■平成22年7月15日■
万葉集に詠われた歌を 作者別に採り上げ 人となりを「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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★病気して 気ィ弱なって 仕舞たけど 負けてられんで 子が小さいんや
たまきはる 現の限は 平けく 安くもあらむを
事も無く 喪も無くあらむを 世間の 優けく辛けく
《生きてるうちは 病気せず 楽に死にたい 思うても
世の中鬱とし ままならん》
いとのきて 痛き瘡には 鹹塩を 灌くちふが如く
ますますも 重き馬荷に 表荷打つと いふことの如
老いにてある わが身の上に 病をと 加へてあれば
《塩を生傷 塗るみたい 追い荷重荷に 積むみたい
老い身に病気 重なって》
昼はも 嘆かひ暮し 夜はも 息衝きあかし
年長く 病みし渡れば 月累ね 憂へ吟ひ
《夜は溜息 昼嘆き 長患いの 続くうち》
ことことは 死ななと思へど 五月蠅なす 騒く児どもを
打棄てては 死は知らず 見つつあれば 心は燃えぬ
《いっそ死のかと 思たけど 餓鬼ども放って 死なれへん
子供見てると 胸痛む》
かにかくに 思ひわづらひ 哭のみし泣かゆ
《なんやかや 考えあぐねて 泣くばかり》
―山上憶良―〔巻五・八九七〕
慰むる 心はなしに 雲隠り 鳴き行く鳥の 哭のみし泣かゆ
《安らかな 気持ちなれんと ピイピイと 鳥鳴くみたい ずっと泣いてる》
―山上憶良―〔巻五・八九八〕
術も無く 苦しくあれば 出で走り 去ななと思へど 児らに障りぬ
《苦しいて あの世行こかと 思うても 子供邪魔して 死ぬことでけん》
―山上憶良―〔巻五・八九九〕
富人の 家の児どもの 着る身無み 腐し棄つらむ 絹綿らはも
《金持ちの 家の子供は 着もせんと 良え服 放ってる 絹や綿入れ》
―山上憶良―〔巻五・九〇〇〕
荒栲の 布衣をだに 着せかてに 斯くや嘆かむ 為むすべを無み
《捨てるよな ボロ服さえも 着ささんと 嘆いてみても どうにもならん》
―山上憶良―〔巻五・九〇一〕
水沫なす 微しき命も 栲繩の 千尋にもがと 願ひ暮しつ
《泡みたい すぐ消えるよな 命でも 長生きしたい 思うて暮らす》
―山上憶良―〔巻五・九〇二〕
倭文手纒 数にも在らぬ 身には在れど 千年にもがと 思ほゆるかも
《安物の 飾りみたいな このわしも せめて長生き したいと思う》
―山上憶良―〔巻五・九〇三〕
【現の限は 平けく】へ
万葉集に詠われた歌を 作者別に採り上げ 人となりを「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
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★病気して 気ィ弱なって 仕舞たけど 負けてられんで 子が小さいんや
たまきはる 現の限は 平けく 安くもあらむを
事も無く 喪も無くあらむを 世間の 優けく辛けく
《生きてるうちは 病気せず 楽に死にたい 思うても
世の中鬱とし ままならん》
いとのきて 痛き瘡には 鹹塩を 灌くちふが如く
ますますも 重き馬荷に 表荷打つと いふことの如
老いにてある わが身の上に 病をと 加へてあれば
《塩を生傷 塗るみたい 追い荷重荷に 積むみたい
老い身に病気 重なって》
昼はも 嘆かひ暮し 夜はも 息衝きあかし
年長く 病みし渡れば 月累ね 憂へ吟ひ
《夜は溜息 昼嘆き 長患いの 続くうち》
ことことは 死ななと思へど 五月蠅なす 騒く児どもを
打棄てては 死は知らず 見つつあれば 心は燃えぬ
《いっそ死のかと 思たけど 餓鬼ども放って 死なれへん
子供見てると 胸痛む》
かにかくに 思ひわづらひ 哭のみし泣かゆ
《なんやかや 考えあぐねて 泣くばかり》
―山上憶良―〔巻五・八九七〕
慰むる 心はなしに 雲隠り 鳴き行く鳥の 哭のみし泣かゆ
《安らかな 気持ちなれんと ピイピイと 鳥鳴くみたい ずっと泣いてる》
―山上憶良―〔巻五・八九八〕
術も無く 苦しくあれば 出で走り 去ななと思へど 児らに障りぬ
《苦しいて あの世行こかと 思うても 子供邪魔して 死ぬことでけん》
―山上憶良―〔巻五・八九九〕
富人の 家の児どもの 着る身無み 腐し棄つらむ 絹綿らはも
《金持ちの 家の子供は 着もせんと 良え服 放ってる 絹や綿入れ》
―山上憶良―〔巻五・九〇〇〕
荒栲の 布衣をだに 着せかてに 斯くや嘆かむ 為むすべを無み
《捨てるよな ボロ服さえも 着ささんと 嘆いてみても どうにもならん》
―山上憶良―〔巻五・九〇一〕
水沫なす 微しき命も 栲繩の 千尋にもがと 願ひ暮しつ
《泡みたい すぐ消えるよな 命でも 長生きしたい 思うて暮らす》
―山上憶良―〔巻五・九〇二〕
倭文手纒 数にも在らぬ 身には在れど 千年にもがと 思ほゆるかも
《安物の 飾りみたいな このわしも せめて長生き したいと思う》
―山上憶良―〔巻五・九〇三〕
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