新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

アメリカでの思いがけない経験

2024-06-21 07:15:52 | コラム
意外なことが起きる国だった:

“wrong way”って?:
解説)これで「一方通行出口」の事なのだそうだ。車の運転の仕方を知らず、免許を取ろうとも思わなかった私だが、シアトルの市内で出会ったのがこの“wrong way“の標識だった。一瞬「何の事?」と理解できなかったが、良く考えれば「進入禁止」と解釈できた。このように表現して「道を間違えているぞ」と警告する辺りに、アメリカ人たちの我々とは違う物の考え方が見えて面白かった。

“Please wait to be seated.”:
解説)アメリカに行かれ、ホテルのダイニングルームや市中のレストランに入られると、先ずこの立て看板というか標識に出くわされるはずだ。これは「係員がお席に案内するまでお待ちを」とでも訳せば良いと思う。即ち、我が国のように自分からどんどん入って行って、好きな席に座らせてはくれないのである。不思議なことに案内係(matre d’かusher)が空いている席を通過してわざわざ遠く離れた席に案内することもある。

「これは如何なる事か」とヴァンクーヴァーで有名な日本料理店を経営するShigに訊いてみた。それは「案内係(給仕長)がウエイター/ウエイトレスたち全員が公平にチップを貰えるように考えて席に案内している。彼等はチップだけが収入源となっているのが普通だから」と教えてくれた。Shigは「うちの店では全員が貰ったチップを一旦店が集めてから均等に割り当てている」とも教えてくれた。

“Table for two, please.”:
解説)実は、私は本社の近くのレストランで、このmatre d’と間違われた笑えない経験がある。それは秘書さんたちと3人で昼食に出かけた時のこと。終わってから私は何気なく上記の看板の脇に立って、女性たちの化粧直しが終わるのを待っていた。するとそこに現れた立派な服装の年輩の夫婦が私に向かって“Table for two, please.“と言ったのだ。丁度その時に彼女らが出てきて、”Matre d’と間違えられた“と大爆笑というか大受け。

それもあり得ることで、その日は金曜日で寛いだ服装(なり)で、濃紺のダブルブレストのジャケットにチャコールグレイのズボンという如何にも案内係と間違われそうな格好をしていたのだから。そのご夫婦も間違ったと気が付かれて平謝りだった。この件は本部に戻っても皆に語られて遺憾ながら大受けだった。

“Make it two, please.”:
解説)これはレストランなどで「前の人と同じ物」の注文をする時に使える言い方。3人目が入れ“Make it three.“だろう。経験された方も多いかと思うが、そのテーブルの係のウエイターが“today’s special”と言って3品か5品辺りのメニューを早口で延々と語り始めて辟易となる。余程英語に耳が慣れて入れも食材の説明までには付いていけない。

これは某商社の腕利きの課長が大口の特別仕様の新製品を受注して本部と工場にスペック等の説明に来られた時のこと。彼は勉強の為にと子会社の若手を連れてきて「勉強するのだから、一切通訳はしてやらない」と言うきつい条件を付けていた。それでも話し合いは無事に終わって、副社長主催のディナーが市外のイタリアンレストランで開催された。

アメリカ慣れしていた課長さんはtoday’s specialから私と同じ物を注文されたのだが、それを“Make it two.“と表現した。若手は何のことか解らずに「それはどう意味ですか」と尋ねて教えて貰えた。食事が終わって仕上げのカクテルとなった。課長さんは確か「ウォッカマティーニ」を選んだ。それを聞いていた若手は、この時とばかりに“Two.“と一言。課長さんは折り悪く副社長と談笑中。

すると、そこに持ってこられたのは、何とウオッカマテイーニが2杯ずつ両者の前に置かれたのだった。課長さんは驚いて「お前何を言ったのか」と詰問。若手は「課長の真似をしてtwoと言いました」と釈明。課長は怒って「それなら“Make it two.“と俺が言ったのを聞いていなかったのか」と叱責。折角良いところを見せようとした若手はとんだ勉強をしてしまった。


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