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ユニーク古典現代訳(大阪弁万葉集改題)

日本の古典を訳します。そのままストンと腑に落ちる訳。なんだ、こうだったのかと分かる訳。これなら分かる納得訳。どうぞどうぞ

日めくり万葉集<11月>(その4)

2010年03月18日 | 日めくり万葉集
■平成22年3月18日■
NHKテレビ「日めくり万葉集」で取り上げられた 万葉歌を 「大阪弁」で訳します
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★姫島で 死んだ乙女児おとめご 可哀相かわいそや 久米の若殿 その手触れたに

みつみつし 久米の若子わくごが いれけむ 磯の草根くさねの 枯れまく惜しも
《威勢ええ  久米の若殿 触れた云う 磯辺の草の 枯れるん惜しい》
                         ―河辺宮人かわへのみやひと―(巻三・四三五)

大津皇子おおつみこ 胸に無念の 思い秘め 鴨に別れの 水面が揺れる

百伝ももづたふ 磐余いはれの池に 鳴く鴨を 今日けふのみ見てや 雲隠くもがくりなむ
《磐余池  鳴く鴨見るん 今日だけや 定めや思て この世を去るか》
                         ―大津皇子―(巻三・四一六) 

★仰ぎ見る 二上山ふたかみやまに 陽が沈む 独りぽっちの 大伯おおくや哀れ

うつそみの 人なる我れや 明日よりは 二上山を いろせが見む
明日あしたから 二上山を 弟と 思うて暮らそ この世でひとり》
                         ―大伯皇女おおくのひめみこ―(巻二・一六五)


日めくり万葉集<11月>(その3)

2010年03月11日 | 日めくり万葉集
■平成22年3月11日■
NHKテレビ「日めくり万葉集」で取り上げられた 万葉歌を 「大阪弁」で訳します
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げん担ぎ 良えこといっぱい 思たんで そうなったがな 思てみるもんや

今日けふなれば 鼻の鼻ひし まよかゆみ 思ひしことは 君にありけり
《くしゃみ出て 眉のいのん 思うたら あんた来る云う 前兆しらせやったで》
                         ―作者未詳―(巻十一・二八〇九) 

★待ち焦がれ 死のと思たり したけども 待ち待ち続け 秋なってもた
秋の田の 穂のらふ 朝霞あさがすみ いつへのかたに こひやまむ
《こんな恋 消えても良えで 霧みたい 行くとこうて ただよう恋は》
                         ―磐姫皇后―(巻二・八八) 

額田王おおきみの 号令一下 船が出る 新羅目指して 月夜の海へ
熟田津にきたつに 船乗りせむと 月待てば しほもかなひぬ 今は漕ぎでな
《熟田津で  月待ち潮待ち 船出待ち きた きた 来たぞ 今こそ行くぞ》
                         ―額田王―(巻一・八) 



日めくり万葉集<11月>(その2)

2010年03月04日 | 日めくり万葉集
■平成22年3月4日■
NHKテレビ「日めくり万葉集」で取り上げられた 万葉歌を 「大阪弁」で訳します
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田道間守たぢまもり 垂仁天皇 命受けて 橘手にし 戻りしが
       すでに天皇  身罷りて 苗木御陵に お治め植える
 

かけまくも あやにかしこし 皇神祖すめろきの 神の大御代おほみよに 
田道間守たぢまもり 常世とこよに渡り 八矛やほこ持ち まゐ出来でこし時 
時じくの かくの実を かしこくも のこしたまへれ
 
天皇おおきみの ご先祖さんの その昔 田道間守たじまもりさん 常世とこよ行き ほこ捧げて 戻り来て
 香りえ実の 橘を 持って帰られ 残された》 
国もに ひ立ちさかえ 春されば ひこいつつ ほととぎす 鳴く五月さつきには 
初花はつはなを 枝に折りて 少女をとめらに つとにもりみ 白栲しろたへの 袖にも扱入こきれ 
かぐはしみ 置きて枯らしみ あゆる実は 玉にきつつ 手にきて 見れどもかず
 
