新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

文化としてのラグビーを考えると

2016-07-03 08:05:23 | コラム
昨2日のサンウルブズ対ワラタスの試合に思う:

やや羊頭狗肉だが、文化としてのラグビーを論じてみたい。実は、中継放送があるとは知らず、偶然にチャンネルを合わせたので観戦出来た次第。サンウルブズを我が国の代表ではないと決めつけ、更に世界的乃至は国際的な水準にある試合を観ていると思い、サンウルブズに外国人が多いことなど何とも思わないことにして、勝敗の帰趨を忘れれば、沢山の綺麗なトライがあって非常に面白い試合だった。最初は何処でやっているのか解らなかったが、画面にあの銀杏並木の木々のてっぺんが見え、懐かしき青山二丁目周辺の景色が出てきてやっと秩父宮だと知って次第。

オーストラリアの選手が多いのだと何となく解ったワラタスのバックスでの展開の見事さは、確かに我が国のラグビーとは趣の違う上手さと力強さを感じさせてくれた。私はラグビーの面白さをバックス間で綺麗にパスを回して展開していくことにあると思っているので、昨日のような試合展開は自国のテイームであるとか何とかいうことを離れて、遺憾ながらサンウルブズの守りを蹴散らしてトライを重ね、これでは10本も取ってしまうかと危惧しながら眺めている間に試合が終わってしまった。

kazkさんも指摘されたように言わば急場しのぎのようなメンバーの集め方では、テイームとしても纏まりを欠いてしまうのは当然のような気もするが、あそこまでやられてしまうものかなと思って見ていた。私には如何なる趣旨で結成された集団かは解らないが、毎回出てくる顔ぶれが違っているようでは如何なものかという気がするし、特にカタカナ名前の者たちの顔ぶれが一定ではないのも不思議と言えば不思議だ。

不思議と言えば、その外国人たちの経歴乃至は国籍が紹介される度の感じることは、プロ野球でもJリーグでも同じだが、そこに働いている外国人選手たちは解りやすい表現を使えば、それぞれの国では二流かそれ以下の連中ばかりなのに、ラグビーには世界の強豪国の代表乃至はそれに準じる強力な者たちが数多くいるのが面白い。私はそのことを興味深く眺めている。

彼らにとっては我が国は余程良い国でそこに惹かれて来るのか、我が国で彼らを自国でよりも優遇しているのか、我が国を絶好の訓練の場とでも見なしているのかなどと考えている。言葉を換えれば、プロ野球でもサッカーでも外国人選手の中に「以て範とする」に足るような、と言うかイチロー君のような教科書にもなりそうな者など滅多にいないにも拘わらず、ラグビーには立派な教材が多くいるように思えてならない。誰かが「飛ばしパスにやられた」と回顧していたが、彼らはパスの展開をその場の状況次第で自在に変化させ、サンウルブズの守りを翻弄していたのが印象的だった。

最後に矢張り大畑大介は解説には不向きであると再度指摘しておく。あれは応援団以外の何物でもない。彼はアナウンサーが嬉しそうにラグビー界の専門用語を使って中継放送するのをたしなめるか、その用語を解説すべき立場にある事を全く弁えていない。私には「オフロード」だの「ジャッカル」などと言われても解らないし、サンウルブズが反則を犯す度に「ペナルティー」と叫ぶのを訂正すべき役目のはずだ。サッカーの松木安太郎が雨降り揚げ句で滑りやすいピッチを「スリッピー」という造語で説明して以来定着させた罪と同等に駄目な解説者だ。あれは英語では”slippery”だと何度も指摘してきたが、最早中継放送の用語の定番になってしまった。

話が逸れてしまったが、サンウルブズは飽くまでも我が国のラグビー選手たちの技量を世界に追いつかせる為にスーパーリーグに参加したのであり、その崇高なる目的の為にはある程度勝敗を度外視しても多くの有望な者たちを敢えて試合に出しているのだと勝手に解釈している。そうであれば、私が毛嫌いしていた頃の古き良き早稲田の弥富などを今更使うことはないのではと思ってしまう。だが、明治出身の田村が、妙なおまじないをしなければフリーで蹴れるペナルティーキックがを蹴ることが出来ない五郎丸君の代役(キッカー)が務まることを立証したのは収穫だったと思って見ている。



