新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

大谷翔平君が打ったホームランの物凄さの鑑賞の仕方

2023-03-13 07:19:37 | コラム
大谷翔平の凄さをあらためて楽しませてもらえた:

昨12日夜のオーストラリア戦の1回表の大谷の一振りは、その余りのスゥイング(swing)の速さに、その瞬間には何事が起きたのか見えなかったというか、解らなかった。だが、打球が上がったのだけは見えた。解説の古田も松坂もその目にも止まらなかったスウイングの凄さには一言も触れずにホームランを讃えていただけだったのは困ったことだと思った。あの速さには素晴らしく鍛え抜かれた身体能力の上に培った技術があると見ている

そもそも「冷静なる評論家」と称しているくらいだから、大谷が打ったとか投げたかで一喜一憂しているわけではなく、大谷を始めとする優秀な野球の選手たちが提供してくれるスポーツの醍醐味と、娯楽(エンターテインメント)として最高の野球を見て楽しんでいるのだ。それだから、あの大谷も何物にも譬えようがない一振りを鑑賞できただけでも、昨夜は見ていた価値が充分以上にあったのだ。「凄い。MLBに行って良くあれほどの打者に育ったものだ」とただただ感心するだけだった。

言い方を変えれば、大谷が打ったと言って拳を突き上げて皆と喜び合うのも、WBCの野球の鑑賞の仕方だろうとは思う。日本の代表の応援団となって勝利に酔いしれるのも良いと思う。だが、当方はどうしても技術を観て楽しんでいるので、あの大谷のスゥイングの凄さに感心していたのだった。あれでは山川穂高が「野球を辞めたくなった」と述懐したのも良く分かる。オーストラリアの選手たちもMLBの大スターの凄さを、鑑賞できて感動していたのではないか。

大谷の凄さの他に楽しく鑑賞していたことには、ヌートバーの日本のスポーツ選手たちには見られないフットボールで鍛え抜かれた「身のこなし」がある。何も我が国独特の体育会制度を批判するのではないが、アメリカ式に一つの種目だけに専念することなく、どの競技にも通用するように身体能力を鍛えておくことを、もうそろそろ考えても良いのではないのかと思っているから言うのだ。

日本代表のラグビーの快足ウイングだった山田章仁は「ランニングの練習になるから」と(アメリカン)フットボールの練習にも参加したそうだ。その結果で習得したスピンする走法でトライを取った場面を見たが、解説者もアナウンサーのそのスピンがフットボールのランニングの技法だったとは知らなかったようだったのは残念だった。

昨日のJ2の試合では、いわきFCがベガルタ仙台に勝っていた。あの勝利の肝は「あのクラブは法政大学のフットボール監督で『UNDER ARMOUR』の販社のドームを設立された安田氏が、ラグビー選手並みに身体能力を鍛え上げたサッカーのティームを育てようと意図されたのだそうだ。その身体能力を鍛える手法が開花したのだと思ってテレビを見ていた。要するに身体能力を鍛えた上で「スキル」を備えれば成果が上がるということ。

理解してもらいたいことは「大谷が打った」、「日本が勝った」と感動することも重要だろうが、大谷翔平君があの次元までに鍛え上げた、あの目にも止まらない一振りの早さの技術の素晴らしさも鑑賞して感動して欲しいのだ。実は、こんなことを言ったらお分かり願えないのではと気になっているのだが。