《今は国中  植えられて 春になったら 枝伸ばし 五月の夏に 咲いた花
 枝を手折たおって 乙女ら贈り 袖入れ香り 楽しんで 大事しすぎて しおれさす
 落ちた花の実 糸通し 手に巻き持って で遊ぶ》 
秋づけば 時雨しぐれの雨降り あしひきの 山の木末こぬれは くれなゐに にほひ散れども 
橘の 成れるそのは ひたりに いや見がしく み雪降る 冬に至れば 
しも置けども その葉も枯れ  常磐ときはなす いやさかえに
 
《時雨の秋は 山の木々 黄葉こうようなって 散ってゆく けど橘の 成った実は
 つやと輝き 人目引く 霜置く冬が 来たとても その葉枯れんと 常緑みどりまま》 
しかれこそ 神の御代より よろしなへ この橘を 
時じくの かくと 名付けけらしも

《それやからこそ  神代から この橘を
 いつまでも 香り続ける やと 言われるのんも もっともや》
                         ―大伴家持―〔巻十八・四一一一〕 



日めくり万葉集<11月>(その1)

2010年02月25日 | 日めくり万葉集
■平成22年2月25日■
NHKテレビ「日めくり万葉集」で取り上げられた 万葉歌を 「大阪弁」で訳します
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★幼いが 可愛かいらしなあと 坂上大嬢いらつめを 思た初恋 月見て気付く
振りけて 三日月見れば 一目見し 人の眉引まよびき 思ほゆるかも
《振り仰ぎ  三日月見たら 一目見た おまえの眉を 思い出したで》
                         ―大伴家持―(巻六・九九四) 

但馬皇女たじまひめ 穂積に惚れて 高市皇子たけちみこ 監視くぐって 恋へと走る
秋の田の 穂向きの寄れる 片寄りに 君に寄りなな 言痛こちたくありとも
《なにやかや うるそう言われ つらいけど あんたに寄りたい 稲穂みたいに》
                         ―但馬皇女―(巻二・一一四)> 

但馬皇女ひめみこの 悲報を聞いて 穂積皇子 避けたあの日を 今更思う
今朝けさ朝明あさけ かり聞きつ 春日山 もみちにけらし 心痛こころいた
《雁の声 明け方聞いた 春日山 黄葉こうようしたんや 胸締めつける》
                         ―穂積皇子―(巻八・一五一三) 



日めくり万葉集<10月>(その10)

2010年02月18日 | 日めくり万葉集
■平成22年2月18日■
NHKテレビ「日めくり万葉集」で取り上げられた 万葉歌を 「大阪弁」で訳します
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★憶良はん 秋の七草 詠む前に 先ずは七つと 説明しとる
秋の野に 咲きたる花を およびり かき数ふれば 七種ななくさの花
《秋の野に 咲いてる花を 数えたら 秋ずる花 種類は七つ》
                         ―山上憶良―〔巻八・一五三七〕 

★季節毎 自然が造る 花黄葉 ほんに仙女の 為せる技やな
たてもなく よこも定めず 娘子をとめらが 織る黄葉もみちばに 霜な降りそね
《霜降るナ 縦横糸も 無いのんに 仙女の造る 見事黄葉もみじに》
                         ―大津皇子―〔巻八・一五一二〕 

★宅守を 行かせてなるか 娘子の 悲痛の叫び 後追うて行く
君が行く 道の長手ながてを たたね 焼きほろぼさむ あめの火もがも
《燃やしたる あんた行く道 手繰たぐり寄せ そんな火ィ欲し 神さん寄越よこせ》
                         ―狭野弟上娘子―〔巻十五・三七二四〕 


日めくり万葉集<10月>(その9)

2010年02月11日 | 日めくり万葉集
■平成22年2月11日■
NHKテレビ「日めくり万葉集」で取り上げられた 万葉歌を 「大阪弁」で訳します
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★落ち着いた 通いの出来る 家持は 喜びつつも 別れ切ない
夜のほどろ  我がでて来れば 我妹子が 思へりしくし 面影に見ゆ
よる明けて 帰る途中で 浮かんだで 思い切ない お前の顔が》
                         ―大伴家持―〔巻四・七五四〕 

