【掲載日:平成24年12月18日】
我妹子に 恋ふれにかあらむ 沖に棲む 鴨の浮寝の 安けくもなし
首尾良い恋の ある一方で
思い届かぬ 焦がれの恋や
じっと我慢の 忍びの恋が
数多数続く 恋路の定め
独りごち歌 七十数首
相手向こうて 言うんやなしの
独りごちする 呟き似てる
先ずは男の 焦がれの歌を
片糸もち 貫きたる玉の 緒を弱み 乱れやしなむ 人の知るべく
《一糸の 玉紐弱い 気ぃ弱て 焦がれ出て仕舞て 知れて仕舞い相や》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七九一)
(片糸=片恋をイメージ)
【旋頭歌】
海原の 道に乗りてや 我が恋ひ居らむ
大船の ゆたにあるらむ 人の子ゆゑに
《わしの恋 覚束ないで 波浮く様や
焦がれてん 手ぇの届かん 良え処の児や》
―作者未詳―(巻十一・二三六七)
我妹子に 恋ふれにかあらむ 沖に棲む 鴨の浮寝の 安けくもなし
《こんなにも 気ぃふわふわと 落ち着かん あの児一途と 焦がれるからか》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二八〇六)
真澄鏡 清き月夜の ゆつりなば 思ひはやまず 恋こそまさめ
《照っとおる 月が陰って 仕舞うたら 気紛れ出来んで 恋焦れ募るで》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六七〇)
数多あらぬ 名をしも惜しみ 埋れ木の 下ゆぞ恋ふる 行方知らずて
《取る足らん 面子気にして 胸中で 焦がれてるだけ 目途立たへんに》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七二三)
あしひきの 山田守る翁が 置く鹿火の 下焦がれのみ 我が恋ひ居らむ
《田ぁ守る 翁鹿遣火 燻るで 胸も燻る 焦がれをしてて》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六四九)
いかにして 忘れむものぞ 我妹子に 恋はまされど 忘らえなくに
《どしたなら 消えるんやろか あの児への 増えても消えん 切無い思い》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二五九七)
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