新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

"Lady Borden"のカタカナ表記

2016-03-01 07:00:29 | コラム
デイーン・フジオカがCMソングを:

件名は言わずと知れたアメリカのアイスクリームの商品名で、カタカナ表記は「レデイーボーデン」となっている。このCMをこの度NHKのドラマに出演して名が売れたと聞くデイーン・フジオカなる俳優が担当することになったことを、昨日のフジテレビのニュースで知った。カタカナ語の名前が如何にも胡散臭いので即Wikipediaで調べてみた。本名は藤岡竜雄で歴とした日本人だった。しかし、シアトル大学というカトリック系の大学に留学していたとあったので、Deanはその当時に出来たニックネームだろうと思う。

フジテレビのニュースでは四カ国語が堪能などと持ち上げた上でレデイーボーデンのCMの収録の場面を流したが、藤岡が歌うのは”Lady Borden”のところだけだった。彼はこの商品名をほぼカタカナ表記通りに「レデイーボーデン」と歌うのだが、”Borden”くカタカナ表記すれば「ボードウン」のように発音した。そこをまたアナウンサーの伊藤は「我々に真似出来ない綺麗な発音」と礼賛した。カタカナ語排斥論者であり、「英語の発音の正確さは七難隠す」と主張する私にとっては「何を言っているのか」だった。

そもそも”Lady Borden”を「レデイーボーデン」とカタカナ表記してしまったこと自体がおかしいのであって、”Lady”は「レイデイー」となるべきものだったにも拘わらず「レデイーファースト」にもあるように原語の発音を無視した誤記だったのだ。カタカナ表記する場合に”A”は何時も難物で英語では素直に「ア」と発音されることの方が少ないのだが、ローマ字が普及した我が国では通常「ア」にしてしまっている。しかし、何故か”lady”のような場合には「レ」と誤記してしまった。

それはそれで良いが、藤岡がアメリカ仕込みかどうか知らないが、”Borden”を素直に従来通り「ボーデン」としかなかったのは矛盾ではないのか。そうするのならば”Lady”も原語通りに「レイデイ-」とすべきだっただろうと言いたい。それともスポンサー様の意向では「そこまでしなくとも良い」だったのか。

次に情けなかったことは伊藤が藤岡の発音を礼賛したことだった。この辺りが我が国の英語教育の至らざるところを表しているのだと思うのだ。”Borden”のように二重音節(double syllables)の言葉では二つの音節の両方にアクセントを置くことはなく、何れか一方に置くだけなのだ。ここでは「ボー」にアクセントが来たので”den”では”e”を実際には発音しない感じで「ドウン」に聞こえるようになるものなのだ。こういう微妙なアクセントの置き方が学校教育ではチャンと教えていないようだと、長年の現場の経験で解っている。

であれば、本来は伊藤アナウンサーを責めるべきではないのかも知れないが、あの場で藤岡を礼賛してしまっては罪なき視聴者を惑わすのではないかと危惧したので、敢えて採り上げた次第だ。実は、当方はNHKの朝の連ドラと大河ドラマは一切見ないので、フジオカなる俳優か何か知らぬが大いに受けているという者の顔を初めて見たのだった。ここまで引っ張ったが、実は英語教育批判論でもあったのだったのだ。



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