★軽の里 降って湧いたる 悲しみに うろ来て惑う 人麻呂あわれ
秋山の 黄葉もみぢを茂み まどひぬる 妹を求めむ 山道やまぢ知らずも
《茂ってる 黄葉もみじの山へ まよてもた お前探すに 道分れへん》
                         ―柿本人麻呂―〔巻二・二〇八〕 

★竜田越え 山道伏せる 行き倒れ 太子思わず もらい泣き
家にあらば 妹が手まかむ 草枕 旅にやせる この旅人あはれ
《家ると あの児手枕 寝るのんに 旅先死んでる 可哀想かわいそやなあ》
                         ―聖徳太子―〔巻三・四一五〕 



日めくり万葉集<10月>(その8)

2010年02月04日 | 日めくり万葉集
■平成22年2月4日■
NHKテレビ「日めくり万葉集」で取り上げられた 万葉歌を 「大阪弁」で訳します
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★娘らが 稲を搗きつつ 歌うてる 若殿さんに 届くんやろか

稲つけば  かかる我が手を 今夜もか 殿の若子わくごが 取りて嘆かむ
《稲を搗く  うちのあかぎれ 今晩も 若さん撫ぜて かわいそ言うかな 》
                         ―東歌―〔巻十四・三四五九〕 

★香と塔 厠と屎と 鮒付けて 奴も付けて 歌詠め言われ

香塗れる 塔にな寄りそ 川隈の 屎鮒くそぶなめる いたき女奴めやっこ
《香塗りの  塔近寄るな 屎食うた 鮒を食うてる 臭い女奴》
                               (川は今の水洗トイレ)
                         ―長意吉麻呂―〔巻十六・三八二八〕 

★粟の種 蒔いたよってに 粟成った そやけど 粟無い どうなってんじゃ

足柄の 箱根の山に あはきて 実とはなれるを あはなくもあやし
《箱根山  粟の種蒔き 実ィなった あんた逢わ〔粟〕れん どう言うこっちゃ》
                         ―東歌―〔巻十四・三三六四〕 



日めくり万葉集<10月>(その7)

2010年01月28日 | 日めくり万葉集
■平成22年1月28日■
NHKテレビ「日めくり万葉集」で取り上げられた 万葉歌を 「大阪弁」で訳します
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★筑波嶺に 登り蟲麻呂 嬥歌かがひ見る 混じりもせんと 筆走らせる

わしの住む 筑波の山の 裳羽服津もはきつの 
   その津のうへに あともひて
       未通女をとめ壮士をとこの 行きつど
          かがふ嬥歌かがひ
 
《筑波の山の の泉 連れもちつどう 女や男
    歌の掛け合い 袖引く催事まつり
人妻ひとづまに われも交らむ わが妻に ひとこと
   この山を うしはく神の 昔より
      いさめぬ行事わざぞ 今日けふのみは
         めぐしもな見そ 言もとがむな

《よその嫁はん わし口説きたい うちの嫁はん 口説いてえで
      神さん認めた この日の催事まつり 何も言わんと 目ぇつぶってよ》
                    ―高橋虫麻呂歌集―〔巻九・一七五九〕 

の神に 雲立ちのぼり 時雨しぐれ降り とほるとも われ帰らめや
《雲湧いて  時雨が降って 濡れたかて つれ出来るまで ワシいねへんぞ》
                    ―高橋虫麻呂歌集―〔巻九・一七六〇〕 


日めくり万葉集<10月>(その6)

2010年01月21日 | 日めくり万葉集
■平成22年1月21日■
NHKテレビ「日めくり万葉集」で取り上げられた 万葉歌を 「大阪弁」で訳します
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★一瞬の 恋に懸けるは おんなさが 男嬉しが 少したじろぐ

恋ひ恋ひて へる時だに うるはしき こと尽してよ 長くと思はば
《恋い焦がれ やっと逢えたで いてたら 甘い言葉を いっぱいうて》
                       ―大伴坂上郎女―〔巻四・六六一〕 

