APPが北アメリカの紙パルプメーカーを30億ドルで買収:
紙業タイムス社刊行の週刊誌版、FUTUREに私の関心を惹く記事があった。一般の方には受けないかと危惧するが「ここにもまた中国資本が」とあらためて痛感させられる嫌らしさがあるので、敢えて採り上げる次第だ。その他にもう一つ関心を持たざるを得ない点があった。それはAPP、即ちAsia Pulp & Paperが買収するDomtarは本社をカナダのモントリオールに置き、アメリカにも工場を持っている。
このドムターは2005年にウエアーハウザーが洋紙部門をスピンオフした際に譲渡したメーカーである。その昔の我が社の一部だった、私も手伝っていた時期があった事業が中国の手に落ちるのだ。少しだけ感傷的にもなったし、「昔は良かったね」となってしまうのだ。
APPとは如何なる紙パルプメーカーであるかを、改めて紹介しておこう。シンガポールに本拠を置く華僑財閥のSinar Masが傘下に置く、今や世界最大且つ最強のメーカーの一角を占めていると言って誤りではない最新・最強のメーカーである。しかしながら株式を含めて一切の資料を公開していないために、その生産量や売上高等の規模等は不明である。
FUTURE誌の紹介では、ドムターは売上高が37億ドルとなっていたから、邦貨換算では約4,000億円となる。買収するのはAPPのアメリカ支社と言って良いだろうPaper Excellenceとなっている。因みに、我が国の最大手である王子HDの売上高は約1兆5,000億円である。
私の関心事(寒心事?)は「またまた中国か」という点にある。これまでに何度も採り上げてきたことで、今や世界最大の製紙国は中国で年間の生産量は1億トンを超え、嘗ての王国アメリカの7,000万トンを遙かに引き離している。しかも、原料資源小国である中国は製紙不況に悩む北アメリカに進出して多くのパルプメーカーを買収して、原料の確保に狂奔した。APPも既に数社の休眠工場等を買収してあったし、着々と中国本土、東南アジア、北アメリカに進出を果たしてあった。勿論、我が国にも販売拠点を確立してある。
中国はAPPの他にもアジア最大級の玖龍紙業がアメリカで4工場を買収済みだし、段ボール原紙メーカーの山鷹インターナショナルは、印刷用紙紙のメーカーであるヴァーソペーパー(元はインターナショナルペーパーの印刷用紙部門)を買収した他に、フェニックスペーパーも経営している。
消息筋の観測では「全世界的に印刷用紙の需要が低下の一途を辿っている時期に、APP等を始めとする中国メーカーが買収した先で上質紙事業を継続することはせずに、需要の成長が見込まれている段ボール原紙に転換していくだろう」となっている。私もそれはごく当然の流れだろうと見ている。また、何も抄物転換をせずとも、アメリカのメーカーは何れも原料からの一貫の生産体制であるから、製紙原料即ちパルプも確保できるのだろうと観測している。
ここにあらためて強調しておきたいことは「中国はかくも全世界のあらゆる分野で、多くの企業は国家の支援を受けて、華々しく進出している」という紛れもない事実を承知して頂きたい」のだ。だが、その勢いはどう考えても輝かしき未来が見えてこない紙パルプ産業界にも及んでいるのだ。今や5Gどころか7Gやその先が論じられている時代だ。その最中に何故中国があれほど衰退の一途である北アメリカの紙パルプメーカーに触手を伸ばすのかとの疑問だ。
中国こそがあらゆる面でICT化とデイジタル化の最先端を行っているではないか。彼らの目論見は何処にあるのだろうか。世界の紙パルプ産業界を支配しようとでも計画しているのではあるまいな。
参考資料:紙業タイムス社刊 FUTURE誌 21年6月14日号
紙業タイムス社刊行の週刊誌版、FUTUREに私の関心を惹く記事があった。一般の方には受けないかと危惧するが「ここにもまた中国資本が」とあらためて痛感させられる嫌らしさがあるので、敢えて採り上げる次第だ。その他にもう一つ関心を持たざるを得ない点があった。それはAPP、即ちAsia Pulp & Paperが買収するDomtarは本社をカナダのモントリオールに置き、アメリカにも工場を持っている。
このドムターは2005年にウエアーハウザーが洋紙部門をスピンオフした際に譲渡したメーカーである。その昔の我が社の一部だった、私も手伝っていた時期があった事業が中国の手に落ちるのだ。少しだけ感傷的にもなったし、「昔は良かったね」となってしまうのだ。
APPとは如何なる紙パルプメーカーであるかを、改めて紹介しておこう。シンガポールに本拠を置く華僑財閥のSinar Masが傘下に置く、今や世界最大且つ最強のメーカーの一角を占めていると言って誤りではない最新・最強のメーカーである。しかしながら株式を含めて一切の資料を公開していないために、その生産量や売上高等の規模等は不明である。
FUTURE誌の紹介では、ドムターは売上高が37億ドルとなっていたから、邦貨換算では約4,000億円となる。買収するのはAPPのアメリカ支社と言って良いだろうPaper Excellenceとなっている。因みに、我が国の最大手である王子HDの売上高は約1兆5,000億円である。
私の関心事(寒心事?)は「またまた中国か」という点にある。これまでに何度も採り上げてきたことで、今や世界最大の製紙国は中国で年間の生産量は1億トンを超え、嘗ての王国アメリカの7,000万トンを遙かに引き離している。しかも、原料資源小国である中国は製紙不況に悩む北アメリカに進出して多くのパルプメーカーを買収して、原料の確保に狂奔した。APPも既に数社の休眠工場等を買収してあったし、着々と中国本土、東南アジア、北アメリカに進出を果たしてあった。勿論、我が国にも販売拠点を確立してある。
中国はAPPの他にもアジア最大級の玖龍紙業がアメリカで4工場を買収済みだし、段ボール原紙メーカーの山鷹インターナショナルは、印刷用紙紙のメーカーであるヴァーソペーパー(元はインターナショナルペーパーの印刷用紙部門)を買収した他に、フェニックスペーパーも経営している。
消息筋の観測では「全世界的に印刷用紙の需要が低下の一途を辿っている時期に、APP等を始めとする中国メーカーが買収した先で上質紙事業を継続することはせずに、需要の成長が見込まれている段ボール原紙に転換していくだろう」となっている。私もそれはごく当然の流れだろうと見ている。また、何も抄物転換をせずとも、アメリカのメーカーは何れも原料からの一貫の生産体制であるから、製紙原料即ちパルプも確保できるのだろうと観測している。
ここにあらためて強調しておきたいことは「中国はかくも全世界のあらゆる分野で、多くの企業は国家の支援を受けて、華々しく進出している」という紛れもない事実を承知して頂きたい」のだ。だが、その勢いはどう考えても輝かしき未来が見えてこない紙パルプ産業界にも及んでいるのだ。今や5Gどころか7Gやその先が論じられている時代だ。その最中に何故中国があれほど衰退の一途である北アメリカの紙パルプメーカーに触手を伸ばすのかとの疑問だ。
中国こそがあらゆる面でICT化とデイジタル化の最先端を行っているではないか。彼らの目論見は何処にあるのだろうか。世界の紙パルプ産業界を支配しようとでも計画しているのではあるまいな。
参考資料:紙業タイムス社刊 FUTURE誌 21年6月14日号
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