新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

12月29日 その2 東京オリンピックに5,000人の医師団を無報酬で

2020-12-29 15:44:29 | コラム
政府は一転報酬支払いに変更:

この件は昨日採り上げて批判したばかりだったが、その声が届いたとは思わないが、先ほど見た共同通信の報道では方針変更があったようだ。私は当然そうあるべきだと思っているので、特に褒めようとも思わない。

実は、この「オリンピックの医師団」については昨日から畏メル友のRS氏と意見交換をしていたのだが、「仮令、必要とするお医者様の人数が揃ったとしても言葉の問題はどのように備えておくのだろうか」と、余計な心配というか取り越し苦労とでも表現すべきか知らないが、実際問題としてかなり厄介なことになりはしないかと気にしていたのだ。それは、お医者様たちの外国語能力の問題よりも、世界の何十もの国から選手が集まってくる以上、その数だけの言語がある訳で、英語か昔ながらのドイツ語が解るくらいでは対応できないのではないかと言うこと。

そういう根拠の一つに私が1985年10月に、アメリカはシアトルの郊外で交通事故に遭って苦しめられたから言うのだ。念の為に確認して置くが、私は車の運転は出来ないので「貰い事故」だった。搬送された余り丁寧とは言えない扱いだった救急病院では、私が外国人である事など全く意に介していないようで、X線撮影の技師は英語で“Take a big breathe for.me. Hold it there for me.”と指示してきた。私は余りハッキリしていない意識で「へー。大きく息を吸って。はい、そこで止めて」はこう言うのかと思って従っていた。

これを東京オリンピックに当て嵌めてみると、ポルトガル語を話すブラジル人の選手が肋骨骨折で担ぎ込まれてきた時に、X線写真を撮ろうと英語で言って通じるのだろうかという問題になるのではないか。アラビア語の中近東の国の選手だったらどうするのかと心配になる。私はこの救急病院の後に、車を運転していた上司のホームドクターのクリニックに再検査に行った。その際には「問診票」(medical questionnaire)までは何となったが「既往症」(=pre-existing disorder)は介添え役の奥方に助けを求めざるを得なかったし、その病名を英語では言える訳がなかった。“

現実にオリンピックが開催され、負傷者や故障者や急病人が出た場合は、大変面倒なことになりはしないかと、余計なことを今から心配しているのだ。考えようによって、テレビで頻繁にCMが出てくる数十ヶ国の言葉を自動的に翻訳する機器も出来ているようだから、そういう文明の利器に頼ることも可能かも知れない。だが、AMIだのBNPだのPSA等を即日本語やアラビア語に翻訳できるのだろうか。

実は、私としては一寸だけ推薦しておきたい本があるのだ。それは、ジャパンタイムズ社が1977年8月に初版を発行した「外国で病気になった時 あなたを救う本」である。この本は好評なようで、私の手元にあるのは2006年に発行された第4版で25刷である。この本は大学の同期生が同社の出版局長だったので「こういう本を出している」と贈与されたのだった。非常に良く出来た内容だし、巻末には66頁もの和英の医学用語の索引がついている。折角の名作だったが、2012年のアメリカ行きをを最後にパスポートを失効させている私には、海外で役立てる機会がなかった。

だが、オリンピックともなれば、最低でもこの程度の本を用意していないことには、患者との意思の疎通は困難になりはしないかと危惧する。尤も、外国人が多いここ新宿区の一角では、アジア系の患者たちはクリニックでスマートフォンのアプリ(なのだろう)を見ながら、事も無げに問診票に記入して見せている場面に出会う。彼らは既に我が国で対応する手段を編み出しているようだ。組織委員会も彼らに負けないように態勢を整えておかれたら如何だろう。



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