令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

歴史編(32)依りて仕ふる

2009年07月06日 | 歴史編
【掲載日:平成21年7月26日】

山川も りてつかふる 神ながら
              たぎつ河内かふちに 船出せすかも

【宮滝の吉野川】



持統帝は 高殿に 登り立つ 
「おお なんという 眺めじゃ 
 青垣あおがきを 並べたような 山々
 逆巻く流れの 川 
 皆 われを たたえているようじゃ
 人麻呂 いま一首を 所望しょもういたす
 山をめ 川をめ」
天皇は はしゃいでいた 

やすみしし わご大君 神ながら 神さびせすと 吉野川  たぎ河内かふちに 
高殿を 高知りまして 登り立ち 国見をせせば 

《天皇さんは 神さんや 吉野の川の 河淵かわふちに 御殿やかた造られ 登りみる》
たたなはる 青垣山あおかきやま 山神やまつみの まつ御調みつきと 
春べは 花かざし持ち 秋立てば 黄葉もみちかざせり
 
《山の神さん 飾りやと 春には花を 咲かせはり 秋には黄葉もみじ 作りはる》
ふ 川の神も 大御食おほみけに つかまつると 
かみつ瀬に 鵜川うかはを立ち しもつ瀬に 小網さでさし渡す
 
《川の神さん 御馳走ごちそうと 上流かみで鵜飼を 楽しませ 下流しもで網取り さしなさる》
山川も りてつかふる 神の御代かも
《山や川 みんな仕える 天皇おおきみさんに》
                         ―柿本人麻呂―(巻一・三八)

山川も りてつかふる 神ながら たぎつ河内かふちに 船出せすかも
《山川の 神もつかえる 天皇おおきみが 逆巻く川に 船出ふなでしなさる》
                         ―柿本人麻呂―(巻一・三九)

人麻呂の 歌声は 山を越え 川面に流れてゆく 

みかど行幸みゆきに 人麻呂の歌 
それは 欠かせぬものとなっていた 
まさしく「大王おおきみは 神にしあれば」が 確立した時代
それは また 人麻呂の「歌聖」としての 評判が 確立した時代でもあった 



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