【掲載日:平成24年12月25日】
我妹子に 我が恋ふらくは 水ならば しがらみ越して 行くべく思ほゆ
男焦がれは 激しになって
苦しさ募り 胸溢れ出す
そうか思えば 沈みに耽り
挙げ句の果ては 自暴自棄走る
我妹子に 我が恋ふらくは 水ならば しがらみ越して 行くべく思ほゆ
《お前にと 寄せる思いは 堰き止めの 柵越えて 溢れる水や》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七〇九)
大船の たゆたふ海に 碇下ろし いかにせばかも 我が恋やまむ
《沈みおる 碇みたいな この苦思い どないにしたら 収まるやろか》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七三八)
(碇→いかに)
我妹子を 聞き都賀野辺の しなひ合歓木 我れは忍びず 間なくし思へば
《絶え間無に あの児思てて もうあかん 撓いの合歓や 忍び出けんで》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七五二)
(しなひ→忍び)
物部の 八十宇治川の 早き瀬に 立ちえぬ恋も 我れはするかも
《わしの恋 激し流れの 中立って 流され相やで 偉ろ苦しいて》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七一四)
高山ゆ 出で来る水の 岩に触れ 砕けてぞ思ふ 妹に逢はぬ夜は
《わしの胸 岩にぶつかる 水みたい 砕け散り相や 逢われん夜は》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七一六)
息の緒に 思へば苦し 玉の緒の 絶えて乱れな 知らば知るとも
《息殺し 焦がれん苦し ええいもう ぶちまけ様か 知れても良えで》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七八八)
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