新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

サッカーの日本代表が心配だ

2020-01-24 15:18:11 | コラム
森保一監督の留任で良いのかな:

いきなりマスコミ批判から入るが、掲題をマスコミ風な表現を使えば「森保一監督の続投で良いのかな」となる。私は永年この野球用語を「留任」乃至は「辞任せず」島の意味で使うのはおかしいと言い続けてきたが、マスコミは何故か野球の言葉に執着するようだ。例えば「XX大臣続投へ」とすれば、大臣がそのまま投球し続けることになってしまうではないかと批判したのだ。こういう話題を採り上げた以上、私は監督交代すべしという論者だ。

閑話休題。私が20数年前に採り上げた話題に「我が国のサッカーはまともなトレーニングの手法を知らないし、ウエイトトレーニングすら実施していない。筋肉(アウターマッスルでも良いか)を付ける訓練をせずに、体幹を鍛えずに、スマートな体格が良いと思い込んでいる」と、2人のフットボールの社会人リーグのトレーナーを務めているジムのトレーナーに聞かされたことがあった。非常に残念且つ情けない話だと思って聞いたが、反論できなかった。それは日頃から代表選手たちの「当たられ弱さ」を非常に遺憾に思っていたからだ。

そのトレーナーの1人は「我が国でトレーニングの手法が最も遅れているのが野球で、サッカーはその次に来るだろう。最も進んでいるのが遺憾ながら未だにマイナースポーツであるフットボール」と躊躇せずに語ってくれた。この点は、2人の愚息が共に高校から関東一部リーグの大学を通してフットボールをやっていたのだし、私自身がアメリカの会社に転進して以来現地でフットボールに接していたので、その近代的というか科学的というのか知らないが、アメリカのトレーニングの方法に触れる機会があったのだった。

また、アメリカのフットボールの強豪大学では「我が国のように長時間所謂厳しい練習続けて選手を育成し、テイームを強化するのではなく、テイームの全員に彼らが自主的にその鍛えるべき身体の箇所と方法をトレーナーが指示されて、言うなれば宿題のようにウエイトトレーニング等でこなして、身体を作って全体練習に参加する仕組みになっていること」も聞かされた。従って、練習時間は短く、言うなれば「アッ」という間に終わってしまうのだそうだ。しかも、彼は3大スポーツの全てを経験して「どれを選んだプロになるか」という身体能力と技術を身につけているのだ。

ところが時代の変化と共に、我が国のスポーツ界でも練習の方法が近代化されて、今や多くのトレーニングの手法が導入され、各種競技の高校や大学や社会人のテイームには当たり前のようにウエイトトレーニングの設備が導入されるようになってきた。ところが、目下言いたくないが「今を盛り」と人気急上昇中のラグビーは前HCのジョーンズ氏が厳しい練習を課して鍛え上げられたということになっている。この辺りを専門家に聞くと「以前の空気デブのようだった体格を本当の筋肉がついた強靱な身体に変えた」のだそうである。だから、外国人勢に力負けしなくなったのだそうだ。

そこで我らがサッカー界である。森保監督の指揮・指導に対する疑問は既に述べたので省略するが、とても安心して見ていられる状態ではない。その辺りを(最も進歩していると聞く)フットボール界の専門のトレーナーの意見を伝聞ではあるが聞く機会があった。結論は悲しいほど壊滅的だった。彼等代表選手たちは基本であるべきはずの「ランニングは如何にあるべきか」すらも教えられていないようなのだそうだった。そう聞かされて「なるほど、そうだったか」と妙に納得したことがあった。

それは、代表選手たちがウオーミングアップ中に軽く走っている時の腕の動きというか振り方を見ていると、とても正式にランニングを教えられてきたとは思えない横振りなのだった。我が湘南高校では1948年(=昭和23年)の第3回国体で準優勝に終わった時の出場に至るまでの練習には、監督自らが陸上競技部の有名なコーチに依頼して正しい走法をこれでもかと仕込まれたし、ハードルを飛び越す訓練を受けて、空中姿勢を如何にして保つかという練習までしてあったのだ。そのような訓練を21世紀の現在に受けていないとは俄に信じ難いのだった。

そのトレーナーの指摘では「サッカー界では未だに身体に過剰な筋肉を付けると動きが鈍くなる」というような説を頑迷に信じているのだそうで、それだから私が批判し続けてきた「当たられ弱さ」が一向に解消できずにいるのだそうだ。変な言い方だが、本当だとしたら驚くべき無知と非近代性と科学性である。我々は昭和20年代前半に「サッカーではピッチ走法とストライド走法の使い分け」まで訓練されていたのだった。勿論、その時代にはウエイトトレーニングなどは存在していなかった。このトレーナーの指摘では野球界も未だ未開の状態にあるとのことだったそうだ。

ここまではトレーニングの手法の問題を採り上げたのであって、森保監督の責任範囲内にある事が否かは論じていない。だが、私の好みの一句では“Better late than never”だから、協会は今からでも最高且つ適任のトレーナーを採用してキチンとした身体作りを開始すべきだと思う。この点は森保監督の守備範囲にはない事柄である。その点はフットボールを見れば、各ポジション別にコーチがいて、細部まで指導するのが常識である。何処かの球団に「監督様が打撃を指導をなさった」という報道があったが、これなどは遺憾ながら野球界の非近代性を象徴している事象だ。

ところで森保監督の問題だが、某週刊誌に興味深い説があった。それは「西野監督が引き継いで指揮した代表テイームの監督だったハリルホジッチ監督は、現在の田嶋会長の前任者が採用した人物だったからこそ、田嶋氏は遠慮なく切れたのだった。だが、森保一監督は田嶋現会長の選択だった以上、易々と切り捨てる訳にはいかないのだ」という見方だった。どことなく、トランプ大統領が前任者のオバマ大統領のレガシーを各個撃破で消し去ってきたのにも似ている気がした。田嶋会長がそれだけの理由で(監督交代)を躊躇っているのだったら残念至極だ。では、最適任者は誰だろう。