新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

サーキットブレーカーを三日で取りやめた経済大国

2016-01-09 09:36:29 | コラム
世界情勢雑感:

サーキットブレーカーを3日で取りやめた決断には凄みを感じた。世界第二位の経済大国とマスコミが好んで囃し立てる中国がどうやら風邪をひいたようだが、それはインフル(実に締まりがないカタカナ語で、元は"influenza"。略語は"the flu"だ。なんでも頭だけ取ればよいものではあるまい。"influence"はどうする気なのか?)だったようで、世界の株式市場にアッという間もなく伝染してしまった。流石に世界第二位であると、感心している次第だ。それだけではない。人民元もどうやら本格的に怪しくなってきた。

当方は紙・板紙の年間一人当たりの消費量を取り上げて、"76 kg程度の中国の何処が世界第二位の経済大国か”と昨年揶揄したばかりだった。そこに年明けとともに株式市場が混乱し、上海と深圳の両証券取引所が相場の急変動を回避するために緊急対策で導入したばかりの「サーキットブレーカー」の運用を取り止めると発表したので、私はこの新語を学ぶ機会を得たのだった。これを聞いて証券市場には全く疎い私が「矢張りか」と学習できたことは、「中国とは自国の尊厳・権威・偉大さを守る為には何でもありの国で、その行為が世界に与えるだろう影響などは二の次程度にしか見做していないようだ」という新発見でも何でもない事実だった。

私は中国は習近平政権誕生以来、「ただ只管自国の権威・権益・威力・威光・軍備・地理的勢力の拡大・経済発展を完全に自国だけに都合が良いような独自の原理・原則に基づいて高速で推し進めていくことに一意専心してきた」と思って眺めてきた。それは「中華思想」の極限の発露のようでもあり、他国から如何なる批判を受けようとも意に介することなく、形振り構わず目標に向かって走り続けることだと解釈してきた。

その様子を見て、W社に嘗て上司や同僚が何を言おうと自分の計画通りにしか動かずに目標を達成しようとした若手がいた。その彼を評して"Nothing can interfere his schedule"と言った秘書がいたのを(その規模も何も違うとはいえ)思い出させてくれたのだった。即ち、この"his"を「習近平の」に置き換えると良いのだが。その勝手さの端的な例を挙げれば「近隣諸国やアメリカが何を言おうと、南沙諸島等の海域で埋め立てを強行し、試験飛行までする」ような行為だ。

その何物にも妨げられなかった経済大国の行く手に、多くの識者やエコノミストや専門家が危惧するような経済的破綻が待っているのであれば、彼の暴走が導き出しかねない危機は余りにも重大である。彼に近頃使われだした言葉である「ブーメラン現象」への認識があるのか否かも大いに気になる。もしかすると「一将功成りて万骨枯る」ではなく、「一将功成らず万骨枯る」かも知れないと秘かに恐れている。

「形振り構わず」走り続ける「一将」は習近平さんの隣国にもいた。彼は世界第一位の大国であるはずのアメリカの大統領が優柔不断で甘いと見切ったのか、そのアメリカを標的にした言動を続け、他国が何を言おうと一切耳を貸さず、核の製造に一意邁進し今回は自称「水爆の実験に成功」とまでぶち上げた。私はアメリカがただでさえ手に余る緊迫した中東情勢を抱え、ロシアの介入も拱手傍観かと思えるような決断が出来ない姿勢を見て「今なら何をやっても自国には実害がない」と読み切った暴挙(か、あるいははったりか?)に出たのかと思わせてくれた。アメリカも景気回復が軌道に乗ったのは結構なことだが、何時までも自分の頭の上を蠅を追っているだけでは許されない情勢だと目覚めて欲しいものだ。

欧州に目を転じてみれば、私には難民問題は深刻な悪影響を及ぼすとしか思えない。EU圏内の諸国の経済が回復したと聞いたことがないし、その弱い経済圏内にシリアからの難民が流入し続けていけば、景気回復を図るどころではない深刻な政治問題を抱え続けることになるし、その上に宗教的な問題まであるのでは、UKが脱退するのギリシャがどうのという程度の難問で済むのかなと心配になってくる。事、難民について私は「我が国は受け入れないのに越したことはない」という偏見と言われようと何と言われようと、という考えに固執したい。

我が国を最後に考えてみよう。私は「我が国は現在でも世界でこれほど安全で安定した国はない」と思っている。だが、性善説を信奉するあまりに諸外国に対して一寸甘すぎる嫌いがある点が気掛かりだ。その端的な例を挙げれば「あれほど二枚舌・三枚舌の狡猾な外交戦略を展開する韓国と、その代表者のユン外相との交渉で口約束だけで不可逆的合意を文書化しなかった善意が本気だったのならば、矢張り多くの国際試合で「フェアプレー賞」を取ってくる生真面目さが裏目に出なければ良いがと念じるだけだ。もっと「えげつなく」なって行っても良いのではないのかと思うのだが、安倍総理如何でしょうか。