新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

「閃き」が当たってしまった

2024-05-25 09:54:28 | コラム
戸郷翔征がノーヒットノーランを達成:

本日も肩が凝らないような話題を持ちだして、冷静なる評論家としての能書きを言っていこうと思う。

昨24日夜のタイガース対ジャイアンツの試合を藤川球児が説明者だったことも手伝って「ジャイアンツが勝つのではないか」という負の期待を持って観戦していた。先ず驚かされたのは、タイガースが先発に及川雅貴を起用していた点だった。「岡田監督は捨て試合にする気だ」と疑った。ジャイアンツは今や躱していくだけの投手に成り下がった菅野智之に代わって「エース」となった戸郷翔征だった。

冷静なる評論家は戸郷が初めて出てきた頃から「将来有望な素材だが、肘が下がった投げ方は疑問だな」と評価していた。その後順調とは言えない成長ぶりだったが「菅野智之がフラついている以上、何れは戸郷の時代になるのではないか」と思わせられていた。

特に昨年のWBCではアメリカの強打者(誰だったか覚えていないが)から三振を取った気迫に溢れたsplit-finger fast ball(和製語は「フォークボール」)などは素晴らしく「戸郷は漸く本物になった」と思わせてくれた。だが、昨シーズンの出来は未だ言わば「もう一つだな」と言いたくなるような「あのWBCでの真剣さは何処に行った?」と非難したくなる調子だった。

昨夜の戸郷の出来は「あれ、技巧派に変わったのか」と思わせられた程「スプリット」(今やこれが「フォークボール」を表すようになっているようだ)を中心に、カットボールに加えるに150kmに近いファストボールを巧みに混ぜた組み立てで、タイガースの貧打線を抑え込んでいた。そこで「もしかして」とばかりに捕手の背番号を見取れば岸田行倫だったので「なる程」と理解出来た。

既に取り上げたことで、ジャイアンツが原監督の下で何年も優勝出来なかった頃の捕手は、鮮やかな振りでホームランを打つ大城卓三だった。大城のリードというか配球の不味さは、誰だったか説明者(彼等は解説ではなく説明するだけしか出来ない)が指摘していた通りで、暇さえあればアウトサイドに投げさせているだけで不出来だった。今シーズンになって阿部新監督は小林誠司を主体にして岸田と併用したら強くなってしまった。大城は二軍に落ちたそうだ。

思うに、岸田行倫は「戸郷翔征を活かす為にはどのような配球にしたら良いのか」を研究し、タイガースの近本光司(0.282)、中野拓夢(0.269)以外は規定打席数の打者の低位に沈んでいる者ばかりの打線を抑え込む配球も頭に入れてきたのだろうと疑っていた。「そう言えば、タイガースは誰もヒットを打っていないな」と感じた時に、アナウンサーもその点を指摘した。その瞬間に来た「閃き」が「ノーヒットノーランになるのでは」だった。

何れにせよ、岡田監督が及川雅貴を先発させ、しかも1点を取られ、アナウンサーが回の途中でむざむざと引っ込んでしまった理由を言えなかったようでは「遺憾ながらこの試合はジャイアンツのもので、タイガースの勝ちはない」と見切って観戦するのを止めてしまった。今朝になってネットのニュースで閃き通りに戸郷が「ノーヒットノーラン」を達成していたと知って「我が閃きも満更ではない」と確認出来たが、芳しいことでもなかった。

反省すべき点はあったと思う。NPBの世界でも滅多に出来ることではない「ノーヒットノーラン」を最後まで見届けられなかったことだ。当方は佐々木朗希が完全試合を完成した試合を観ていたような曖昧な記憶があるが、その次の試合でも途中まで完全だったのも見ていた。山本由伸のノーヒットノーランは最後まで見た。古い話では、中日の山井大介が日本シリーズで8回までパーフェクトだったのを、落合監督が岩瀬に代えてしまった場面も見ていた。

という具合で「勿体ないことをしてしまった」と反省はしている。だが、矢張り冷静に言っておきたいことは「タイガースでは打線が何時かは奮起するかもしれないが、佐藤輝明が二軍に落ちても立ち上がれる確率は高くないと読んでいるし、真面目だけが特徴では困る大山悠輔は期待薄だし、投手陣でも村上頌樹には昨年程切れ味がなく、伊藤将司が低調なのも深刻な不安材料。

一方のジャイアンツでは阿部新監督の思いきったかのような数名の新人と、長野・丸・梶谷・坂本等の「伸びしろ」を見込めない年長者を混合した布陣で何処までタイガースを追いかけていけるかに懸かっていると思う。間違いないと思う点は大卒だろうと社会人からだろうと、新人が夏場を疲労せずに乗り越えられるかが鍵になると思う。昨年は門脇誠が上手く行っていたが、2年目の今年はやや冴えがない。阿部新監督が腕を見せられるかが鍵になるだろう。

お仕舞いに「戸郷翔征に大天晴れを」と賞賛し「岡田彰布監督とタイガースに大喝を」と言って終わりたい。