新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

13年度のアメリカ紙パルプ業界の決算

2014-03-17 15:36:50 | コラム
アメリカの紙パルプ産業界の13年度決算は増収増益:

これは良い傾向が我が国にも波及してくれば結構なのだが。

上場会社大手21社の総合計では、売上高が対前年比6.1%増の802億4,300万ドル、純利益が20.4%増の49億6,200万ドル、利益率が6.18%だった。明らかに好調だったと得る。これがアメリカ全体の景気回復によるものだったら、当にグッドニュースである。

その主たる要因には、メ-カー各社のエネルギー等のコストダウンの努力とM&Aによる業界再編成があると報じられている。

アメリカどころか世界最大のインターナショナルペーパー(IP)は、対前年比5.4%増の290億8,000万ドルの売上高を記録していた。IPは1990年頃には250~260億ドルの売上高だったが、2005年頃から塗工印刷用紙分野からの撤退と経営体質の大改革を実行して、成長が鈍化したアメリカ本土を避けて高い成長率が見込まれているBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国、念のため)への投資に注力していった。

その結果、10数年を経た今日では売上高では往年を10%以上も超える成長ぶりを示している。特に中国とブラジルにおける投資が巨額である以上、IPの今後は中国とブラジルの成長と景気回復如何にかかっているようだ。

往年はIPに次ぐ第2位の座にあったW社は2005年に非塗工印刷し事業部門を切り離して分離独立させ、その後2008年には全米最大級の段ボール原紙と箱の事業を売却するなど徹底したリストラを実行し、220億ドルの売上高を60億ドル近くにまで縮小させていた。しかし、昨年度は20.8%の成長で85億2,900万ドルに回復していた。利益率も往年の7.67%に迫る域にまで達していた。これは「紙パの回復ではなく住宅産業の復調で材木と製材品が売れたこお陰だ」と言えないこともないのだ。

だが、アメリカの経済では住宅産業が復調し住宅着工が伸びれば(大量の建材用の木が伐採されれば)、アメリカ全体の景気回復の兆しが見えたことになる。残すはアメリカの景気判断の二大バロメーターの一つである自動車産業の本格的な回復が待たれるところだ。私は全てがオバマ大統領の手腕にかかっていると思う時に、何となく秘かに未だ危ういものが残っていないかという気がするのだが。

参考資料: FUTURE 14年3月24日号


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