【掲載日:平成24年12月4日】
はね蘰 今する妹が うら若み 笑みみ怒りみ 付けし紐解く
深まる仲は 契りへ進み
結べば男 もう有頂天
この児手にした 喜ぶ胸に
惚気心が 知らずと湧くぞ
天地の 寄り合ひの極み 玉の緒の 絶えじと思ふ 妹があたり見つ
《いつまでも 愛し続け様 思うてる あの児居る処 見た見た見たで》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七八七)
(天地の寄り合う極み=天地が接する遙か彼方までの長さ=長時間)
玉桙の 道行きぶりに 思はぬに 妹を相見て 恋ふるころかも
《偶さかの 道の往き来で お前逢い 焦がれ居るんや このごろずっと》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二六〇五)
眉根掻き 誰をか見むと 思ひつつ 日長く恋ひし 妹に逢へるかも
《眉痒て 逢えるん誰か 思てたら 焦がれ続けた お前逢たがな》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二六一四 或る本)
はね蘰 今する妹が うら若み 笑みみ怒りみ 付けし紐解く
《まだ初な 蘰の児やで 笑いかけ 叱りつけして 紐解くんや》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六二七)
(はね蘰=女子成人の祝いに着ける)
若草の 新手枕を まき初めて 夜をや隔てむ 憎くあらなくに
《新妻と 初めて共寝たで 一晩も 放っておけるか 可愛い児やに》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二五四二)
大君の 御笠に縫へる 有馬菅 ありつつ見れど 事なき我妹
《ずううっと 見続けてても 良え児やで 悪い処なぞ 有馬菅笠――ありませんがな――》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七五七)
(有馬→ありつつ)
奥山の 岩本菅の 根深くも 思ほゆるかも 我が思ひ妻は
《菅の根は 深こ深こ張るよ 妻の奴 わしの心の 深こ深こ居るよ》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七六一)
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