新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

12月11日 その2 矢張り単語重視の教育の所為か

2020-12-11 15:16:06 | コラム
何で英語の単語を使うの:

近頃と書きだしたが、ここ何十年もの間に日常会話やテレビなどに登場される有識者以外にも、タレントとやら称する者までもが、語りの中にごく自然に英語の単語を採り入れた表現を使うのが当たり前のようになってきた。これらの単語は勿論カタカナ語化されているのだが、私はその背景に我が国の英語教育で未だに「単語の知識」を重要視していることが作用(悪影響)しているのだろうと思っている。だが、あのような感覚で使っていては、もしも本格的な英会話どころか交渉事の場などで使っても通用しないのではないかと、密かに危惧している

そこで、近頃目立って(「耳立って」とする方が正確かも知れない)来た例を幾つか挙げてみようと思った次第。主張したいことは「単語をバラバラに覚えさせることは綺麗さっぱり止めて、飽くまでも流れの中での使い方を教えよう」なのだ。今回は珍しくアルファベット順にして見た。

“challenge”:
解説)勿論「挑戦」という意味である。ところが、こういうことを表現したい時にほとんどの人が「チャレンジ」か「チャレンジする」と言うのだ。ところが,ジーニアス英和でもOxfordでも名詞用法の場合に「挑戦」が最初に出てこないのだ。ジーニアス英和には先ず「やりがいのある課題、難問、やりがい、覚悟」とで来る。次に「(競技などへの/・・・しようという)挑戦」が出てくる。近頃NPBでも判定に異を唱えることを「チャレンジ」と言い始めたが「疑念、異議、拒否」も出てくる。

Oxfordでは動詞に使う場合には「申し立てや行動が正確であったか否か疑義を呈する、乃至は拒否か受け入れない」とある。「へー」と思われる方が多いかも知れないが、実際にはこれらが先に立っているのだ。お使いになる場合には、事前に辞書を見ておくべきではないか。

“hurdle”:
解説)これはかなり多くの人が恣意的に使っている。その意味は「~を達成するには此れ此れ然々の難関を突破しなければならない、または問題を解決しておく必要がある」のように聞こえる。故に「ハードルが高いの低いの」という言い方になっている。この単語は勿論「障害物競走における障害」のことである。比喩的に使うのは結構だが、前述の文章のように長い説明を英語の単語一つだけで説明してしまうのは、私には国語による表現力の低下だとしか思えない。しかも「ハードルをクリヤーする」と動詞まで英単語だ。日本語で正しく言えるように勉強すべきだ。

ジーニアス英和には「障害物」の他に困難が出てくる。例文として“Besides the basic communication hurdle, there were cultural differences.”などと言う難しい文章がでていた。Oxfordには“a problem or difficulty that must be solved or dealt with before you can achieve ~”というのも最後に出てくる。矢張り、単語をバラバラの覚えていないと出てこない使い方だ。不肖私などはついぞ使ったこともない高級な表現だ。

“impact”:
解説)「影響」という意味で使われていることが多いと思う。確かにそういう意味はあるが、私は「影響」と聞くと“influence”を思い浮かべる。ジーニアス英和には名詞の場合には「(・・・への)衝撃、(・・・との)衝突、衝撃力、反発力」が出てくる。影響は出てこない。Oxfordでも同様で「~に対する強力な効果」とあって、例文には“the environmental impact of tourism”と出てくる。「影響」という意味で使えないこともないという程度だ。意訳すれば「影響」という意味で使えないことはないが、私は使われた例をあまり知らない。

“support”:
解説)「支える」か「支持する」という意味で使われることが多い。例えば「大勢の方々にサポートされて」とか「サポートを得て」というように使われている。私はここで英語の単語を使う必然性があるのかと問いかけたくなってしまう。いや、「単語を沢山覚えておられるのは分かるが、普通に日本語で言おうよ」と言いたくもなる。矢張り、格好を付けたいのだろうか。

ジーニアス英和には名詞の場合には「支柱、土台」が真っ先に出てくる。次が「(比喩的に)・・・の支持、支え、頼りになるもの」が出ている。動詞だと「(人、物が)人・物を倒れないように・・・で支える」となっている。Oxfordには「~を声をかけるか、彼らまたはその事に同意すると示して援助するか勇気づける」とある。私が言いたくなることは“support”にそういう使い方があると承知で「サポート」と言っている人がどれだけいるかという問題点だ。英語の現場では“supporting documents”と言って「添付書類」を表していた使い方の例もあった。

結論的なことを言えば、「矢張り日本語で普通に語っている時には、妙な英単語を入れるのは止そうよ」となるのだ。兎に角、良く辞書を見て例文を読んで、正しい単語の知識を身につけよう。



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