上も行っていたが、空港の入国審査で係官が何と言って聞いているかにはほとんど注意していなかった。英会話のテキストにも旅行者も入国の目的を「ビジネス」か「サイトスイイング」と言えと指示されていたと思う。ところが、何年か経ってから気が付いたことは、係官は“Business or sightseeing?”とは訊いていない点だった。そこで落ち着いて耳を傾けると、“Business or pleasure?“と聞こえたのだった。在職中はビジネスの「B-1,B-2」のヴィザだったので、“Business.”の一言で終わりだった。
即ち、彼らはアメリカに来たのは“business trip”か“pleasure trip”かと尋ねていると分かったのだった。これはもしかすると自慢話になるが、シアトル空港の入管では“I am with Weyerhaeuser.”と申告してみると「それご苦労様。これからも沢山日本に売ってアメリカに貢献してくれ」と言われて、何も聞かずにポンと判を押してくれたことがあった。「へー、そこまで知られているのか」と感心し感謝したこともあった。
現金かクレデイットカード払いか:
これは今風に言えば「キャッシュレス化」が進んでいるアメリカで買い物をすると、ごく当たり前のように尋ねられるのが“Cash or charge?”だ。面白いのは現金即ちキャッシュで支払いをする人が少ないにも拘わらず、“cash”が先に出てくることか。私は2012年にアメリカに行ったのが最後だから、現在のように「何とかpay」が普及しているかどうかは知らないが、兎に角彼等は現金を持ち歩かず、スーパーマーケットでの2~3ドルの買い物でも平気で小切手で払ったりするのだ。
以前に採り上げたことがあったが、我が国からの30人ほどの団体をシカゴでBrooks Brothersにご案内した時のことだった。ほとんど全員が現金で支払われた。するとどうだろう。店側の動きが止まってしまったのだ。「何をやっているのか」と問い質すと「これほど多くのお客様が現金払いをされたことが未だ嘗てなかったので、釣り銭用の現金がなくなって経理係を両替に銀行に走らさせたところなので、暫時お待ちを」と言われた。確か1980年代の末期だと思うが、相互の違いを痛感させられた出来事だった。
イエスかノーか:
最後になるが、考えようによっては「アメリカ式の強引な高飛車な商法」と受け止められそうな仕事上の表現を。それは“take it or leave it”という言い方なのだ。思い切り意訳すれば「当社の(条件の)申し出でを受けるのか、受けないのか」と二択で迫っているのだ。即ち、「採るのか、またはそのまま受け入れずに立ち去るのか」という表現なのだ。我が事業部では我が国との取引に馴れているので、このような強引というか高飛車というような交渉はしなかったが、ごく普通にこういう言い方で迫っていく会社もあるやに聞いていた。換言すれば「イエスかノーか」と言っているのだ。
アメリカの会社の事業部にたった一人の日本人として入って22年半も過ごせば、あらためて「英語とはこういうものだったか」と思い知らされた表現に出会ったものだった。こういう表現は聞かされた途端には、何のことか直ぐには理解できないこともあった。恐らく、我が国の単語重視の英語教育や英会話教室などでは採り上げていないだろうと、勝手に解釈していた。そういう表現の例をいくつか採り上げてみようと思う。
裏か表か:
昨日、ゴルフ用語で「向かい風」と「追い風」を採り上げて“head wind”と“tail wind”と言うようだと述べたが、このheadとtailを複数にして使うのが「裏か表か」を問う「コイントス」である。勿論と言うべきか何と言うべきか、私は「コイントス」は和製英語であると思っていた。何時だったか、シアトル空港の今はデルタになってしまったノースウエストのチェックインカウンターで座席の事前割当(pre-assigned seatと言っていた)の件で係員と大もめになったことがあった。近頃大流行のカタカナ語にすれば「トラブルになった」となるだろう。
これは明らかに彼等の誤りだったのだが、謝罪の文化がないアメリカのことなので、私の正当な主張を認めずに時間の浪費になる論争になった。すると、お仕舞いにには主任が出てきて「コイントスで決めようじゃないか」と言い出した。この際の英語は“by a flip of a coin”だった。「上等じゃないか。受けてやろう」と言うと流石に折れて私の主張は認めたが、最後まで“We are sorry.”とは言わなかった。これぞアメリカである。なお、確認しておけば、一般的には“coin flipping”と言うようだ。そこで“Heads or tails”となるのだ。
仕事か遊びか:
1972年8月から1993年11月までアメリカには社用の出張で50回以上も行っていたが、空港の入国審査で係官が何と言って聞いているかにはほとんど注意していなかった。英会話のテキストにも旅行者も入国の目的を「ビジネス」か「サイトスイイング」と言えと指示されていたと思う。ところが、何年か経ってから気が付いたことは、係官は“Business or sightseeing?”とは訊いていない点だった。そこで落ち着いて耳を傾けると、“Business or pleasure?“と聞こえたのだった。在職中はビジネスの「B-1,B-2」のヴィザだったので、“Business.”の一言で終わりだった。
即ち、彼らはアメリカに来たのは“business trip”か“pleasure trip”かと尋ねていると分かったのだった。これはもしかすると自慢話になるが、シアトル空港の入管では“I am with Weyerhaeuser.”と申告してみると「それご苦労様。これからも沢山日本に売ってアメリカに貢献してくれ」と言われて、何も聞かずにポンと判を押してくれたことがあった。「へー、そこまで知られているのか」と感心し感謝したこともあった。
現金かクレデイットカード払いか:
これは今風に言えば「キャッシュレス化」が進んでいるアメリカで買い物をすると、ごく当たり前のように尋ねられるのが“Cash or charge?”だ。面白いのは現金即ちキャッシュで支払いをする人が少ないにも拘わらず、“cash”が先に出てくることか。私は2012年にアメリカに行ったのが最後だから、現在のように「何とかpay」が普及しているかどうかは知らないが、兎に角彼等は現金を持ち歩かず、スーパーマーケットでの2~3ドルの買い物でも平気で小切手で払ったりするのだ。
以前に採り上げたことがあったが、我が国からの30人ほどの団体をシカゴでBrooks Brothersにご案内した時のことだった。ほとんど全員が現金で支払われた。するとどうだろう。店側の動きが止まってしまったのだ。「何をやっているのか」と問い質すと「これほど多くのお客様が現金払いをされたことが未だ嘗てなかったので、釣り銭用の現金がなくなって経理係を両替に銀行に走らさせたところなので、暫時お待ちを」と言われた。確か1980年代の末期だと思うが、相互の違いを痛感させられた出来事だった。
イエスかノーか:
最後になるが、考えようによっては「アメリカ式の強引な高飛車な商法」と受け止められそうな仕事上の表現を。それは“take it or leave it”という言い方なのだ。思い切り意訳すれば「当社の(条件の)申し出でを受けるのか、受けないのか」と二択で迫っているのだ。即ち、「採るのか、またはそのまま受け入れずに立ち去るのか」という表現なのだ。我が事業部では我が国との取引に馴れているので、このような強引というか高飛車というような交渉はしなかったが、ごく普通にこういう言い方で迫っていく会社もあるやに聞いていた。換言すれば「イエスかノーか」と言っているのだ。
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