1 コメント

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Unknown (kazk)
2016-07-03 22:26:15
スーパーラグビーの面白さは、サッカーで言えばいわば欧州や南米のトップチームが身近で見られることに匹敵すると思います。現実行われてるのは、サッカーで言えばマンUやレアルと対戦してることに匹敵するほどなのです。だから簡単には勝てないし通になればなるほどそのプレーに唸るのです。それを面白く思う人々が出てくること、これこそがスーパーラグビー参入のもう一つの狙いです。

混成軍ですから、サッカーの場合と同じくその実力は国代表より強いことがあるのは当然でスーパーラグビーの覇者に確実に勝てるというのはオールブラックスくらいだろうと思います(まあメンツの関係で絶対実現しませんが)。だからサンウルブスは3勝できたら奇跡と思ってました。1勝1引分出来てますからまあこんなものでしょう。

もともとこれらのチームはオーストラリアやミュージーランドの州代表クラスのチームが自己のリーグ戦の傍ら国際試合をやってるという感覚で見たら間違いありません。もともとがそうですし、それに外人入れてパワーアップしたという感じです。

サンウルブスは今年から参入ですが現在でも大略40人ほどが登録されてます。これらは皆トップリーグの選手クラスであり、この実力は近年相当に向上しサントリーはウェールズ代表に勝ったことさえあるくらいですから、これからの実力向上は、こちらの参入はある意味必然でした。消耗が激しいスポーツですからこの程度の登録数は当たり前、シーズン参入後もリクルートは続いていました。

忘れて頂きたくないのですが、南半球のチームにとっては今が冬つまり彼らのシーズン真っ盛りなのです。これはあまり知られていないことですがラグビーにはいくつか変種があります。一つはリーグラグビー、もう一つはオージーボールと呼ばれるものでオーストラリアはこの2つが盛んでラグビーはナンバーワンではありません。だからオーストラリア協会は嫌でもレベルの高いゲームを多く設定し、人気を保たねばならぬのです。

日本に多く外人選手の一流どころが来るというのはこの季節が逆という問題が多くあります。即ち南アあたりのシーズンをフルに戦った後に北半球のラグビーシーズンをほぼフルに出来るという事情があるのです。これは欧州でも同じといえば同じなのですが、こちらではサッカーのチャンピオンズリーグに相当する大会があり、シーズン4月くらいまで引っ張られます。だから自国の国内リーグ(つまりはスーパーラグビーです)には間に合わないのです。だから9月頃始まり2月には終了する日本のトップリーグは南半球の選手にとって好都合なのです。
これが一流選手が多く来る理由です。

世界の中で一流の選手が多くでてるもう一つの地域は南太平洋の通称アイランダーと言われるサモア、トンガ、フィジーなどですが国内が小さくまともなプロスポーツとして成り立ちません。だから外国に出てくことになるのですが南半球という事情は一緒、まあシーズンを完全に逆にして北半球のプロチームに参入するのも多いのですができたらやはり近場の方がいいですし、シーズン機会が多いほうがいいわけです。後特に南アあたりの経済ではそう多くの銭を稼げるわけじゃありません。トップリーグは経済大国のリーグですから、それなりの報酬はありますがそれなりの報酬で来てくれるということもあるのです。

だから日本のトップリーグには欧州の選手って殆どいません。旨味がないからです。しかしこれは問題になりません。何しろ南のほうが強いというのは厳然たる事実ですからね。こうして8月には南半球の王者を決めるラグビーチャンピオンシップになります。これが国代表の決定戦です。つまりこのような真剣勝負の継続により南半球は今の地位を得たのです。伊達や酔狂ではないのです。


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