新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

カタカナ語を考えると

2017-05-31 08:29:36 | コラム
「カタカナ語排斥論者の弁」の補足

30日にあらためて一種の日本の文化でもあるカタカナ語を論じたが、そこに私が2008年に独自に創り出した分類だけを記載しておいたので、それだけでは不十分だろうから、ここに和製英語=造語」、「ローマ字式発音または恣意的な読み方による」、「言葉の誤用か借用」、「合成語」の各項目の例を新旧取り混ぜて幾つか採り上げて行こうと思う。

和製英語=造語:
書き出しは「素晴らしい造語もあるが中には何と不可思議且つとても面白いというか興味深い言葉もあり、それらを発見するのは楽しみである」となっていた。当初掲げたものは「フリーサイズ」で、これは英語にすれば“one size fits all”なのだった。”free”で先ず思い浮かぶのは「自由」であるから「自由なサイズ」という発想があったのだろう。この単語には他には「~から解放される」であるとか”admission free”のように入場無料の意味にも使われる。

次には「フリーライター」を挙げていたが、これは”freelance”の「ランス」を省いてしまったのだろう。これと同類の発想に「誰々がフリーのアナウンサーになった」というような所属していたテレビ局を離れて独立した際に使われている。思うに「自由に活動できるようになった」と表現したいのだろうが、英語ではないのだ。

「タッグ」を追加しておこう。現在頻繁に使われるのは「誰々とタッグを組んで」のような表現である。これは恐らく、私には何時頃流行ったかの記憶すらないがプロレスリングに「タッグ・レスリング」という形式が導入されたことがあった。ご記憶の方は多いと思うが2名が組んで戦い、選手交代をする時に相棒の手に触れる、即ち”tag”だから”tag wrestling”と呼ばれた。

注意すべきは「タッチ」(=touch)ではないことだ。要するに手を触れあった戦うテイ―ムを構成しているレスリングなのである。それが、如何なることか「タッグ」だけが独り歩きをしてしまったのだ。正しくは「タッグ・テイ―ムを組む」と言うべきなのだ。余談だが、我が国では野球で「ランナーにタッチした」という表現が公式的?だが、あれは英語では”tag”即ち「付ける」という意味なのである。

その他の新しい例に「コラボ」(=collaboration)なども挙げて解説しておきたいが、既に批判してあったのでここでは省略する。

ローマ字式発音または恣意的な読み方:
「これらは日本訛りの英語の発音の変形であるとも考えている」と最初に解説していた。簡単な例を挙げればQueen’s Englishでは”o”を「オ」と発音するし、ローマ字でもそれ以外の読み方がない。だが、アメリカ語では「ア」に近い音になるし、「オウ」もある。また”a”を素直に「ア」とする例の方が少ないと言って誤りではないほど「エイ」が多いのも英語の不規則性だと思う。

それにも拘わらず、私が最も忌み嫌う「セキュリティー」から。”secure”という動詞は如何なる辞書を見ても発音記号は「シキュアー」というカタカナ表記になるようになっている。しかし、誰が作ったか知らないカタカナ語では「セキュリティー」になってしまった。しかし、これは「シキュアラテイ―」という発音記号しか見当たらないし、これが正しい発音なのだ。思うに、この言葉を作り上げた大家は「日本人の発音ではこなせない」と配慮して、こんな無様なカタカナ語にしたのだろう。

他には「ルーキー」(=rookie or rooky )、パトリオット(=patriot)、人名で「ゲーリー」(=Gary)、「シンポジューム」(=symposium)等を挙げておきたい。出来る限り原語に近いカタカナ表記を試みれば最初から「ルキーまたはルッキー」、「ペイトウリアットウ」、「ゲアリー」と「シンポウジアム」となるだろうか。

言葉の誤用と借用:
この分類に入る言葉が最も厄介だろうと思う。何故かと言えば、造語的な要素も入ってくるからだと思う。2008年には「リニュウアルオープン」(=renewal open?)を最初に挙げていた。「新装開店」を意味するようだ。これなどは完全に戸籍を得た造語だと思う。誤用は「リニュウアル」で”renew”には「新装」の意味はなく精々「古いものか故障したものを取り替える」と言うことだ。

「何だ、それで良いじゃないか」と言われそうだが、英語では”renovate”か”refurbish”が適切だと思う。また、openだけでは文法的に誤りで”opening”とすべきだ。

「バトンタッチ」も不味いだろう。タッチしただけでは手渡していない。最近これを正解に近い「バトンパス」と呼ぶ人が出てきた。私は正確には”baton passing”だと聞かされてきた。ここでも”ing”を付けて名詞化する作業が省かれている。また、「タッチ」にも”tag”との混同が見える。テレビで屡々解説者が言う「キャプテンシー」も誤用だ。Captaincyは「主将の地位」を示しているので、正確には”captainship”なのだ。

他には「スリッピー」(=slippy)は”slippery”の誤りだし、「リピーター」などという箸にも棒にもかからない物がある。これには「再度訪れるお客」などという意味はない。そう言いたければ”regular customer”という英語があるが、一寸意味が違う気もする。試しに”repeater”を辞書で引いてみれば良い。これなどは典型的な日本語であり、間違っても「英会話」の中で使わないことだ。

合成語:
カタカナ語と漢字の熟語を組み合わせたものが多い。私が嫌うものに「自己ベスト」がある。普通に「自己最高記録」といえば済むものを”good”という形容詞の最上級を名詞扱いしている。ジーニアス英和には最後の方に「略式として複合語で、最も、一番」出ている。どうしても、英語にもなりそうなカタカナ語にしたければ「パーソナル・レコード」とでもすれば良かった。

他には「スチール写真」(=still picture)、「電子レンジ」(=microwave oven)もあれば、「アドバイスする」、「スタートさせる」、「オープンさせる」などというように英語の動詞の後に「する」を付けた合成語もある。

ここに取り上げた例はほんの一部だが、私が言わんとするところの感触を掴んで頂ければ幸甚である。


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