★弟を 思う切ない 姉ごころ 露に濡れつつ 一人たたずむ
ふたり行けど  行き過ぎかたき 秋山を いかにか君が ひとり越ゆらむ
《二人でも  行きにくい山 どないして お前 一人で 越えて行くんか》
                         ―大伯皇女―〔巻二・一〇六〕 

★越前へ 向かう旅路の 近江路の ふと人恋し 一人旅ゆえ
伊香山いかごやま 野に咲きたる 萩見れば 君が家なる 尾花をばなし思ほゆ
《咲く萩を 伊香いかごの山で 見かけたら あんたの家の 尾花が浮かぶ》
                         ―笠金村―〔巻八・一五三三〕 



日めくり万葉集<10月>(その5)

2010年01月15日 | 日めくり万葉集
■平成21年12月日■
NHKテレビ「日めくり万葉集」で取り上げられた 万葉歌を 「大阪弁」で訳します
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★万葉の 竹取がたり 翁をば 邪険娘を 諭して詠う

・・・春さりて  野辺を巡れば おもしろみ 我れを思へか さ野つ鳥 来鳴きかけらふ
秋さりて  山辺を行けば なつかしと 我れを思へか 天雲も 行きたなびく
かへり立ち 道を来れば うちひさす 宮女みやをみな さす竹の 舎人とねり壮士をとこ
しのぶらひ  かへらひ見つつ 誰が子そとや 思はえてある・・・

《・・・春が来て  野原歩くと わしのこと 愉快思うか 鳥が来て 鳴き飛び交うよ
 秋が来て  山道行くと わしのこと 素敵思うか 空の雲 り寄ってくる
 帰ろうと  道を来たなら 官女らも 舎人男も こっそりと
 振り返っては  わしのこと どこの美男か 思うて通る・・・》 
                         ―竹取翁―<巻十六・三七九一> 


日めくり万葉集<10月>(その4)

2010年01月13日 | 日めくり万葉集
■平成22年1月13日■
NHKテレビ「日めくり万葉集」で取り上げられた 万葉歌を 「大阪弁」で訳します
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額田王おおきみが 作った歌の 初出歌 皇極上皇じょうこの 比良行幸みゆき

秋の野の み草刈り葺き 宿れりし 宇治の都の 仮廬かりいほし思ほゆ
《秋の野で  草刈り葺いて 泊まりした 宇治の都の 仮小屋恋し》
                         ―額田王―〔巻一・七〕 

★防人の 徴発命は 絶対や 母子の絆 あろとなかろと
たらちねの 母を別れて まこと我 旅の仮廬かりほに 安く寝むかも
《おっ母と  離れて旅の 仮小屋で ほんまこのわし よう寝るやろか》
                         ―日下部三中くさかべのみなか―〔巻二十・四三四八〕

★いつの世も 他人のことを 気にせんと  もの言う声は あっけらかんと
防人さきもりに 行くはと 問ふ人を 見るがともししさ 物思ものもひもせず
《防人に  行くのんどこの 旦那やと 聞くのん悔し 人の気知らんと》
                         ―昔年の防人の妻―〔巻二十・四四二五〕 



日めくり万葉集<10月>(その3)

2010年01月06日 | 日めくり万葉集
■平成22年1月6日■
NHKテレビ「日めくり万葉集」で取り上げられた 万葉歌を 「大阪弁」で訳します
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<歴史編(32)再録>
★山や川 ひれ伏すように 声響く 人麿詠う 宮殿みやどの讃歌

やすみしし わご大君 神ながら 神さびせすと 
吉野川 たぎ河内かふちに 高殿を 高知りまして 登り立ち 国見をせせば

《天皇さんは 神さんや 吉野の川の かわふちに 御殿やかた造られ 登りみる》
たたなはる 青垣山あおかきやま 山神やまつみの まつ御調みつきと 
春べは 花かざし持ち 秋立てば 黄葉もみちかざせり
 
《山の神さん かざりやと 春には花を 咲かせはり 秋には黄葉もみじ 作りはる》
ふ 川の神も 大御食おほみけに つかまつると 
かみつ瀬に 鵜川うかはを立ち しもつ瀬に 小網さでさし渡す
 
