新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

新聞の発行部数が減少していた

2016-11-21 14:12:33 | コラム
10年間に15.8%の減少:

私はこれまでに繰り返し「アメリカでは新聞用紙の生産量が10年間に60%も減少し、印刷媒体の衰退を如実に物語っていた」と述べてきた。では我が国でもアメリカと同様にICT化が著しく進行し、新聞も含めた印刷媒体(紙媒体)もその影響を受けてきたが、実際にどれほど発行部数が減ったかの資料は中々見かけなかった。そこに、紙業タイムス社刊行の”FUTURE”誌の16年11月28日号にその辺りを示す興味深い記事が掲載されていたので引用してみよう。

日本新聞協会発行の統計資料によれば、2015年度の新聞発行部数は2005年度との対比では△15.8%となっていた。10年間に約16%ではアメリカにおける激減振りとの対比では未だお手柔らかな方であるとは思わせてくれる。そこで、過去10年間の発行部数の推移を簡単に引用してみよう。単位は「1,000部」である。

2005年 52,568 対前年比△0.9%、 2006年 52,310 対前年比△0.5%、 2007年 52,029 対前年比△0.5%、 2008年 51,491 対前年比△1.0%、 2009年 50,353 対前年比△2.2%、 2010年 49,322 対前年比△2.0%、 2011年 48,345 対前年比△2.0%、 2012年 47,778 対前年比△1.2%、 2013年 46,999 対前年比△1.6%、 2014年 45,563 対前年比△3.5%、 2015年 44,247 対前年比△2.5%となっており、10年間に830万部の減少となっていた。こじつければ「朝日新聞の公表する1社分」がまるまる消えたことになってしまうので。

この減少振りを1世帯当たりの購読数で見れば、2005年には1.04部だったものが2015年には0.81部と、20%もの減少となっていた。思うに、この背景には現在の若者たちはスマホ、PC、タブレット等を主体にして情報源を紙以外というかネットに依存しているので、新聞を定期購読していない事実があるのだろう。

アメリカにおける激減振りを新聞用紙の生産量で表したので、我が国おける新聞用紙の生産量の推移も見ないことには片手落ちだろうから、その統計も引用してみる。ここでも過去10年間の対比では2005年には392万 tonだったものが2015年には302万 tonと約23%の落ち込みとなっており、新聞の発行部数の減少をも上回る結果になっていた。これは、我が国では新聞用紙の軽量化(=より薄くする)を図ってきたので、生産量もそれに伴って減少したと見れば解りやすいだろう。

この点を製紙の技術面から解説すれば、我が国の世界に冠たる製紙の技術では、アメリカを始めとする世界のどの国でも為し得ない新聞用紙を薄くなお軽くする事に成功していたからである。海外で新聞を読まれた方の中にはお気付きのこともあるかと思うが、諸外国の新聞用紙は我が国のそれよりも遙かに分厚く、頑丈である事だろう。だが、我が国の技術では原料の木材の消費量を少なくしても、海外のメーカーが為し得なかった軽量化を果たして資源の節約を達成していたとご理解願いたい。

因みに、新聞の広告では我が国では折込広告というか朝刊に挿入されてくるチラシが多いが、アメリカでは広告そのものを紙面に印刷してしまう例が多いので、広告がインターネットに取られていけば、新聞が消費する用紙の数量も減っていく理屈になっているのだ。



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