♦️276『自然人間の歴史・世界篇』イギリスにおける労働者階級の状態(1845、エンゲルス)

2018-11-30 22:12:50 | Weblog

276『自然人間の歴史・世界篇』イギリスにおける労働者階級の状態(1845、エンゲルス)

 1845年には、ドイツ人のフリードリヒ・エンゲルスが「イギリスにおける労働者階級の状態」を出版した。

 当時の彼は、プロイセンの父がマンチェスターで経営している綿織物工場の一つ、エルメン&エンゲルスで働いていた。すでに社会主義思想に至っていた彼は、何しろ若く、気鋭に満ちていた。そうして昼間に経営サイドで働く傍ら、夜には本を書いていた。

語学の天才ともいわれるその能力で当時のイギリス社会の底辺を見聞し、注意深く観察するのであった。それを、今日でいうところのルポルタージュ風にまとめていく。


(続く)

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♦️204の2『自然と人間の歴史・世界篇』資本の本源的蓄積(イギリスの毛織物工業の発達)

2018-11-30 21:00:29 | Weblog

204の2『自然と人間の歴史・世界篇』資本の本源的蓄積(イギリスの毛織物工業の発達)

 イギリスの毛織物とのかかわりには、はじめは羊毛の輸出だけのものであったのだが、それが国内で毛織物を作って海外へ売り捌くまでになっていく。経済史学で一世を風靡した感のある大塚久雄は、こんな説明をしている。

 「十四世紀初期までのイギリスは、何よりもまず「羊毛」の輸出国であった。中性以来産業革命にいたるまで、イギリスはヨーロッパの、したがって世界の主要な羊毛生産地であった。ヨーロッパには羊毛の生産地としてこの他にスペインやポムメロンなどがあるが、イギリスが断然他を圧していたことは確認されねばならぬ。そのことは、イギリスが当時あの旺盛なフランデルンの毛織物工業に対してその原料の圧倒的部分を供給していたことによっても、了解されるであろう。(中略)

 さて、イギリスでは十四世紀の初頭から毛織物生産が本格的に展開し確立され始めた。そして、イギリスはしだいに羊毛輸出国から「毛織物」輸出国に転身し、十六世紀前半までには決定的にその相貌を変ずるにいたるのである。

 その事実を数字について見ると、エドワード三世の治世下(十四世紀中葉)には、前述のように年額約30000サックスに上った羊毛の輸出が、約1世紀半後にはその5分の1に、後さらに6分の1にまで減じていったのに反して、毛織物の輸出は、十四世紀中葉には5000ピーセズにすぎなかったものが、ヘンリー八世の治下(十六世紀前半)には年々の輸出額(kerseyおよびworstedを除く)がその約20倍にまで増加している。」(「西洋経済史」)

 このようなイギリスの初期資本主義の支柱たる毛織物工業の発達は、この国が次の産業革命期に入っていくための礎となっていく。その産地としては、およそ次のようであった。

(続く)

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