令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

歴史編(33)鳴呼見乃浦に

2009年07月05日 | 歴史編
【掲載日:平成21年7月27日】

【鳥羽市小浜あみの浦 向いは答志島】

鳴呼見乃浦あみのうらに 船乗ふなのりすらむ 孃嬬おとめらが
           珠裳たまもすそに 潮つらむか

くしろく 手節たふしの崎に 今日もかも
           大宮人おおみやびとの 玉藻たまもるらむ

潮騒しほさゐに 伊良虞いらご島辺しまへ 漕ぐ船に
           妹乗るらむか 荒き島廻しまみ


持統天皇六年(692)三月 
伊勢行幸みゆき
多くの官女たちを連れての 行幸であった 
中納言三輪朝臣高市麿みわのあそみたけちまろ
「春の農作業を目前にして なんたる・・・」 
とのいさめを 無視して
しかも 通過地の国造くにのみやつこらに 冠位を授け 調役免除する といった大判振る舞い 
お供の 騎兵や荷担ぎ達の 調役までも免除 

留守居るすいの人麻呂は 思いやっていた
たみの気持の 在りどころを お忘れかも
 いや 言うまい 言うまい わしは 歌
 海では 官女どもは 楽しんで るだろう
 帰ったなら 
 「人麻呂さま 見ていたのですか」 
 と言わせてやろう) 

静かに 瞑目めいもくすれば 波の音がする

鳴呼見乃浦あみのうらに 船乗ふなのりすらむ 孃嬬おとめらが 珠裳たまもすそに 潮つらむか
《あみの浦 船遊びする あの児らの 裾を濡らすか 潮満ちてきて》 
                         ―柿本人麻呂―(巻一・四〇)
くしろく 手節たふしの崎に 今日もかも 大宮人おおみやびとの 玉藻たまもるらむ
《喜々として 手節とうしの崎で きれえな藻 ってるやろか 今日もあの児ら》
                         ―柿本人麻呂―(巻一・四一)
潮騒しほさゐに 伊良虞いらご島辺しまへ 漕ぐ船に 妹乗るらむか 荒き島廻しまみ
《波荒い 伊良湖の島の 島めぐり 喜んでるか あの児も乗って》 
                         ―柿本人麻呂―(巻一・四二)
 
潮満つ浜辺・・・  
ゆれる玉藻・・・  
潮騒のとどろ・・・  
事は知らず 人麻呂は 歌心にひた




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