新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

MBAを起用して改革しよう

2018-03-09 08:22:41 | コラム
各種の競技団体にMBAを:

この度の伊調薫に対する栄和人日本レスリング協会理事兼強化本部長による不当な圧力をかけた(「パワーハラスメント」はカタカナ語で造語だ)疑いと告発された件でのレスリング協会の対応の不手際を見るに付けても、相撲協会を最悪の例とする我が国の各種の競技団体(公益法人である例もある協会)の幹部たちの統治能力の欠如は目に余ると思う。

それは、これまでに私が何度も指摘してきたことで、幹部たちは長年その競技種目で国の内外で抜群の成績を挙げてきた名選手であったのは間違いないところだ。だが、そこに集中し過ぎた人生を送ってきた為に、ややもすると世間の一般常識に欠けるか、自らが役員に就任した団体を如何にして効率良く合理的且つ合法的に運営する才覚に欠けている例が多いのだ。

その際悪の例として前述してある相撲協会の先頃の日馬富士の貴の岩に対する暴力事件の際にも、加害者側に属する協会が被害者の貴の岩から事情徴するといってきかなかった例がある。私は師匠である貴乃花親方が拒否したのは当然であり、常識の範囲内のことだと解釈していた。だが、協会は飽くまでも加害者の日馬富士も含めて聴取すると主張し続けた。それも相撲界だけに通じる文化の中で生きてきた理事たちだからの非常識が為せる業だと思えば、何ら不思議ではない。

これまでにそういう役員たちが統治してきた各種の競技団体で何か事件か事故が発生した際に、どれほど不手際があったかを想起して貰いたい。今回も衆議院議員で文科大臣まで経験した副会長の馳浩は協会の委員会は中立であるから、協会側が伊調馨と栄和人から事情聴取すると堂々と語っていた。そんな程度だから怖い。だが、結局は第三者に依頼するといって自分たちが弁護士を選んだ。これも中々面白い発想だと皮肉が言いたくなる。

そこで、MBAである。これは「経営学修士」、即ち、Master of Business Administrationのことである。AdministrationはOxfordによれば、the activities that are done in order to plan, organize and run business とある。世間一般ではMBAは会社の経営の任に当たるたい者が取得する資格だと思われている。だが、ビジネススクールでは実際には病院、学校、各種の団体の運営乃至は経営の責任者用のコースまで設定されていると聞く。

即ち、アメリカではスポーツの団体を運営する場合には競技の専門家たちが大会を開き推進するのだが、団体の経営の実務はMBAたちが受け持って言わば分離しているのだ。また、病院では優れた医師が院長や理事長に就任するのではなく、経営はビジネススクールで学んできたMBAたちが担当するというシステムが構築されているということだ。私はこの形にはアメリカならではの合理性があると思って聞いた。

などと回りくどいことを言わなければ、我が国の競技団体もそろそろこのような競技の運営と経営の実務の分離を考えてもう良い頃ではないかと言いたいのだ。そのMBAだって何も全く関係のない分野から連れてこなくても、その競技の経験者の中でいくらでも大学院の出身者がいるだろうと思う。それでなければ、サッカー協会の川淵三郎氏のような大手企業での管理職経験者がいるではないか。「川淵氏がこれまでに示した手腕を見よ」と言えるのではないか。

そこまで考えたくないとでも言うのだったら、いっその事AIにでも理事や役員に就任して貰えば良いではないかなどと言いたくもなる。何かと言えば「第三者に」と言い出すのも問題があると思うが、何が中立で何が公平・公正かも解らないような世間知らずが運営する時代は終わったのではないか。MBAが切り札になるかどうかは別にしても、世間的な常識を備えた人物を経営担当に揃えるような改革は必要だと思う。如何でしょうか、馳浩さん。



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