《川の神さん 御馳走ごちそうと 上流かみで鵜飼を 楽しませ 下流しもで網取り さしなさる》
山川も りてつかふる 神の御代かも
《山や川 みんな仕える 天皇おおきみさんに》
                          ―柿本人麻呂―〔巻一・三八〕 

山川も りてつかふる 神ながら たぎつ河内かふちに 船出せすかも
《山川の 神もつかえる 天皇おおきみが 逆巻く川に 船出ふなでしなさる》
                          ―柿本人麻呂―〔巻一・三九〕 





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日めくり万葉集<10月>(その2)

2009年12月28日 | 日めくり万葉集
■平成21年12月28日■
NHKテレビ「日めくり万葉集」で取り上げられた 万葉歌を 「大阪弁」で訳します
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★召すという ことでは無しに されると 知らんと蟹は 出かけてみたが

おしてるや 難波の小江に いほ作り 隠りて居る 葦蟹を 大君召すと
何せむに  我を召すらめや 明けく 我が知ることを
歌人と  我を召すらめや 笛吹きと 我を召すらめや 琴弾きと 我を召すらめや
かもかくも  命受けむと・・・

《難波入り江に  庵を作り 住まいしておる 葦蟹めをば 天皇様が  お召しになると  
 何の御用で  蟹めを召すか 召すはずないと 思ては見るが
 歌人として  お召しじゃろうか 笛吹き人と 思うて召すか 琴弾くために お召しになるか
 何はともあれ  受けてもみよと・・・》
                         ―乞食者―〔巻十六・三八八六〕 


日めくり万葉集<10月>(その1)

2009年12月22日 | 日めくり万葉集
■平成21年12月22日■
NHKテレビ「日めくり万葉集」で取り上げられた 万葉歌を 「大阪弁」で訳します
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★子を思う 母の心根 ここにあり 焼野の雉子きぎす 夜の鶴やな
旅人の 宿りせむ野に 霜降らば 我が子羽ぐくめ 天の鶴群たづむら
《宿る野に 霜が降ったら 天の鶴 羽根を広げて うちの子かぼて》
                         ―遣唐使の母―〔巻九・一七九一〕 

★連れ合いを よう見つけへん 雄鹿は 朝まで鳴いて 寝えへんのかな
夕されば 小倉の山に 鳴く鹿は 今夜こよひは鳴かず ねにけらしも
《夕暮れに  妻呼び鳴く鹿 鳴かへんな 連れを見つけて 寝たんやきっと》
                         ―舒明天皇―〔巻八・一五一一〕 

★防人に 行く自分すら 気にせんと 父母の息災 祈る健気けなげ
父母が 殿のしりへの ももよ草 百代ももよいでませ 我が来るまで
《父と母 住んでる家の 百代草ももよぐさ 百まで生きて わし帰るまで》
                         ―壬生部足國みぶべのたるくに―〔巻二十・四三二六〕



日めくり万葉集<9月>(その8)

2009年12月18日 | 日めくり万葉集
■平成21年12月18日■
NHKテレビ「日めくり万葉集」で取り上げられた 万葉歌を 「大阪弁」で訳します
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志貴皇子しきのみこ 身罷ってもて 高円は 寂しなったな 誰も居らんで

高円たかまとの 野辺のへの秋萩 いたづらに 咲きか散るらむ 見る人なしに
《高円の  野に咲く萩は 虚しいに 咲いて散ってる 見る人おらんで》
                         ―笠金村―〔巻二・二三一〕 

★働き手 娘取られて なるもんか おっかあ監視の 眼ぇ盗まんか

等夜とやの野に 兎ねらはり をさをさも 寝なへゆゑに 母にころはえ
《野に伏せて  兎捕るよに 忍んだが 寝もせんうちに 母どやされた》
                         ―作者未詳―〔巻十四・三五二九〕 

★置いてきた お前恋しい 花見ても みんなお前の 笑顔に見える

なでしこが 花見るごとに 娘子をとめらが まひのにほひ おもほゆるかも
《撫子の 花見るたんび お前ちゃん 可愛かいらし笑顔 思いだされる》
                         ―大伴家持―〔巻十八・四一一四〕