新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

7月2日 その2 板門店会談の考察

2019-07-02 14:07:15 | コラム
トランプ大統領ならではの離れ業だった:

今更ながらかも知れないが、私なりにあのトランプ大統領の離れ業を考えて見た。

そもそもトランプ大統領がG20で来日する前に終了後は韓国を訪問するという予定を聞いた時に、私は「何をしに行かれるのか。文在寅大統領とはつい先日会われたばかりで、あの2分間会談という木で鼻を括った応対をされたので、その埋め合わせにまた会いに行かれるのか。でも、世界で最も多忙であるアメリカ合衆国の大統領が何ら確たる予定もなく行かれる訳がないだろう」と思わずにはいられなかった。だが、板門店にも行かれるかも知れないと知った時には「もしかして金委員長と」とは閃いたのだった。

そして、実際にはあのTwitterを通じた申し入れ(だったのだろう)を前日に聞いたと言う金正恩委員長を動かして、あの歴史的と称されている会談を実現させられた。私はあの経過を見て「これはトランプ大統領は最初からそういう計画を立てておられ、彼一流の果断な実行力で、何ら事務方の準備会談もなく、両国の外交担当部門が介在する暇も与えないで会談を実現させらのだと見ている。あれを「出来レースだ」とか「ショーだった」とか「素晴らしいパフォーマンス」とか「矢張り根底にあるのは来たるべき選挙対策」等々、専門家や事情通は解説されている。

勿論、私には何が本当のことだったかなどは解る訳はないが、トランプ大統領と金正恩委員長の間での親書の往復で合意は成り立っていたという見方まである。1時間も何を話し合われたかも、ウワーキンググループを設けて、次の会談での議題の打ち合わせをすることだけが報じられていたと思う。何れにせよ、ハノイで物別れに終わったトランプ大統領と金正恩委員長との話し合いは、今年中にあらためて再開されそうな見通しが立ったと言われている、こういう決定はあの両首脳だから出来たことで、下から積み上げていくのではあの速効性は発揮出来なかったのではないか。

DPRKをCVIDに従わせられるか否かの見通しは不明だと見えるが、両首脳間の話し合いが継続されることは良いことであると思う。会談の実現までの経緯は明らかに型破りで、何方か専門家が言われた「独裁的首脳」の1人に入っていたトランプ大統領でなければ実現出来なかった離れ業だと見て良いと思っている。当然批判的な声も上がっているようだが、あのまま事態を放置しないで朝鮮半島における安定というか非核化を前進させる足がかりとしたのは、流行りのカタカナ語で言えば「極めてポジティブ」な成果だった評価すべきだと言いたいのだ。

但し、金正恩委員長はトランプ大統領がその能力を高く評価するという意味の発言をTwitterを使ってしておられるが、彼にCVIDに従わせるのは簡単なことではないと見る。同時に、DPRKにしたところでUNのSecurity Councilが決定した経済制裁は何としても解除させたいのだろう。その為には何処まで譲歩するかが鍵だろうが、トランプ大統領も唯々諾々とその要求を飲む訳には行くまいし、制裁の解除はトランプ大統領だけが一存で決められるのではなく、UNが決めることだろう。これから先も二国間で見えるところと見えないところで激しい駆け引きが続くことだろう。

そこで思い出させられるのが「トランプ大統領の再選を望まないのが習近平主席であり、望んでいるのが金正恩委員長」という見方である。木村太郎氏は「再選あり」と言っているが、武藤正敏元駐韓大使は笑いながら「再選されないことだってありはしないか」と言っておられた。この点だって予測は出来ても、どうなるかは現時点では解るまい。矢張り、ここでもトランプ大統領は“unpredictable”であるのかも知れない。



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