岸田総理は実務に暗いことの問はず語りか:
以前に「我が国では何時から国民がスマーフォンを持つよう義務化されたのか」との疑問を呈したことがあった。各テレビ局は「スマホでLINEの友達登録をして・・・」などと、当然誰もがその電話機を持っているので従うかのように言う。当方は1年9ヶ月前に雄々しくも時代に追いつこうと決意を固めて、恐る恐るドコモショップに入ったのだった。だが、LINEなんて知らない。
それと同様に「国民はマイナンバーカードを取ることが義務化されていた」とは認識していない。ではあっても岸田総理は信頼しているのかいないのか判然としない「突っ走るだけが取り柄」のような河野太郎さんの強行突破の姿勢を支持しておられるようだ。私は既に従順にマイナンバーカードに健康保険証の機能を付けることを終えている。だが、何処の病院やクリニックに行っても、未だにマイナンバーカードの健康保険証提示を求められたことがない。
それでも、輿論(って何だろう。「新聞論調」では)や野党から反対の声が激しく上がってくると、河野大臣も信念の人のように「来年秋までで従来の保険証廃止」を言われる。マスコミ論調も岸田総理や河野大臣に好意的ではないのかなと思わせる論調だ。すると、政府は「資格証明書」との併用を言い出し、野党に「それならば現在の保険証と同じで無駄な手間をかけるだけ」と指摘された。その結果が昨日の聞きたいとも思わなかった岸田総理の「延期はしないが」と聞こえた会見だった。
実態は解る訳はないが、歯科の先生が言われた「院内をコンピュータが使えるように配線の工事をして、既存の手書きのカルテを全部入力せねばならないという大変な手間がかかることを、全個人の開業医にやれと言うのだろうか」と語っておられた。かかりつけのクリニックでは今年になって代替わりして、手書きからコンピュータに変わっていたが、大先生の頃に既にコンピュータが据え付けられて、先生はその前でリポート用紙に手書きしておられた。
国立国際医療研究センター病院でも東京山手メデイカルセンターでも、現行の健康保険証を提示しても何も言われないで手続きが進む。国立にはあの器具すら保険証確認の窓口に置かれていない。何時も同じことを言うのだが、岸田さんと河野さんと所管の官庁は「何処まで下情に通じておられるのだろうか」なのだ。「紐付け」などのトラブルがあったと聞いて、何故トラブルになったのかを現場に赴いて調査されたのだろうか。「やれ」と命令すれば「下々」が動くとでも思っているのだろか。
私は区役所で「マイナポイント」の手続きをした時に担当したというのか、介添え役となった高齢と見えた係の方は「PCの操作に熟達しておられるのかな」とふと考えてしまった。また、ここでは自分の姓名や銀行等々を自分で入力するようになっていた。勿論、PC等に触れたこともないと見えた高齢の女性は文字通りの「立ち往生」だった。でも、我々夫婦は今日まで「トラブル」には出会っていない。でも、「これで大丈夫かな?」とは少しだけ感じていた。
岸田さんに認識して欲しいことは「一見良いことであるかのような政策を打ち出されるのが、総理大臣に課された使命だろう。だが、そういうことを考える時に言わば「理想と現実」とその間に横たわっているかも知れない「現場の実情、実態」を充分に認識する努力が必要だ」と言うこと。そのために所管の官庁があるのだろうが、官僚とても区役所や村役場等の現場で実務を担当している訳ではないのだ。要するに「机上の空論」になってしまう危険性は高いのだ。
では、大臣や国会議員がどれ程下情に通じておられるのかという問題だ。彼らは「上情?」には通じているかも知れないが、余程優れた市場調査役と参謀役を事務所に備えていない限り、理想論を追ってしまうことになると危惧している。もしも、河野太郎さんがあらゆる段階の現場の事情(=下情)を熟知しておられれば、あれほど高飛車に「マイナンバーカードと健康保険証の合体」を推進できなかっただろうと考えている。
敢えて言っておくが、国政を担っている者(人の上に立つ者か?)はその責任の重さを自覚して(その年俸に見合うよう)全知全能とまでは言わないが、「現時点で世間の実態はどうのようになっているか」を当世風に言えば「リアル」に承知しておくべきなのだ。言いたくはないが、アメリカの副社長兼ジェネラルマネージャーたちは高給取りなるが故に、その責務を負って現場でも動き回って下情を探っているのだ。パリに行ってエッフェル等の前で写真を撮っている暇などないのだ。